太陽光発電とエアコンの電気代

太陽光発電があれば快適なエアコンつけっぱなし状態も夢じゃない?

夏や冬になると、温度調節のためにエアコンが欠かせませんよね。最近は、テレワークの普及により、平日も自宅で仕事をする時間も増えて、さらに使用時間が多くなったのではないでしょうか。
エアコンはとても便利な家電製品である一方、どうしても電気代が気になってしまうと思います。特に真夏や真冬は、ほとんど一日中つけっぱなしにするという日も少なくありません。エネルギー価格の高騰により、電気代が以前よりも上がってしまい、頭を悩ませる方もいるはずです。
そこで、太陽光発電でエアコンの電気代を賄おうと考える方が増加しています。自家発電によって作り出された電力を消費すれば、電気代を気にせずエアコンを使い続けられるという発想です。果たして、太陽光発電があると、本当にエアコンつけっぱなし生活が実現するのでしょうか。

エアコンつけっぱなしの電気代1日/1ヶ月分はいくらくらい?ざっとシミュレーションしてみました

もしエアコンを1日中つけっぱなしにした場合、電気代はどのぐらいかかるのか、ご存知ですか?今回は、大手メーカー「ダイキン」の製品から、基本的な機能を備えたベーシックなタイプ“Eシリーズ”の「AN28ZES-W」を例にとって見ていきます。
基本スペックについて、消費電力は、暖房が定格860W(135~1,420)、冷房が定格780W(125~930)となります。カッコ内の数値は、最小値と最大値をそれぞれ表したものです。基本的な計算式は、以下の通りです。

●1時間あたりの消費電力(kW)×料金単価(円/kWh)

kW単位で計算するため、上記のスペックですと暖房の場合は0.86kWと変換します。料金単価は、家電公取協が2022年7月に電気料金の目安単価を従来の27円/kWhから31円/kWhに改定したので、31円とします。

0.86×31=26.66円

つまり1時間あたりの電気代はおよそ27円弱と考えられます。1日24時間つけっぱなしにすると、26.66×24=約640円という数値が出てきますね。「そんなに高いの?」と驚いてしまった方もいるはずです。実は、エアコンをつけっぱなしにする際は、計算方法を少し変更することになるのです。
短時間に電源のON/OFFを繰り返すと、つけっぱなしの方が電気代がかからないといわれています。ダイキンによれば、30分以内の外出ならエアコンを消さず、つけたままにする方が良いそうです。起動からしばらくの間は最大電力を消費しますが、1時間程で最小電力まで低下する仕組みのため、ON/OFFを繰り返すと最大電力を消費する時間が増えます。とはいえ、長時間外出する際は一度電源をOFFにすべきでしょう。不在中のエネルギーロスが大きくなるからです。上記を踏まえた上で、改めて計算し直してみましょう。

最初の1時間は、1.42kW×31円/kWh=44.02円
残りの23時間は、0.135kW×31円/kWh×23時間=96.255円

合計すると、1日分の電気代はおよそ140円。1ヶ月あたりの電気代は、140×30=4200円前後だと想定できます。

なお、エアコンを24時間つけっぱなしにしても基本的には問題ありませんが、掃除やメンテナンスを怠っていると、正常に稼働しなかったり最悪の場合ほこりが蓄積して火事が発生する危険もあります。古いエアコンですと、フィルターなどの汚れが原因で冷暖房の効率性が悪化して、電力消費量がかさむかもしれません。最新の機種は性能が上がり、より少ない電力で稼働するので、適度なタイミングで買い替えを検討するのも良いでしょう。

太陽光発電のDIYでエアコンは稼働可能?

太陽光発電システムを屋根に設置するのは初期費用がかかるので、DIYで取り入れたいという方も少なくないはずです。DIYだと、どうしても住宅の屋根に取り付けるより容量は小さくなってしまいますが、それでもエアコンを稼働させることは可能なのでしょうか。
結論からお伝えすると、太陽光発電のDIYでエアコンを使用している方はたくさんいます。昨今はDIYブームも相まって、専門業者ではない一般人でも様々な部品や機材を手に入れやすくなりました。

太陽光発電を自作する際に必要な主な部材は次の通りです。

●太陽光パネル
●(正弦波)インバーター
●チャージコントローラー
●リチウムイオンバッテリー
●その他 ※ケーブルや工具など

一般的に屋根に設置する太陽光パネルだと、1枚あたり容量250~300Wの製品が主流です。しかしDIY用としてコンパクトな100W型パネルも販売されているため、そちらがお勧めです。チャージコントローラーやインバーターは、少し余裕をもって大きめの容量を選んでおくと安心です。万が一、容量が小さいインバーターを買って正常に機能しないと、購入費用が無駄になってしまいます。
大雑把な計算ながら、容量600Wの太陽光パネルで発電してエアコンの消費電力にあてる場合、大体3~4時間程度は稼働するものだと考えてください。エアコンの機種や外気との温度差など、条件によって異なるものの、DIYでもエアコンを動かし快適な生活を送ることは十分可能だといえるでしょう。

まとめ

今や日常生活において、エアコンは欠かせない存在です。一度慣れてしまったら、つけずに生活するなんて考えられないでしょう。
昨今、電気代の上昇により、エアコンを長時間使用することを躊躇していた方も少なくないと思います。これまで説明してきた通り、こまめにON/OFFを繰り返すよりも、つけっぱなしにする方が電気代が抑えられます。エアコンで最もエネルギー消費が大きいのは、部屋が設定温度になるまでの1時間程度です。一旦設定温度になれば、その後は最小消費水準を維持するという仕組みを覚えておきましょう。

また、太陽光発電のDIYは比較的簡単にできるとはいえ、ある程度の知識や経験が求められます。初心者がすぐにDIYでエアコンを稼働させられると断言するのは少々厳しいかもしれません。とはいえ、電気代を削減したいと考えるなら、ぜひ挑戦してみましょう。この記事を読んだ方々は、ぜひ効率的なエアコンの使い方を実践してみてください。


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