2020年代になって、「SDGs」という言葉を耳にする機会がとても増えましたよね。最近では、テレビ番組でもSDGsをテーマにした特番が企画されるなど、私たちにも馴染みがある話題です。
ほぼ同時期に、太陽光発電も一般社会への認知度が広まっていきました。どちらも地球環境を守ることを目的としていますが、両者はどのように関係しているのでしょうか。分かっているようで、いざ聞かれると曖昧な方も少なくないかと思います。そこで今回は、“太陽光発電とSDGs”の関係について、詳しく解説していきます。
太陽光発電はSDGsの何番目に影響?
まず初めに、SDGsとは何か、簡潔に説明しておきましょう。
SDGsは「Sustainable Development Goals」の略語で、2015年に国連で採択されました。持続可能なより良い社会の実現を目指す世界共通の目標として、17のゴールと、ゴールを達成するための169のターゲットから構成されています。
先進国だけの目標ではなく、地球上の全員、誰一人取り残さないことを前提に、2030年までに達成することが目標です。世界中の人々が同じ方向をむいて、「より良い社会を作っていこう」というコンセプトです。
太陽光発電は、SDGsで掲げられた17のゴールのうち、7番目「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」と、13番目「気候変動の具体的な対策を」に影響しています。日本国内では、どこにいても電気を自由に使うことが出来ますよね。しかし、世界を見渡すと、それは決して当たり前のことではありません。実に7億人以上が、現在も電気を使えない生活を送っているのです。
さらに、地球温暖化や気候変動が加速しているのは、発展途上国といわれていた国々の経済成長が著しいことも理由に挙げられます。電力消費量が増えれば、需要を賄うために火力発電所を建設して化石燃料を消費することになりますが、それが続く限り温暖化の進行を止めることはできないでしょう。
温室効果ガス排出量を抑えつつ、全ての人々に電気が行き渡るようにするには、クリーンな再生可能エネルギーを普及させることが必須です。気候変動を悪化させないため、まずは私たち一人一人が強い意識を持って取り組むことが重要となります。
身近なところだと、日常生活で電気を無駄に消費しない、ガソリン車に乗らず代替の移動手段を選択する、などができます。法人の場合、事業活動で使用する電力を再生可能エネルギーに置き換える、または植林など緑を増やす行動も地球環境の保全に貢献します。
太陽光発電のメリット、デメリットを改めて整理してみた
SDGsの目標を達成するために、太陽光発電はとても重要な手段の一つだとお分かりいただけたと思います。そこで、太陽光発電を導入するとどんなメリットがあるのか、一度整理してみましょう。太陽光発電のメリットは、主に以下の点です。
●太陽エネルギーは無限にある
●発電時に温室効果ガスを排出しない
●非常用電源になる
メリット①:太陽エネルギーは無限にある
太陽光発電において、必要なエネルギーは太陽光です。太陽が存在する限り、無限に電力を生み出すことが可能です。もし、今まで通り化石燃料を消費し続けたら、100年後には資源が枯渇すると推測されています。再生可能エネルギーに切り替えれば、そういった心配はいりません。
メリット②:発電時に温室効果ガスを排出しない
火力発電は、エネルギーを大量に効率よく生成できるため、20世紀から現在に至るまで重宝されてきました。しかし、発電時に二酸化炭素(CO2)を排出し、地球温暖化や大気汚染を悪化させる原因になっています。太陽光発電は、太陽光を電気エネルギーに変換する仕組みですので、CO2を排出しないクリーンなエネルギーです。
メリット③:非常用電源になる
現代社会において、電気を一切使わず生活するのはほぼ不可能です。自然災害によって停電が起きた場合でも、太陽光発電があれば自宅で電化製品を稼働させることができます。続いて、太陽光発電のデメリットは、主に以下の点です。
●天候により発電量が左右される
●メンテナンス費用がかかる
●場所によっては環境破壊につながる
デメリット①:天候により発電量が左右される
太陽光発電は、日照時間によって発電量が大きく変わるものです。雨の日が続いたりすると、発電量が想定より少なくなる可能性があります。
デメリット②:メンテナンス費用がかかる
導入するための初期費用、くわえて発電量を維持するためのメンテナンスも必要です。一度設置したら放ったらかし、というわけではないので、面倒に感じる方がいるかもしれません。
デメリット③:場所によっては環境破壊につながる
せっかくの太陽光発電も、たとえば森林を伐採して山の斜面に設置したら、むしろ環境に悪影響です。CO2排出量削減が目的なのに木々を減らしてしまうのは、まさに本末転倒ですよね。
SDGSに積極的に取り組む太陽光発電関連の企業をピックアップ
SDGsへの取り組みを強化している企業は数多くありますが、その中でENEOSホールディングスを取り上げてみましょう。
ENEOSはご存知の通り、ガソリンスタンドなどを展開する石油元売り会社の最大手です。これまで化石燃料由来の資源でビジネスを展開してきた企業が、太陽光発電やSDGsに対しどんな活動を行っているのでしょうか。
特に目立つのは大規模なメガソーラーへの出資です。一例として、2021年、兵庫県三田市のメガソーラー事業に単独出資しました。出力規模は約12万kW。同社が国内で運用する太陽光発電所としては最大規模になります。
ENEOSは再生可能エネルギーなど非化石資源ビジネスの割合を増加させる計画を立てています。石油事業は将来売上が確実に減少する、それほどの危機感を持ち、ビジネスモデルの転換を急ピッチで進めているのです。
まとめ
SDGsの7番目「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」と13番目「気候変動の具体的な対策を」は関連性が高く、いずれも鍵を握るのは再生可能エネルギーです。太陽光発電は、水力発電や地熱発電と異なり、私たちが生活の一部として導入しやすいものです。SDGsも、皆が意識を持って取り組んでいくべき課題なので、太陽光発電などの再生可能エネルギーを普及拡大させていくことが、SDGsが掲げるゴールに到達する近道といえます。
どの再生可能エネルギーにもメリットとデメリットがありますが、メリットを十分に活かすことを考えて取り組むと、おのずとSDGsへの意識も高まるのではないでしょうか。