EVの普及を一層進めるために、充電スタンドの増設が進められています。その数は増加傾向にあり、ガソリンスタンドに迫る勢いです。充電スタンドは、高速道路のSA・PA、道の駅、商業施設など、電気自動車が乗り入れうる場所に広く設置されています。駐車場の一角に設置されていることが多く、買い物中などに充電しておけるのが特徴的です。
街中で見る充電スポットは事業として提供されており、無料で利用できるわけではありません。EVの普及に伴って、今後自分がEVを購入したり、仕事で利用したりすることも増えてくることが予想されます。充電スタンドの仕組みを理解しておけば、ガソリン車とは異なる特性を持つEVでもスムーズに移行しやすくなるのではないでしょうか。ということで、本記事は充電スタンドの仕組みついて解説していきます。
EV充電スタンドは会社が事業として運用していることも多い
EVの充電は大きく分けて3種類に分けられています。
1つ目は基礎充電。EVの拠点となる場所で出発前に行われる充電で、出発前にこの基礎充電で満タンにしておくのが望ましいといえます。次に目的地充電です。長期滞在する施設などに駐車している時に行う充電です。EVの普及に伴って、充電器の有無はその施設を利用するかどうかを決める指標になりうるものです。最後に経路充電です。道中、やむを得ない事情で充電が必要となった場合に行う充電です。急な電欠などがその例で、高速道路のSA・PA、道の駅などで行われることが多いです。道中の充電であるということで、短時間で多量の充電が見込める急速充電器が設置されていることが多いのが特徴的です。
また、公共の充電スタンドの多くには共通の標識がついており、標識からはEVの充電器であることや、電圧、急速充電か否かを読み取ることができます。一方で独自の標識が設けられている場合もあるので、利用する際は標識をチェックするようにしましょう。
充電スタンドは公共施設として設置されているものと、個人のスタンドのおおまかに2つに分けられます。公共の充電スタンドは国が補助金を出して設置を促し続けてきた背景があり、補助金で設置されたスタンドはその施設利用者以外のEV利用者にも開放することとなっています。さらに公共の充電スタンドはeMPネットワークに加盟しているか否かに分かれます。eMPネットワークはEVのインフラネットワークであり、そのネットワークにEVの利用者が接続するという形式をとっています。eMPまたは提携先のサービスに会員登録を行い、専用のカードを発行します。発行後、スタントでカードをかざし、認証を行うことでスタンドが利用可能となります。eMPネットワークに加盟していないスタンドもあり、その場合はスタンドごとの充電ルールに従うこととなります。別のシステムが整備されており、別ネットワークの登録制度が設けられているところもあります。
EV充電スタンドの料金体系からランニングコストを考える
EVの充電サービスは各社からプランが提供されている
EVの充電スタンドを利用して充電するのにかかる費用は、加入しているサービスによって異なります。料金システムは一定の傾向があり、大きく月会費と都度料金が発生する場合が多くなっています。月会費は毎月定額登録料として、加入先に支払います。そこでそのネットワーク加盟の充電スタンドを利用する権利が得られます。そして、カードをもって充電する際に都度料金を支払う形となっています。プランは複数設けられており、月額料金の中に一定時間分の充電料金が含まれているというプランもあります。
また、急速充電と普通充電で料金が異なり、一般的には急速充電のほうが高く設定されています。プランに登録していなくても都度システムに認証を行うことで充電できるビジター認証という制度もあります。ビジター認証は登録不要で月会費などは発生しませんが、その分毎回の料金が高く設定される傾向があるので、頻繁に利用する予定の場合、費用の面ではネットワークに登録するのが賢明です。
どこでどのように充電するかで費用も変わってくる
充電にかかる費用も自宅かスタンドで実施するかで異なってきます。スタンドの場合、料金は時間単位で設定されている場合が多く、時間単位の料金は急速充電か普通充電かによって異なってきます。従って、料金を算出するにはEVのバッテリー容量、スタンドの電流、電圧から充電時間を推定し、時間単位の料金から合計の充電料金を計算する必要があります。車種によって異なりますが、5分の急速充電で40km程度の走行が可能だという目安もあります。
ガソリン車と比較して安くで走行できるかはケースによって異なってきますが、長距離ユーザーの方がお得に利用できる可能性があるという試算もあります。自宅で充電する際は家庭のコンセントを利用することになるので、家庭用の電気料金のプランを見直したり、外で充電する際も価格が抑えられたスタンドを積極的に利用することでランニングコストも抑えられるのではないでしょうか。
自宅にEVスタンドを設置する方法もあり?
自宅で充電設備を設置出来ることもある
EVの普及によって充電器が普及しつつありますが、自宅の近所にない場合など、充電設備が気になる場合は自宅に充電設備を設置することも視野に入れましょう。自宅で充電するほうがスタンドを利用するよりも安く済む傾向があります。また、燃料補給のために外出する必要もなくなるため、より快適にEVを利用できるでしょう。
家庭用のEVスタンドは自立スタンド、壁付け、コンセントの3種類に大きく分けられます。自立スタンドは公共の充電スタンドでもよく見られるタイプで、家と駐車場との間に距離がある場合に利用される傾向があります。壁付けタイプは駐車場に近い建物の壁に設置するタイプです。ケーブルが付属しているタイプを設置すれば、車載ケーブルなしで充電可能です。コンセントタイプは低コストで導入できるうえ、スペースに余裕がなくても設置できるのが特徴で、充電設備の中ではポピュラーな部類になります。
家庭用充電設備を導入する上で確認したいこと
家庭用のEV充電設備の導入を考える場合は、いくつか確認しておきたいことがあります。
まずはブレーカーの電圧です。EVの充電には200Vの電源を使用することが多いです。家庭用は100Vなのですが、必要に応じて200Vも利用できる方式を採用している家も増えているので、設置予定の自宅などが200Vに対応しているか確認しておきましょう。200V未対応の自宅であれば、200Vにも対応できるように増設工事が必要となります。
電圧だけでなく、電流の方も確認しておきましょう。電気の契約プランのアンペア数によっては、電力不足でブレーカーが落ちてしまうこともあります。そのため、EV充電中に他の電気機器の使用を考えている場合は、契約アンペア数の増量も視野に入れておきましょう。また、付随の工事がどの程度必要かによっても工賃は変わってきます。ブレーカーと設置場所との距離などにより、配線のために外壁や地面の工事が必要となることもあります。追加の費用は業者によって異なるので依頼前によく確認しておきましょう。
まとめ
EVは定期的な充電が必要です。充電設備は整備が進められており、今後一層の拡充が望まれます。自宅外で充電するには有料の専用のステーションを利用する必要があります。事前に料金体系を把握することで、お得に活用できるでしょう。また、自宅に充電設備を設置すればより便利にEVを利用できます。工事が必要なケースが多いので、希望する場合は専門の業者に相談するようにしましょう。今後EVの利用や購入を視野に入れている場合は、安定的な電源の確保について事前に下調べしておくと、スムーズにEVを導入できるのではないでしょうか。