バッテリーとモーターで走るEVは自動車だけでなく、バイクの世界でも徐々に普及が進んでいます。バイクはボディーサイズや重量に制限があるということで実用化が難しい部分もありますが、技術開発によってモデルもサイズも多様化してきています。また、一充電当たりの航続距離も伸びてきていますので、これからさらに気軽に乗れるようになっていくことでしょう。
そこで、本記事では50ccクラスから250ccオーバーのそれぞれの区分で、どんなevバイクがあるのかを解説していきます。
50ccクラスのevバイク
50ccクラス、つまり原付一種区分のバイクにはたくさんのEVモデルがあります。というのも、このクラスは車重が軽いのでバッテリーを小型化することができ相性が良いからです。原付バイククラスのEVは開発も早かったためバリエーションも豊富ですし、性能も総じて高い傾向にあります。
たとえば、ヤマハの「E-Vino」は人気原付スクーターシリーズであるVinoのEV版です。このモデルのメリットは、新車購入価格がガソリン仕様のものとほぼ同じに設定されているので気軽に購入できるという点です。また、充電時間は3時間程度と速く、日常使いにも便利です。最高時速は約40kmあり、航続距離は29kmとなっています。買い物や通勤通学に支障のないスペックと言えるでしょう。Vinoらしいレトロ感のあるデザインですので、あらゆる層から支持されるバイクです。
ホンダでは「EV-neo」という専用モデルを出しています。ホンダにはハイブリッドカーの開発ノウハウがありますので、その技術を応用した高性能のモーターを積んでいるのが特徴です。原付バイクに合わせてトルクを緩やかに出せるように設計しているため簡単に操作できます。充電時間は20分程度と短く、一充電当たりの航続距離は34kmです。高性能のバッテリーが人気の理由となっています。
スズキでは「e-Let’s」というモデルが販売されています。日常使いを強く意識したモデルで、大きなフロント収納を装備しています。また、発進からの加速が穏やかなチューニングとなっていて、誰でも無理なく乗れるバイクに仕上げられています。充電時間は4時間程度で、連続航続距離は30kmです。
原付一種に相当するevバイクとしては、さらに個性的なモデルも多く見られます。たとえば、折りたたみができる携帯性やコンパクトさを売りにしたものが増えています。たとえば、「CYRUSHER XF590」はフル電動で40から50kmの走行が可能で、電動アシスト自転車のように手動でも走行できる機能も付いています。バッテリーは取り外しできて、5から7時間程度で充電可能です。収納などの装備はありませんが、軽くて折りたためるので自動車の荷室に積んでいくなどの使い方もできます。
125ccクラスのevバイク
125ccクラスのevバイクになると、よりパワーが強くなり航続距離も伸びるのでさまざまな用途で使えるモデルが出てきます。たとえば、ホンダの「ベンリィe:」はデリバリーなどに使えるビジネス向けモデルです。大型のキャリアや大きなバイザー、さらにフットブレーキなども搭載しています。一充電当たりの航続距離は55kmとなり、最高出力が5.7PS、最大トルクが15N・mあります。荷物を積んでも余裕のあるパワーですので、配達にも十分使えます。
スズキからは「ニンジャe-1」というモデルが販売されています。世界的な人気を誇るニンジャのEV版で、400ccクラスのモデルをベースにして開発されています。140Kgと軽量化を図りながらも高性能バッテリーを2個搭載しているため、最大出力9kWhものパワーを出せるのが強みです。やはりスポーツタイプのバイクとして非常に性能が優れていて、電動ならではの力強い加速力を満喫できます。ボタンを押すと一気にパワーが出る「e-boost」といった機能も追加されていて、走りを楽しみたい方におすすめです。
カワサキでは125ccつまり原付二種相当となる「Z e-1」を出しています。前述のニンジャe-1とパワーユニットやフレームなどを共有しているため、出力やバッテリー性能などは同じです。ただし、このモデルはネイキッドスタイルのボディーデザインとなっています。カウルを減らしているため車重はより軽くなり、ニンジャと比べると5Kgも軽いです。そのため、軽やかな走行性能が特徴となっています。一充電当たりの航続距離は55kmとなっていて、ロードモードとエコモードの切り替えが可能です。主にストリートでの走行を想定していて、俊敏で加速力のある走りを楽しめます。
ホンダはビッグスクーターの人気シリーズのPCXにEVモデルを投入しています。「PCX ELECTRICK」というモデルを出していて、基本はリース利用となります。持ち運びができるタイプのバッテリーを搭載しているのですが、1個だけでも走行できるのが特徴です。そのため、1個を充電している時にもう1個を積んで短距離を走るという使い方もできます。最高速度は時速60kmちょっととなっていて、連続航続距離は41kmです。充電時間はバッテリー1個で4時間程度です。家庭用プラグからでも充電できるのも魅力で、気軽に利用できます。
250ccクラスのevバイク
パワーが大きくなる250ccクラスとなると、日本だけでなく海外バイクメーカーでも多くのモデルが出されています。どちらかというと、本格的な走りやツーリングを楽しめる作りとなっているモデルが多く、バイク好きの方に向けられています。
たとえば、BMWで「C-evolution」というモデルを出しています。スクータータイプのバイクなのですが、evバイクの特性を生かした走行スペックを高めたモデルです。発進から時速50kmまでの到達時間は2.8秒となっていて、スーパースポーツ並みの加速力を誇ります。モーターで走るevバイクならではの加速性能をフルに感じられるのが魅力です。しかも、一充電当たりの航続距離は160kmもありますのでツーリングにも使えます。充電時間は4時間半程度となっていて、200Vであれば家庭用コンセントでも充電できます。
イタリアのバイクメーカーであるアディバでは「VX-1」というevバイクを販売しています。ビッグスクータースタイルで、やはり加速力が非常に強く時速100km到達時間はわずか6秒です。バッテリーは容量の選択肢があって、大きいタイプを選ぶと連続航続距離は270kmまで伸びます。ガソリン車に近い距離となりますので長距離ツーリングでも問題ありません。充電時間は容量によって2.2時間から4.4時間となっています。
まとめ
evバイクは異なる排気量区分ごとにいくつものモデルが登場しています。使い勝手が良く日常使いで気軽に乗れるバイクもありますし、電動バイクならではのパワフルな走行性能を満喫できるものもあります。これからもさらに多くのevバイクが登場することが考えられますので、走行目的を考えて自分にぴったりの一台を選びましょう。