コラム

トライブリッド蓄電システムⓇはどんなサービス?仕組みや特徴を解説

家庭用の太陽光発電システムや電気自動車をお持ちの方、これから購入を検討されている方なら、ぜひとも知っておきたいのが「トライブリッド蓄電システムⓇ」です。電力供給や充電の過程を効率良くするだけでなく、機能的にしてくれます。そこで、この記事ではトライブリッド蓄電システムⓇとはそもそも何なのか、どのような仕組みやメリットを持っているのかを解説していきます。

トライブリッド蓄電システムⓇの仕組み

トライブリッド蓄電システムⓇとは、3つの電源を連携させて、最適な仕方で充電や放電、つまり電力供給をする仕組みのことです。このトライブリッド蓄電システムⓇは2018年にニチコンという国内メーカーが初めて販売したもので、家庭用蓄電池システムの分野で画期的な製品となりました。3つの電源とは、ソーラーパネルによって発電する太陽光発電システムとそれを貯める蓄電池、電力会社から供給される電気、そして電動自動車に内蔵されているバッテリーです。

トライブリッド蓄電システムⓇでは、1つのコントロールユニットにこれらの3つの電源を接続することによって、お互いに充電したり放電したりできる仕組みとなっています。たとえば、日中は太陽光発電システムで電気を作り、それを住居の中の蓄電池に充電します。その後、蓄電池から電気自動車に電力を送り、充電させます。逆のルートも可能で、電気自動車のバッテリーの電力を住居側に送り、家電製品などを動かすことも可能となります。このように、複数の電源を連携させ、相互の稼働を可能としているのがトライブリッド蓄電システムⓇなのです。

トライブリッド蓄電システムⓇは、大まかに言うと、3つの機器から構成されています。
1つ目は「パワーコンディショナ」と呼ばれる機器で、全体をコントロールする装置のことです。電力会社から供給される電気は交流ですが、太陽光発電システムによって作られる電気、EVバッテリーの電気は直流です。そのため、パワーコンディショナは直流と交流の交換ができる構造を備えています。同時に、それぞれの電源に適した電圧に変化させる仕組みも持っています。こうして、特徴の異なる3つの電源を問題なく行き来できるようにします。

2つ目の装置は蓄電池です。太陽光発電システムで作られた電気は、蓄電池に貯められてから家庭や電気自動車に放電することになります。また、逆に電気自動車から蓄電池に充電できるようにもなっています。もちろん、電力会社からの電気についても充電ができる仕組みを持っています。パワーコンディショナで調整された電気を蓄電池に貯めて、その時に必要な方法で放電できるようにしています。

3つ目の装置はv2hスタンドです。これは、電気自動車との接続、連携をするための装置です。パワーコンディショナから配線されて、通常は駐車場付近に設置され、スタンドから伸びるケーブルを電気自動車に挿して、充電することになります。スタンドからケーブルを挿した状態で、逆にEVから住居に向かって放電もでき、スタンドはその受電と送電をコントロールできる仕組みを備えています。

トライブリッド蓄電システムⓇの特徴

トライブリッド蓄電システムⓇの最大の特徴は、異なる電源を一つにまとめて管理できるという点です。今までのシステムでは、太陽光発電システムからの電気を蓄電池に貯めてから、それを住居に使うことはできました。しかし、そのままでは蓄電池から直接電気自動車に充電はできませんでしたし、電力会社からの電気を蓄電することもできませんでした。トライブリッド蓄電システムⓇによって、追加装置を設置することなく、1つのユニットですべてをまかなえるようになったのです。

このシステムでは、高出力の電気供給ができるのも特徴です。停電した時には、最大5.9kWhの出力が可能となります。一般的に、ソーラーパネルのみでの電源供給だと3kWh程度がマックスとなっていますが、このくらいの出力では、エアコンなどの消費電力の大きな家電製品と他の家電と一緒に使うのは難しいものがあります。しかし、ニチコンのシステムを入れることによって、停電時でも平常時とそう変わらないスペックでの電力供給ができることになります。

さらに、200V供給ができるのも大きいです。オール電化住宅が増えていますので、200Vでの電力を供給できないと、キッチンでの調理はできなくなります。その点、このシステムがあれば、ほぼすべての電化製品を使えるので安心です。
また、ニチコンのトライブリッド蓄電システムⓇは、蓄電池のバリエーションがあるのもポイントです。容量においては2パターンあり、4.9kWhと7.4kWhの異なる製品が販売されています。ニチコンのシステムでは最大2台の同時設置が可能となっていますので、4.9kWhから14.9kWhまでの4つのパターンで、蓄電池ユニットを構成することができます。家庭におけるニーズや予算などによって対応できるのが優れている点です。

トライブリッド蓄電システムⓇのメリット

トライブリッド蓄電システムⓇを導入するメリットとしては、無駄のない電力コントロールができることが大きいでしょう。太陽光発電システムによって作った電気を使い切れないと、自家消費率が下がってしまいます。しかし、このシステムがあれば電気自動車にも充電できるようになりますので、無駄を減らせます。

また、逆にEVからの住居側への供給ができることもメリットを生みます。つまり、電気料金の安い夜間にEVに充電し、電力会社が供給する電気料金の単価が高い時間帯にEVバッテリーから供給することで、電気代を抑えることができるのです。こうした充放電のタイミングについては、ニチコンが提供しているコントロールシステムでは自動的にお得な設定をしてくれるので、自分たちでわざわざ操作しなくても良いのもうれしいところです。
そして、災害への備えを強化できるのもメリットと言えるでしょう。自家消費できる太陽光発電システムがあるだけでも助かるのですが、それに加えて電気自動車のバッテリーを使えるのは大きな備えとなります。ニチコンのシステムでは全負荷型、つまり住居全てに電力を供給できるタイプもありますので、停電しても普段とあまり変わらない状態で家電を使うことができます。

さらに、電気自動車への充電コストを大幅に下げられるのもメリットです。たいていの家庭では自動車は日中使いますので、充電は夜間に行います。トライブリッド蓄電システムⓇがないと、夜間の充電は電力会社からの電気に頼ることになり、電気料金が発生してしまいます。しかし、このシステムがあれば、ソーラーパネルで日中に発電した電気を夜間であってもEVへの充電ができるので、賢く運用すれば充電コストをゼロにするのも夢ではありません。

トライブリッド蓄電システムⓇとは太陽光発電システムと電力会社からの電気、そして電気自動車バッテリーの電気という3つの異なる電源を連携させ、相互に使えるようにしたシステムです。無駄のない電力供給のシステムが出来上がったことで、電気代を下げられるうえに、災害時における停電対策として安心できる備えができるといったメリットがあります。