コラム

太陽光発電に融雪装置(ヒーター)は後付けできる?

太陽光発電の融雪

北海道や東北、北陸地方などでは、冬になると毎年積雪に悩まされていますよね。雪下ろしや雪かきは、作業自体がとても大変かつ時間がかかりますし、雪下ろし中の落下事故や落雪による事故も多数発生しています。太陽光発電に関しては、ソーラーパネルに雪が降り積もると、全然発電しない状態が数日間続くことも起こります。耐久力を超える量の積雪でパネルが破損したり、滑りやすくなったパネルで雪かき中に滑落する危険もあるため、太陽光発電の導入を敬遠する方もいるでしょう。
しかし、豪雪地帯でも太陽光発電を設置する価値は十分あるという意見もあります。融雪装置、いわゆるヒーターなどを取り付けることで、素早く雪を溶かし、発電のロスを最小限に抑えればよいと考えるのです。
本記事では、積雪対策として有効な融雪装置について解説しますので、該当地域にお住まいの方は参考にしてください。

太陽光発電に融雪装置(ヒーター)は後付けできる?

住居に太陽光発電を設置した時、自分で雪降ろしをやるつもりだったけど、体力面などの問題から融雪装置を後付けしたいという方もいるでしょう。結論から申し上げると、後付けも十分可能です。様々なメーカーから製品が発売されています。
たとえば、LPガスの販売などを行う総合燃料商社の「シナネン」は、薄くて軽量な織物状のヒーターを販売しています。ニクロム線によるヒーターと異なり、織物の全面が均一に発熱するため融雪速度が早いのが魅力です。温度調節機能も付いているため、雪の量に応じて調節可能で、省エネ効果が高いのもポイントです。
厚さ1mm以下かつ非常に柔らかく、屋根に設置したソーラーパネルはもちろん、野立て太陽光発電にも対応できます。雪国にありがちな日照があるのに残雪で発電しないといった問題を解決できると同社はアピールしていました。
また、床暖房の開発・販売を行う「カンキョー」は、床暖房の技術を改良して、太陽光発電に融雪を付加する製品を販売しています。ソーラーパネルの裏側に接着することで融雪効果をもたらす商品ですから、もちろん後付け可能です。気温が-15℃の日でも、ソーラーパネルの表面温度が18℃以上になるといい、フィルムの厚さも0.25mmと薄く、接着工事にもさほど手間はかかりません。

ソーラーパネルに融雪装置をつける際、費用はどれくらい?

融雪方法は、上述したヒーター以外にも、主に3つの選択肢があるといわれています。一つ目は「電気式」。ヒーターなどをソーラーパネルに接着して、電気を利用して雪を溶かします。二つ目は「ボイラー式」。灯油・ガスを燃料として、配管やパイプに温水を循環させ、積もった雪を溶かしていきます。三つ目は「散水式」。地下水などをポンプで汲み上げ、ホースやスプリンクラーのようなもので水を撒き、雪を除去します。

気になる設置費用ですが、融雪方法や設置範囲によってかなり誤差が生じます。屋根全面ではなく部分的に設置するケースだと、最新の機器でなければ50~100万円程度で収まることもあるでしょう。一方で、設置範囲が広く、大掛かりな工事になると、200~350万円を超えることもあるようです。
傾向としては、パイプや配管の取付工事や、高性能な最新のヒーターを導入するケースだと、費用が高くなる可能性が高いです。とはいえ、メーカーや製品、施工業者によっても料金が大きく変動することが想定されますから、ご自身の予算と照らし合わせながらリフォーム業者に相談してみることを勧めます。

融雪は自作でも可能?

太陽光発電システムと蓄電池を導入するだけでも150~200万円以上の費用がかかるのに、融雪装置でさらに大きな費用を捻出するのは難しいという方もいるでしょう。長年、豪雪地帯に住んでいる方は、己の知恵と経験を活かしてDIY(自作)で融雪装置を作るケースもあります。
多くのDIY事例をみると、一番取り掛かりやすいのは「散水式」かもしれません。お風呂の残り湯を活用する場合ですと、水槽用ヒーターを併用しながら、ポンプで温水を屋根に流し込み、積雪を溶かしていきます。給湯器のポンプを再利用して費用をできる限り抑え、融雪を行っているそうですが、それなりの材料や手間が必要なのは事実です。
ポンプで地下水を屋根まで上げて、スプリンクラー方式やホースで散水する事例も多く見られます。地下から数えて約20m押し上げ、27坪(約90平方メートル)の屋根を融雪するという方もいます。ポンプを新たに購入すると、それだけで20万円前後かかるので、このDIYでも最低総額40万円程度はかかると考えたほうがよさそうです。

融雪ヒーターのケーブルやマットを購入して自分で取り付ける方法は、費用がさほどかかりませんが、豪雪地帯だと十分に雪を溶かすことが出来ないという指摘も散見されます。いずれにせよ、DIYを行うためには、電気機器の知識やある程度の経験がないと、初心者にはハードルが高いのではないでしょうか。せっかく取り付けても、不備があったら一度外してやり直す必要がありますし、なにかトラブルが起きてからでは遅いです。DIYにあまり自信がない方、多少費用がかさんでも安心確実な融雪装置が欲しい方は、業者に依頼することが賢明です。

まとめ

近年では、後付けする融雪装置だけでなく、融雪機能付き太陽光発電システムが豪雪地帯で販売されています。ソーラーパネルを加熱して雪を溶かすシステムを搭載しており、作動から数分でパネルが発熱するのです。雪下ろしを第三者に依頼する場合、一回あたり数万円かかる場合もあるため、初期費用がかさんでも費用対効果に優れるかもしれません。現在豪雪地帯のところが数年後には雪が降らなくなる、なんて事はほぼ考えられませんので、太陽光発電を導入する際は積雪対策が不可欠です。後付けも可能ですから、冬の発電量が減少して悩んでいる方は、融雪装置を是非とも検討してみてください。