コラム

太陽光発電の保険を徹底解説【三井住友海上編】

太陽光発電システムを導入するにあたり、自然災害や設備の盗難など、色々なリスクを懸念している方も多いかと思います。予期せぬ事態が起きた時、私たちを助けてくれるのが保険です。
太陽光発電の保険に加入しておくと、自然災害や火災・地震といった大きな被害が及んでも、保険料によって損失をカバーしてくれます。特に日本は自然災害が多い国ですから、万が一の時に備えて保険に加入することは、決して無駄ではありません。かといって、専門的知識が無い場合、どんな保険を選んだらいいのか、たくさん種類があって困ってしまいますよね。この記事では、太陽光発電保険の相場や、大手の一角である三井住友海上の保険内容について解説していきます。

太陽光発電の保険料の相場は一般的にどれくらい?

始めに、太陽光発電の保険にどんな種類があるのか紹介しましょう。一般的には、「火災保険」「休業保険」「財物損害賠償責任保険」「地震保険」があります。

●火災保険
最も代表的な保険であり、太陽光発電を事業として運営する法人の半数以上が加入するといわれるのが火災保険です。火災に限らず、風災、雹災、雪災や、太陽光パネル及び設備の盗難、飛来物の直撃によるパネルの破損など、幅広いトラブルに対応します。場合によっては、被害を受けた機器などの撤去・清掃費用や、再発防止にかかる費用も補償の対象になります。

●休業保険
事故などが発生し、本来得られるはずだった売電収入を失った分を補償してくれる保険です。主に損害による発電停止のリスクをカバーするもので、損害の範囲は火災保険の対象に含まれる自然災害などです。ただし、盗難被害については保険会社によって対象外となるケースもあり、しっかり確認してください。災害による発電所の停止期間や、修理部品の取り寄せ期間も、休業保険に含まれます。

●財物損害賠償責任保険
太陽光発電設備の管理不備や自然災害により、第三者に損害を与えたしまった場合に備える保険です。第三者の所有する設備や建物に被害を及ぼしたり、落下した太陽光パネルが他人にぶつかり怪我をさせたケースなどが該当します。火災保険はあくまで発電設備に関する保険ですので、第三者への損害リスクを考えるなら、財物損害賠償責任保険を選びましょう。

●地震保険
文字通り、地震の被害に備える保険ですが、火災保険と合わせて加入することが必須になっています。地震の二次災害といえる噴火や津波の被害も補償内容に含まれる場合もあります。

さて、保険内容を一通り説明したところで、気になるのは保険料がいくらぐらいなのか?ですよね。保険会社ごとに料金体系は異なるものの、現状の相場について以下を参考にしてください。

火災保険の相場は、「設置費用×0.4%」が一つの目安と考えるといいでしょう。発電規模が大きくなるほど、保険料も上がっていく仕組みです。たとえば、設置費用が1,000万円なら年間保険料は約4万円ですが、2,000万円だと約8万円になります。
その他、施設所有者賠償責任保険の相場は、最低年間5,000円以上です。敷地面積などによって料金は変動します。休業補償保険は、事故・災害発生から30日間まで補償してもらえる条件だと、大体年間6,000~7,000円程度です。

三井住友海上の太陽光発電の保険の概要について解説

ここからは、大手保険会社の一つ「MS&ADホールディングス」のグループ傘下、三井住友海上火災保険が提供する太陽光発電の保険について解説します。三井住友海上では、「ビジネスキーパー(事業活動総合保険)」とよばれる商品が、太陽光発電の被害・損失などに対応する保険です。
保険の種類が豊富で、顧客ごとのニーズにあわせて選択することができ、オプションを付けることもできます。
ビジネスキーパーの基本補償の種類は以下のとおりです。

①自然災害などによる太陽光発電設備の損害を対象とする「財物損害のみ」
②何かしらの理由により発電が停止した際の損失を補償する「休業損害のみ」
③「財物損害・休業損害どちらも」

これら3つのラインナップから選んだうえ、充実補償の「ワイドPlus」「ワイド」、基本的な補償の「ベーシック」「エコノミー」の4つのご契約プランを選択できます。

「ワイドPlus」と「ワイド」の違いは、電気的または機械的事故を補償の対象とするか否かです。
「ベーシック」は、上記以外に不測かつ突発的な事故が対象外となります。
「エコノミー」は、水災や盗難被害も補償に含まれていません。

最も幅広い事象を補償する「ワイドPlus」がお勧めですが、当然ながら保険料も高くなってしまいます。ご自身の予算なども考慮して、最適なプランを選ぶといいでしょう。ビジネスキーパーでは、顧客の多様なニーズに合わせて、オプション特約を付けることも可能です。

●賠償責任等補償特約
●受託物賠償責任補償特約
●弁護士費用特約
●家賃補償特約

他にもたくさんの特約が用意されていますから、気になる方は三井住友海上ホームページなどをご覧ください。さらに、すべての契約に付帯されるサービスとして、次の3つがあります。

●被災設備修復サービス
●気象情報アラートサービス
●人事・労務相談デスク

どれも緊急時やトラブルを抱えた時に役立つものです。いざという場面で活用してみましょう。

三井住友海上の火災保険にソーラーパネルの保証は含まれる?

所有する建物に、自家発電用あるいは売電収入を得る目的で太陽光パネルを設置する方も多いですよね。もし、建物自体が火災などの被害に遭った場合、太陽光発電の損失分も補償してもらえるのでしょうか。
三井住友海上の火災保険は、建物を保険の対象とし、かつ所有者が同一の場合は補償されると定めています。ただし、火災保険の契約後に太陽光発電システムを取り付けた場合、設定している建物保険金額が不足する可能性があるため、代理店に相談することを推奨しています。
太陽光発電には、保険と別に「メーカー保証」もあり、大きく分けて「製品保証」と「出力保証」の2種類です。通常、太陽光パネル自体が経年劣化やトラブルにより故障した時は、メーカー保証を用いて修理をしてもらいます。火災保険は、製品自体に不備があり故障する場合や、出力が低下して発電量が減少することに対しては、補償の対象としていません。
メーカー保証と火災保険の補償には明確な線引きがありますので、状況に応じてどういった対応を取るべきか判断するようにしてください。

まとめ

太陽光発電の保険には、火災保険だけでなく、休業補償保険や財物損害賠償責任保険といった、所有者自身あるいは第三者に関する保険も存在します。三井住友海上の「ビジネスキーパー」は、基本補償の区別だけでなく、補償範囲を契約者が選択でき、一人一人のプランにあった内容を提供できる点が大きな強みです。あらゆる事態に備えるなら“ワイドPlus”、なるべく保険料を抑えるなら“エコノミー”を選びオプションも付けなければ最安水準で契約できます。
太陽光発電の運用は10年以上の長期にわたるものですから、いつ不測の事態が発生するか分かりません。周辺環境も考慮しながら、あとで後悔しないよう、しっかり保険に加入しておきましょう。