太陽光発電の損益分岐点

太陽光発電のメリット、デメリットを理解して導入を検討しましょう!

「一般社団法人 太陽光発電協会」が集計したデータによると、住宅用太陽光発電システムを設置している戸建住宅は、2019年度末時点で267万戸を突破しました。普及率は全戸建住宅の9%に及び、現在もその数は増え続けているため、2022年時点では推定10%前後。実に10軒に1軒の家庭で太陽光発電が取り付けられていることになります。

地球環境に優しいクリーンエネルギー、かつ災害時にも役に立つなど、多数のメリットがある太陽光発電ですが、注意すべき点もあります。それは、きちんとデメリットも理解していないと、最終的に損をする可能性があるということです。
これから太陽光発電の導入を検討しようと考えている人は、どのような事に気を付ければ良いのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

太陽光発電は7割が損すると言われている?

いきなりショッキングな見出しを目にして、太陽光発電の導入を躊躇してしまう人もいるかもしれません。この「7割が損する」という説が広がった理由は、とある週刊誌が「電気屋は教えない太陽光発電 本当のコストと損益分岐点」という記事を掲載して、「7割の人が損をする」と結論づけたこと。もう一つ、環境省が公に発表しているデータでも、同じく7割の人が損をするという記載がなされています。

行政機関が出したデータなら、やっぱり正しいのでは!?と思いがちですが、このデータには続きがあります。それは「太陽光発電の初期費用が高かった家庭」が7割損する、というわけです。いくら自家発電が魅力的だからといって深く考えずに太陽光発電を導入すると、コストがかさみ費用対効果が悪化します。

「近所の人がみんな付け始めているから」
「友人に薦められたから」

と安易に決断し、取り付けた後に後悔するパターンが多いんです。
こうした失敗を防ぐためには、先程もお伝えしたように、費用対効果を高めることが大切です。
具体的には、初期費用・維持費用・売電収入に注目することが極めて大切とされています。次の項目で、太陽光発電のメリットとデメリットを比較していきながら、どうしたら損をすることなく太陽光発電の恩恵を享受できるのか、紹介していきます。

太陽光発電のメリットとデメリット

まず、太陽光発電にはどのようなメリットがあるのでしょうか。主に以下の5点が挙げられます。

1.環境維持に貢献できる
2.自家消費で電気代が削減できる
3.売電収入を得られる
4.災害時の停電対策になる
5.オール電化との相性が良い

1.太陽光発電システムは、太陽光を電気に変換するもの。発電時に二酸化炭素を排出しません。石油や石炭を使用する火力発電を行うと、燃焼の過程で二酸化炭素が排出され、地球温暖化や大気汚染に繋がっています。世界的にも、化石燃料などの資源を枯渇させないために、再生可能エネルギーの比率を上げる方向で各国が政策を打ち出しています。まさに太陽光発電は、時代に合った発電方法と言えるでしょう。

2.ご家庭の屋根などに設置した太陽光発電を使用すると、電気代が削減されます。今までは、電気を消費する量によって電力会社に料金を支払ってきましたが、自家消費量が増えるとその分電気代を払う必要がなくなるので、1年あたり4~5万円相当の電気代を節約することも十分可能です。発電を続ける限り電気代を抑えられるため、早く始めれば始めるほどお得になります。

3.自家消費分とは別に、余剰電力を電力会社に買い取ってもらうことで利益を出すことができます。売電は国が決めた制度に基づいて行われ、一定期間一定金額で買い取るため、住宅用太陽光発電なら10年間、産業用太陽光発電なら20年間、一定の収益が見込めるのです。

4.自然災害などの原因で停電が発生した場合でも、太陽光発電を設置していれば電気を使用することが可能です。停電が発生したら、自立運転モードに切り替えると、スマートフォンの充電、テレビやパソコン、冷蔵庫やエアコンなど様々な機器を同時に使うことができます。なお、停電時に使用できる電力の上限は1,500W。これを超えると自立運転モードが機能しなくなるので、使いすぎには注意しましょう。

5.たとえばエコキュートを導入して太陽光発電と併用すると、光熱費全体を安くできます。エコキュートとは、空気の熱で効率よくお湯を沸かすヒートポンプ式給湯機のこと。より少ない消費電力でお湯を沸かすことができ、さらなる節約が見込まれるのです。

