太陽光発電とは

注目を集める太陽光発電とはそもそも何?仕組みを中心にわかりやすく解説

地球温暖化や大気汚染問題の深刻化によって、SDGs(持続可能な開発目標)やカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること)という言葉を耳にする機会が増えてきました。
そこで注目されているのが、二酸化炭素などの有害物質を排出しない、もしくは排出が少ないクリーンエネルギーです。従来の石炭や天然ガスなど化石燃料で電気を生み出す方法と異なり、太陽光発電は資源が枯渇する心配が無く、なおかつ地球に優しいエネルギーとして多くの人が関心を寄せています。

このページでは、太陽光発電が一体どういうものなのか、詳しい仕組みや発電方法、加えて電気を電力会社に買い取ってもらう「売電」についても紹介していきます。

子供でも分かる太陽光発電の仕組み

そもそも太陽光発電とは、太陽光で発電するシステムの総称です。皆さんがパッとイメージするであろう屋根などに付いているソーラーパネル以外に、分電盤、パワーコンディショナーといった物が含まれます。
太陽光発電は、主に以下の3つの工程を経て、電気が生成されます。

①電気を作る
②電気を変換する
③電気を振り分ける

太陽電池、太陽光パネルとも称されるソーラーパネルに太陽の光が当たると、「光電効果」が発生します。
光電効果とは、金属表面に光線が入射すると、電子が飛び出す現象です。これによって、光のエネルギーが電気エネルギーの形態に変形されるのです。

太陽電池は、薄いn型とp型の半導体を積み重ねた構造となっており、伝導電子と言われる動きやすい電子が新たに発生します。
n型ではマイナス極、p型ではプラス極の電気が生み出され、この電子が導線を伝わって移動することで電気の流れが生まれるのです。

ソーラーパネルには1枚ごとに配線が接続され、通常、複数のパネルを1ブロック(ストリング)として複数のブロックで構成されます。パネルの枚数が多いほどブロックの数も多くなり、配線の数も増えます。
それらの配線を1まとめにするのが、接続箱です。この接続箱からパワーコンディショナーと呼ばれる装置に電気が送られるのですが、最近は住宅用太陽光発電システムだとパワーコンディショナーに接続箱が一体化されている商品もあります。その場合、接続箱単体での設置は不要です。

以上、太陽光発電の大まかな仕組みを簡単に説明してきましたが、②電気を変換する、及び ③電気を振り分ける、については次の項目で説明します。

太陽光発電の仕組みを理解する上で重要な「パワーコンディショナー」

太陽光発電を始めるにあたり、ソーラーパネルを購入して屋根に取り付ければすぐに開始できると考える方がいるかもしれませんが、それだけではせっかく発電した電気を家庭で使用したり売電したりする事は出来ません。一体なぜでしょうか。
実は、太陽光発電で作られた電気は「直流電流」です。向きも大きさも変わらない常に一定方向に流れる電流と定義され、市販の乾電池や充電式の電池がこれに該当します。
ところが、皆さんのご家庭にあるコンセントは「交流電流」です。時間の経過とともに周期的に大きさや向きが変化する電流のことで、電力会社の発電所で作られ、家庭に送られる電気も交流が送電されています。
直流電流と交流電流では性質が全く異なるため、コンセントから直流電流を供給することは出来ないのです。

そこで必要となるのが、パワーコンディショナー。ずばり、パワーコンディショナーは直流電流を交流電流に変換する機能を持っています。
太陽光発電によって作られたエネルギーが交流電流に変換されると、パワーコンディショナーから分電盤と呼ばれる装置に送られ、家電等の機器に振り分けられます。
こうして、部屋の中にある家電のスイッチをオンにした時、コンセントから交流電流が供給されて、正常に使用できるのです。
また、パワーコンディショナーにはもう一点、太陽光発電を行う上で大事な機能を兼ね備えています。それは、「系統連系保護機能」というもので、太陽光発電システムを安全に停止させ、発電した電気を電力会社の電力系統に流さないことです。
例えば自然災害によって停電が発生した時、復旧工事を行う現場では電気が流れていないという前提のもと、作業に取り掛かります。電力会社からの送電が停止していても、一般家庭から売電目的の電気が流れてしまったらどうなるでしょうか。工事現場で事故が起こるのは想像に難くありません。
そのような事態を引き起こさないためにも、系統連系保護機能は太陽光発電において欠かせません。ぜひとも覚えておきましょう。

太陽光発電の売電の仕組みはどうなっているの?

さて、太陽光発電の仕組みの概要を説明したところで、既に太陽光発電を開始している人はどのような目的で導入を決断したのでしょうか。おそらく答えは、「自家発電」と「売電収入」、この2つが挙げられると思われます。
太陽光発電は、太陽の光が照射する間は発電を続けるシステムですので、日差しがある昼間は毎日(※悪天候の日を除く)電気を生み出すことができます。しかし、これから導入を検討しようという方の中には、
「昼間はほとんど外出しているから役に立たない」
「せっかく発電しても、使いきれなかったらもったいない」
と思う方もいるでしょう。
そういった不安を解消してもらうために、政府が「売電」という仕組みを設けました。

再生可能エネルギーの導入を促す目的で作られた売電は、住宅用太陽光発電システムにおいて、使いきれず余った電気、余剰電力を電力会社が買い取ってくれます。家庭用の小規模太陽光発電に関して、最初から全ての電気を売電する全量買取は認められていないため、今回は余剰買取についてお話していきます。

売電は、国が定めた「FIT制度」に基づいて実施されます。FIT制度は固定価格買取制度という意味で、固定価格で10年間、電力会社に買い取らせることを義務づける制度です。よって売電価格は、太陽光発電を始めるタイミングで異なるものの、一度決められた価格から10年間は変動することがありません。こうしたルールを施行することで、誰もが安心して太陽光発電を導入する環境を整えてくれたのです。

電力会社へ売る電気の量は、スマートメーターや電力量計と称される装置で日々確認することが出来ます。一般的に、発電量や売電量などを表示するモニターが家の中に設置されることになるでしょう。こまめにメーターをチェックすることで、月々あるいは年間あたりの売電収入の目安も計算しやすくなります。

まとめ

街中を歩いていても、オフィスビルや商業施設の屋上に大量のソーラーパネルが設置される光景が増えてきました。
大規模なものは、「産業用太陽光発電」といわれ、一般家庭の屋根に取り付けるものと多少異なる部分もありますが、概ね仕組みは同じです。
企業や個人問わず、化石燃料を大量に消費する方法から、地球の環境破壊を防ぐクリーンエネルギーにシフトする流れは、今後ますます加速することは間違いありません。その中でも太陽光発電は、誰でも気軽に始められる手段であり、二酸化炭素を排出せずに今まで通りの生活を送れる、とても魅力的なライフスタイルだと言えます。

自分自身の生活を豊かにすると同時に、将来の地球への投資という意味でも、太陽光発電の導入を検討してみてはいかがでしょうか。


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