コラム

EVの充電時間はどれくらい?急速充電も可能?人気の車種を中心に調べてみた

EVの充電時間

EV(電気自動車)の充電時間は、充電の方式や使用パターンなどによって変化します。そこで本記事では、充電器の種類によって異なる充電時間と、各充電方法がどのように影響するか、また人気車種の充電時間の違いなどについて詳しく解説していきます。

電気自動車の充電時間は?

EVの充電時間は、使う充電器の種類や車のバッテリーの大きさによって大きく異なります。そのなかでも、充電時間を決定する大きな要因が充電器の種類です。

レベル1の充電器

家庭用の最も基本的な充電器は「レベル1」と呼ばれます。これは、家庭のコンセントを使用する一般的な充電器です。一般的に、レベル1の充電器でEVのバッテリーを完全充電するには、8時間から12時間ほどかかります。時間はかかりますが、自宅で夜間に充電しておけば、朝には充電が完了しているため特に不便はありません。

レベル2の充電器

レベル1より速いのが「レベル2」の充電器です。この充電器は、レベル1より多くの電力を供給するため、240Vの電源を必要とします。レベル2の充電器を使うと、充電時間が大幅に短縮され、4時間から6時間程度でバッテリーをフル充電することが可能です。レベル2の充電器は自宅に設置することもできますし、ショッピングセンターやオフィスビルなど公共の場所にも設置されています。

30分の急速充電も可能。その理由を解説

ここまで見てきたように、EVの充電方法には選択肢があり、家庭での夜間充電にはレベル1が、日中の比較的急速な充電にはレベル2が適しています。これらの方法よりもさらに速い充電ができるのが、「レベル3」や「DCファストチャージャー」と呼ばれる充電方式です。

「DCファストチャージャー」とは、直流(DC)電力を用いてEVのバッテリーを非常に速く充電するための装置です。家庭用電源や一般的な商業施設で使われる電力は交流(AC)ですが、DCファストチャージャーはこの交流電力を直流電力に変換し、車のバッテリーに直接供給することができます。
直流電力を使用することで、充電器は高い電力を効率的にバッテリーに送ることができ、その結果、充電時間を大幅に短縮することが可能です。たとえば、DCファストチャージャーを使用すると、一般的なEVなら20分から30分でバッテリーの80%まで充電できます。運転中の休憩時間にも素早く充電できる便利な方式です。

レベル3の充電器はバッテリーに負担をかける

急速充電が可能なレベル3の充電器ですが、バッテリーに大きな負担をかけるリスクがあることに注意が必要です。実際、レベル3の充電器は、頻繁に使用しないように言われています。その理由は、非常に高い電力で短時間に充電を行うためです。
急速充電を行うと、その間、バッテリー内部で熱が大量に発生します。その熱を適切に処理できない場合、バッテリーの寿命を縮めたり、性能を低下させたりする原因となるのです。

また、レベル3の充電器は、一般家庭ではあまり利用されていません。まず、この種の高出力充電設備が必要とする電力供給が、通常の家庭の電気設備では対応が難しいことが理由です。DCファストチャージャーは、大量の電力を短時間で供給する必要があるため、特殊な設備と安全対策が必要とされます。そのため、公共の充電ステーションや高速道路のサービスエリア以外の場所ではあまり設置されていません。

バッテリーに負担をかけないためのコツ

EVのバッテリーの状態を良好に保つには、バッテリーの状態を定期的にチェックすることです。もちろんバッテリー自体は車体内部に組み込まれているため、直接目で見ることはできません。ただし、車載の診断システムを利用すると、バッテリーの健康状態がわかります。
多くのEVには、バッテリーの状態を監視し、その健康状態を運転席のディスプレイに表示するシステムが備わっています。バッテリーの充電レベル、使用可能な電力、加えて、バッテリーの健康状態や劣化の度合いなどが把握可能です。こうした情報をもとに、メンテナンスのタイミングを判断しましょう。

また、バッテリーを長持ちさせるには、極端に高温や低温の環境を避けることです。また、急速充電の使用は必要最小限に抑え、日常的にはレベル2までの充電器を使用するとよいでしょう。

人気電気自動車の充電時間を比較

EVの充電時間は車種によって異なりますが、ここでは特に人気の3車種、日産リーフ、テスラモデル3、メルセデスベンツEQSの充電時間を比較してみましょう。
まず、各車種のバッテリー容量はすべて異なります。日産リーフは60kWh、テスラモデル3は79.5kWh、メルセデスベンツEQSは107.8kWhです。

普通充電での充電時間

3kWのレベル1に相当する普通充電の場合、各車種の充電時間は以下のようになります。
バッテリー容量が60kWhの日産リーフの場合、3kWの充電でフル充電するには約20時間かかります。一方、79.5kWhのバッテリー容量を持つテスラモデル3の場合、3kWの充電でフル充電するには約26.5時間必要です。さらに大きなバッテリー容量を持つメルセデスベンツEQSの場合、107.8kWhという容量なので、3kWの充電でフル充電するには約36時間もかかります。

レベル2に相当する6kWでの充電の場合、充電時間は次のように短縮されます。フル充電まで、日産リーフで約10時間、テスラモデル3で約13.25時間、メルセデスベンツEQSで約18時間という計算です。

では急速充電での充電時間は?

DCファストチャージャーを使用して50kWの急速充電を行う場合、3車種とも充電時間は大幅に短縮されます。急速充電でバッテリーの80%まで充電する時間を比べてみましょう。日産リーフは約30分、テスラモデル3は約38分、メルセデスベンツEQSは約1時間50分かかります。
急速充電では、各車種のバッテリーシステムの設計差が充電時間に顕著に影響します。普通充電(レベル1やレベル2)では、比較的低い電力で長時間かけて充電するため、車種間の差は比較的小さいです。一方、急速充電では、各車種の技術的な特性が充電時間により大きな影響を及ぼします。車種によって最大充電率が異なりますし、バッテリーの熱管理システムの有無やその性能も急速充電時の効率に大きく影響することに注意しましょう。

上記の充電時間は、各車種のバッテリー容量、充電効率、および充電過程での電力損失を考慮した概算値です。充電時間には差がありますが、急速充電を利用すれば、長距離のドライブにおいても比較的短時間で充電が可能となります。
なお、ネット上で調べると、同じ車種でも充電時間が違っていることがあります。それらは、メーカーが公表する理想的な条件下とは異なる計測方法にもとづく結果である可能性が高いです。より正確な情報を求める場合は、各車種のメーカーの公表する仕様やユーザーガイドを参照してください。

まとめ

EVの充電時間の違いを中心に、充電方式の違いやそれぞれの特性、バッテリーへの影響などについて理解できたのではないでしょうか。家庭で夜間に充電する場合と、外出先で急いで充電する場合では、おのずと選ぶべき充電器が違ってきます。各充電方式の違いを把握し、快適なEVライフをお過ごしください。