次に、デメリットについて紹介します。こちらも主に5つのポイントを挙げています。

1.設置場所が必要
2.初期費用が高い
3.メンテナンス費用がかかる
4.発電量が天候に左右される
5.売電価格が年々低下している

1.太陽光発電の設置には、戸建住宅の場合には屋根、規模が大きい事業用だと広大な土地や屋上に取り付けることになります。新築で家を購入する人は、ソーラーパネルを置く前提で設計を依頼できますが、すでに住居を所有している場合、屋根の構造や向きによっては設置できない可能性があります。

2.おそらく多くの人が懸念する点だと思いますが、太陽光発電システムの設置費用は100万円以上かかります。気軽に即決できる買い物ではありません。しかし、太陽光発電が一般的に普及する前は500~600万円以上かかる時期もあったのです。2012年頃から低価格で高品質のパネルが市場に出回るようになり、費用面は大きく改善されています。

3.太陽光発電システムを一度設置すれば性能が変わらず半永久的に使用できるわけではありません。直流電流を交流電流に変換するパワーコンディショナーは、ソーラーパネルより短い期間で交換が必要とされています。目安としては大体10~15年程度です。ソーラーパネルに傷や汚れが付着すると発電効率が低下するため、理想としては毎月稼働をチェックをして定期的にメンテナンスを行うと、長い期間使用できるはずです。

4.春や夏よりも、冬は日照時間が短いので発電量が下がる傾向にあります。日本には梅雨や台風の季節もあるため、当初の想定通りに最大限発電することができない時期もやってきます。また、いくら太陽光発電で電気を作ったからといって、家電製品を増やすと消費電力が増えて売電量が減り、利益が出にくくなります。節電の意識は常に持つよう心掛けてください。

5.電力会社が電力を買い取る基準価格は毎年下落しています。2022年に新規で太陽光発電を導入した場合の売電価格は、住宅用だと1kWhあたり17円。10年前に始めた人の方が得で、今から太陽光発電を始めても遅い、損すると思うかもしれません。しかしながら、固定価格買取制度が制定された2012年に比べて、設置費用が年々価格が低下しているのも事実です。初期費用も大幅に下がっている分、損するリスクが高まったとは言えません。

結局、太陽光発電はやめたほうがいい?

太陽光発電は、災害や停電時の備えになるクリーンなエネルギーであり、多くの企業も取り入れています。今後も国や自治体が普及を促進させる方針なのは間違いないでしょう。とはいえ、太陽光発電の費用や売電に関する制度を理解していないと、思わぬ後悔を招く可能性は否定できません。

強いて言うなら、設置場所の問題に関しては、既存の戸建住宅に取り付ける場合、屋根の面積や構造、角度によって後からソーラーパネルを設置するのが難しいケースは存在します。しかし、費用面や売電収入については、様々な方法を駆使してリスクを低減することができ、長い期間にわたり発電を継続することが可能です。なにより、太陽光発電のメリットとして、緊急時のライフラインという意味合いが大きいかと思います。台風の影響で停電した時、冷蔵庫に食料を蓄えることができたり、小さな赤ちゃんのためにあたたかいご飯やミルクを用意したり、災害状況をテレビやネットで逐一確認するなど、いざという時に太陽光発電のありがたみを実感したという意見が多く見られます。私たちの命や安全、健康は何ものにも代えがたいですよね。ソーラーパネルや周辺機器の開発費用が昔よりも安くなって、断然導入しやすくなったのですから、むしろ今から始めるのがチャンスと考えてみてもいいかもしれません。

まとめ

どんな物事でもメリットとデメリットがあるのはつきもの。デメリットばかりに目を向けていると前には進めません。太陽光発電においても、メリットとデメリット、両方の側面をしっかり理解することが大切だとこれまで説明してきました。お住まいの地域や周辺の環境、各々の予算と向き合いながら、太陽光発電が自分の生活にどう役立つのか。ご家庭がいる方は、話し合いをして皆が納得した上で導入すると、売電収入が上がり成功を実感しやすくなるでしょう。

その際には是非とも、太陽光発電の設備があったから命が救われた、あるいは生活の質が向上した人が多数いることを念頭に置いてもらえればと思います。
「7割損する」という話を耳にして導入を躊躇っていた人も、デメリットを一つ一つ解消していきながら、ぜひ太陽光発電を開始して日々の生活を一層楽しいものに進化させていきましょう。


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