コラム

エコキュートを導入したら後悔の嵐?おすすめしないと言われる理由を解説

ヒートポンプ技術を利用して空気の熱でお湯を沸かすことができるエコキュートは、環境問題への関心や省エネ志向が高まっている現代にマッチした選択肢として注目を集めています。その一方で、「デメリットが多い」などおすすめしない意見も多く見られ、ネット上では賛否両論が飛び交っている状況です。本記事では、エコキュートがおすすめできないと言われる理由について触れていきます。

ネット上にはエコキュートの導入を後悔しているブログが散見

給湯器のように、導入・設置に費用がかかるうえに毎日必ず使用する機器の購入を検討する場合、ネット上での口コミ情報がとても参考になります。メーカーの宣伝や説明では当然のことながら良いことばかりが書かれているので、デメリットや注意点をうかがうのはどうしても難しくなります。そこで、実際に設置して利用している人たちの意見や感想を聞くことで、自分の住居や家庭環境に向いているのかどうかを判断するわけです。
こうしたネット上の意見では当然、プラス評価とマイナス評価の両方が見られるわけですが、エコキュートに関してはマイナス評価が多いとよく言われます。「高いお金をかけて導入したのにデメリットだらけ」といった、導入を後悔しているブログなどもよく見られます。

もちろん、こうしたブログでの意見があるからといって「エコキュートは導入する価値なし」と断言することはできないわけですが、やはり実際に後悔している人がいる以上、無視できない意見となるでしょう。重要なのはそのブログの内容をよくチェックし、実際にどんなマイナス点があるのか、そのマイナス点やデメリットが日常生活にどんな影響を及ぼすのかを確認することです。

ブログでよく見られる後悔の声としては、「お湯切れが起こる」です。これはエコキュートの基本的な仕組みと密接にかかわっているもので、夜間に沸かしたお湯をタンクに貯めておいたうえで使うというシステムが影響しています。つまり、この貯めておいたお湯を使い切ってしまうと、改めて沸かし直さなければならなくなってしまうのです。これだけでも不便ですが、昼間に使い切ってしまって沸かし直すとなると、エコキュートの「夜間にお湯を沸かすことで電気代を節約できるメリット」が失われてしまいます。

そしてもうひとつ、後悔している理由としてしばしば見られるのが騒音の問題です。エコキュートそのものが立てる音はそれほど大きくないのですが、なにしろ夜間(とくに深夜)に稼働する形になるため、その音が近所トラブルの原因になってしまう恐れもあるのです。実際、問題になって後悔している人もいるようです。

エコキュートはデメリットだらけでおすすめしない?さらなるデメリットを解説

この「お湯切れ」と「騒音問題」のデメリットが大きなネックになるわけですが、ほかにもいくつか注意したいデメリットが指摘されています。そのため、「エコキュートはデメリットだらけだからやめとけ」といった結論の意見も見られます。

まず、電気料金の問題です。省エネ&光熱費の節約ができるメリットがある一方、そのメリットを最大限に活かすためには、自宅で利用している電力プランの変更を検討する必要も出てきます。夜間に稼働するので、この時間帯に電気料金が安くなるプランに変更したほうがより割安になるわけです。
このプランの変更が面倒なうえに、先述したお湯切れの問題があります。夜間の電気料金が割安になるプランは、その代わりに昼間の料金が割高になります。そのため、お湯切れを起こして昼間に沸かし直す必要が出てきた場合には、電気代が割高になるわけです。面倒なうえに割高、これはやはり無視できない大きなデメリットになります。

次に、大きなデメリットとして指摘されるのが水圧の問題です。一般的なガス給湯器と比較すると、エコキュートは水圧がやや弱いと言われています。ガス給湯器は水道から直接お湯を出す形となっているのに対して、エコキュートはタンクに貯めたお湯を使う形になりますから、その分水圧が弱くなる傾向があるのです。日常の使用で不都合を感じるほどの弱さではありませんが、勢いよくお湯が出るほうが良いと感じる人にとっては、ちょっと不満を感じてしまうこともありそうです。
この水圧の問題に関しては、地域によって異なるほか、使用する階層によっても変わってくると言われています。つまり、マンションの高層に設置した場合ほど、水圧が弱くなりがちなのです。

こうしたデメリットは、最終的にコストパフォーマンスの問題をもたらします。エコキュートを導入してよかったかどうかを決めるポイントは、導入にかかった初期費用を省エネによって節約できる光熱費でカバーできるかどうかにかかっているといっても過言ではありません。しかし、これまで挙げてきたデメリット&問題点から、期待したほど節約効果が得られず、いつまで経っても初期費用を解消できる目処が立たないといったことも起こり得るわけです。

エコキュートはやめておいたほうがいい?

では、ネット上のブログなどでしばしば見かける「エコキュートはおすすめしない」という意見は正論であって、導入を検討している人は考え直したほうがよいのでしょうか?この点に関しては、これまで挙げてきたデメリットを実際に抱え込む可能性があるかどうかにかかってくるでしょう。
例えば、それほどたくさんのお湯を使わない環境なら、お湯切れの心配はしなくて大丈夫でしょう。となれば、節約効果が期待できます。また、自宅が近距離に隣家がないような立地なら、騒音の問題を気にする必要はなくなるでしょう。
水圧の問題に関しては、先述したように、実際の使用で不都合を感じるほどのレベルではありませんし、気にならない人はまったく気にならないでしょう。水圧が強いタイプのモデルも登場しています。気になる人は、水圧が強いタイプを購入することで、この問題をかなりカバーすることができるでしょう。

このようにエコキュートにはおすすめしない/できない理由がいくつかあります。なかなかに扱いが難しい面を持ち合わせた機器なのは間違いないのでしょう。ただ、これらのデメリットや弱点がネット上で広く共有されていることもあり、各メーカー側が意識して、その改善を目指したモデルを開発しています。よって、各メーカーの特徴や製品ごとの機能やメリットもよく確認したうえで選んでいくことも重要です。利用する家庭環境によっておすすめできるエコキュートとおすすめできないエコキュートの差が出てくる可能性もあるわけです。この点も見極めをユーザーひとりひとりが行う必要がある、そんなちょっと面倒な面があるともいえるかもしれません。
とはいえ、すでに2023年の段階で全国での設置台数が900万台を突破していることからもわかるように、エコキュートはデメリットだけでなく、さまざまなメリットを備えた選択肢であることは間違いありません。

まとめ

これまで挙げてきたようにエコキュートにはいくつかのデメリットがあるのは確かです。しかし、メリットもたくさんありますし、使う環境や使い方によって、デメリットをカバーすることも可能です。そのため、エコキュートはやめたほうがいいのか、それとも導入するべきなのかは、各家庭の環境によって変わる、という結論になるのではないでしょうか。
間違いなく言えるのは、導入を検討する場合には必ずデメリットをチェックし、自分たちの居住・使用環境と照らし合わせたうえで、メリットとデメリットのどちらがより多く得られるかを見極めて最終的な判断をくだす必要がある、ということでしょう。