コラム

太陽光発電の保険を徹底解説【損保ジャパン編】

太陽光発電の保険を検討する際、まず大手の保険会社を候補に挙げる方が多いかと思います。発電を長期安定的に継続するには、自然災害など不測の事態に対応してくれる保険の存在はとても重要です。事業規模が大きくなるほど、損失も多大になります。損失を最小限に抑えるためにも、保険による補償は無くてはならないものです。
SOMPOホールディングスのグループ企業である「損保ジャパン」では、太陽光発電に関する保険商品も展開しています。長年の歴史がある企業であり、信頼性が高いと加入者からも高評価なのですが、一体どのようなサービスを行っているのでしょうか。損保ジャパンが提供する保険内容について、これから解説していきます。

損保ジャパンの太陽光発電の保険の概要について解説

多様な保険商品を揃える損保ジャパンの中で、太陽光発電の保険に該当するのは、「企業総合補償保険(オールリスク型保険)」です。太陽光発電システムおよび設置した建物の損害、発電が停止してしまったことによる利益の減少に至るまで、発電事業にまつわるリスクをまとめて補償してくれるサービスとなっています。企業総合補償保険の特長は、次の3点です。

①充実した補償内容
②休業による利益の減少までまとめて補償
③合理的な保険設計が可能

最も重要な補償内容に関して、企業総合補償保険では従来の普通火災保険(一般物件用)や店舗総合保険では対象外だった事故も補償の範囲に含んでいます。具体的には、「電気的事故・機会的事故」や、火災や風災など典型的な事故以外の「不測かつ突発的な事故」も対応してくれるようになりました。
豪雨などによる水災については、損害状況にかかわらず、水災事故によって生じた損害に対して実額に基づいて、自己負担額(免責金額)を差し引いた金額を支払う取り決めです。これまで店舗総合保険では、損害額の一部しか保険金が支払われていませんでした。昨今は台風に限らずゲリラ豪雨も増えており、水災リスクも高まっているため、いざという時に役に立つはずです。

また、火災などによって設備が損傷した場合、復旧までの間発電を停止することになります。大規模発電所ですと、休業による損失の方が大きくなるケースも珍しくありません。
損保ジャパンでは、“利益を守るための補償”も充実させています。「費用・利益補償条項」と「休業損失補償条項」のいずれかを契約でき、両者の違いは下記のとおりです。

●費用・利益補償条項
財物の損害に伴う「喪失利益」「収益減少防止費用」「営業継続費用」を補償

●休業損失補償条項
休業日数に基づく「休業損失」と「休業日数を減少させるための費用」を補償

そして、“合理的な保険設計”とは、支払限度額や自己負担額(免責金額)を自ら設定することで、保険料の削減効果があります。全損となる可能性が低い場合に支払限度額の調整をしたり、軽微な損害に関しては補償の対象外とする設定変更を行うと、保険料の支払額を減らすことが可能です。
さらに、事務所や工場、倉庫など、企業が所有する事業用物件をまとめて1契約で補償することが可能になりました。事務手続きの簡素化およびコストの削減が見込め、保険の管理もしやすいです。事業によって保険に求める補償範囲は変わってきますから、自身の都合にあわせて合理的に設計できるのは嬉しいですよね。

三井住友海上の太陽光発電の保険と比較して異なる点を解説

MS&ADホールディングス傘下の三井住友海上は、太陽光発電向けの保険として「ビジネスキーパー」を展開しています。損保ジャパンの「企業総合補償保険」は、ビジネスキーパーと比較してどんな違いがあるのでしょうか。
どちらも火災保険を基に作られた商品ですから、火災や落雷・爆発など火のトラブルを基本補償とする点は同じです。一方、水災に関して、企業総合補償保険だと損害に対する実額を支払う契約となりますが、ビジネスキーパーだと、十分な補償を求めるには「ワイドPlusプラン」「ワイドプラン」という上位プランを選択する必要があります。ベーシックプランは縮小払いにとどまります。
ビジネスキーパーは、財物損害のみ、休業損害のみ、財物損害と休業損害どちらも、という3つの選択肢から選び、その上でオプションをつける契約方式です。企業総合補償保険ですと、オールリスクをカバーして補償する商品であり、まとめて補償してくれます。もちろん、契約によって対象範囲は変わってきますが、1つの保険であらゆるリスクに対応できるのは便利なはずです。

それら以外に、損保ジャパンでは、保険そのものだけでなく、用地の環境や太陽光パネルの基礎・架台などの構造、防犯まで含めたリスクマネジメントをサポートすることにも力を入れています。たとえば、被害の度合いが大きくなる傾向にある斜面に設置された太陽光発電設備について、土地の状況に適した基礎や架台、排水システムなどに関する報告や助言を実施しているのです。
契約先の太陽光発電所が被災してしまった場合、太陽光パネルをなるべくリユースする活動にも積極的に取り組んでいます。丸紅と提携して、同社が構築したプラットフォームを通じてリユースできる状態かを判別し、発電事業者は適正な保険額を受け取りつつ、リユース品として販売できた分は損保会社の収入とします。

廃棄物を減らしつつ、保険会社の収益にも寄与する仕組みであり、今後増加するであろう太陽光パネルの処理問題に貢献できるはずです。保険会社の収益源が増えることで、契約者への保険金支払いが手厚くなれば、双方にメリットがあるといえるでしょう。

まとめ

損保ジャパンが扱っている「企業総合補償保険」の概要や特長について、要点を説明してきました。太陽光発電にまつわる事故は多様化しており、契約者はあらゆるリスクに備えなければなりません。そこで、従来の普通火災保険を見直し、オールリスクを補償する新たな保険商品を開発したわけです。顧客への助言やサポートにも力を入れ、あらゆる側面から契約者を守る取り組みを行っています。大手保険会社はそれぞれ太陽光発電に関する保険を展開していますが、「企業総合補償保険」もぜひ候補の一つとしてチェックしてみてください。