太陽光発電が原因の隣人トラブル

太陽光発電で体調不良?気をつけたい近隣トラブル

太陽光発電は、定期的なメンテナンスを業者に依頼すれば、長期間安全かつ手間を掛けずに運用できると思っている方もいるでしょう。確かに、メンテナンスを施すことで太陽光発電システムの故障リスクは軽減されるのですが、実は他にも問題が生じることがあります。それが“近隣トラブル”です。
太陽光発電を設置すると、思わぬ近隣トラブルに悩まされるかもしれません。せっかく費用を投じて設置しても、ご近所さんからクレームを付けられたら嫌ですよね。

「太陽光発電を設置したいけど、お隣さんとトラブルにならないか心配・・・」
と導入を躊躇する方も中にはいるでしょう。

しかし、事前にトラブルの内容や対策法を知っておくことで、トラブルが起きるリスクを低下させることができます。太陽光発電にまつわる近隣トラブルとして、どのようなことに気をつけたら良いのか、具体的に説明していきます。

太陽光発電の周囲への影響は?

まず、ご家庭の屋根に太陽光発電を取り付けるケースで、どんなトラブルが過去に起こったのでしょうか。ここでは、主に以下の3つを取り上げます。

①太陽光パネルによる反射光
②パワーコンディショナーが発する騒音
③落雪による被害

太陽光発電にまつわるトラブルで最も多いのが、太陽光パネルに日光が当たる際の反射光が眩しいというものです。近隣住民からすると、太陽光パネルは鏡と同じ扱いとなり、たとえば20枚のパネルが並べられた屋根は、20枚の鏡が置いている状態と同じに思ってしまうわけです。
もちろん、全員がそういう感情を抱くわけではないものの、過去には近隣住民が太陽光発電システムの所有者を訴訟したケースがありました。
兵庫県姫路市で、約1mWの太陽光発電からの反射光により、近くに住む男性が熱中症になったという訴訟です。男性は、強烈な反射光が住居に差し込み、住環境が悪化したと主張。太陽光発電の事業者に対し、太陽光パネルの一部撤去と損害賠償330万円を要求しました。
事業者が該当箇所の周辺に木を植えるなど反射光対策を行ったため、訴えは取り下げられましたが、反射光トラブルが裁判に発展した事例として話題になりました。このように、反射光のせいで眩しさや暑さを訴えるトラブルは各地で起こっています。
対策として、南向きに設置した太陽光パネルの反射光は、周辺に影響をおよぼすことは基本的には無いと言われています。パネルの枚数を増やすため東西向きや北向き設置すると、角度によって近隣住民に反射光が当たってしまう可能性が出てきます。
とはいえ、反射光の場所や時間が一時的で、カーテンなどで遮光することが可能とみなされれば、法律上問題ないです。現在では、太陽光パネルの角度や位置、方角にあわせて、反射光の影響を事前にシミュレーションできますから、その段階でクリアしていれば、反射光のトラブルは発生しづらいです。

パワーコンディショナーが発する騒音は、動作音によるトラブルです。ただし騒音といっても、エアコン室外機と同程度です。ファンのないパワーコンディショナーはほとんど音が出ません。基本的には、室内型の機器を選ぶことで、動作音が近隣住民に迷惑となる恐れは軽減できます。騒音が少ない40~50dBほどのパワーコンディショナーなら、通常騒音トラブルにならないはずですが、念のため導入時にご近所さんにお伝えしておくと安心かもしれません。

落雪によるトラブルは、主に雪国地域で起こります。厚く積もった雪が隣の住宅にむかって落雪した場合、壁の一部を損傷させたり、住民に覆い被さってしまう可能性もゼロとはいえません。雪国で太陽光発電を設置する際には、「落雪する方向に柵を設置する」「屋根に雪止め金具を設置する」といった対策を講じるようにしましょう。

太陽光発電を行うのに隣地承諾は必要?

太陽光発電は、設置に特別な許可は不要のため、隣地承諾も不要です。法的にも、建築基準法で定める範囲内であれば、近隣住民に認可を求める必要はありません。しかしながら、知らぬ間にご近所さんが太陽光発電を導入して、住環境が一変したとなれば、当然いい気分にはなりませんよね。
大規模な運用となる産業用太陽光発電はもちろん、住宅用太陽光発電でも事前に説明したうえで設置すると、後々トラブルに発展するリスクを減らせるに違いありません。

電波障害?体調不良?太陽光発電の嘘ホント

太陽光発電によるトラブルの珍しい事例として、電磁波によるクレームも紹介しておきましょう。実は過去に、「電磁波のせいで体調を崩した」と訴え、トラブルになったケースが存在します。太陽光パネルは稼働時に微量の電磁波を出しています。その事から、近隣住民が体調不良になってしまったと主張したわけです。スマートフォンや電子レンジなど身の回りの家電製品含め、少量の電磁波を出している製品はいっぱいあります。よって、「電磁波のせいで体調不良になった」という主張は、いささか無理があるように感じます。
財団法人電気安全環境研究所の調査だと、太陽光発電の機器から30cm離れた所で測定した電磁波は、電気カーペットよりも少ないという結果が出ました。体調不良だけでなく、電磁波による電波障害を主張する方もいるようですが、同じく根拠なき主張と言わざるを得ません。

まとめ

太陽光発電で起こりうる近隣トラブルを避けるために最も大切なことは、設置前に近隣住民の方にしっかり説明しておくことではないでしょうか。先程説明したように、法的に隣地承諾の必要性はありませんが、あらかじめ信頼関係を築き、事情を伝えておきましょう。反射光のシミュレーションを実施する、隣家に影響が出ない位置にパワーコンディショナーを設置する、といった配慮が長期間太陽光発電を運用するうえで肝要です。
トラブルといっても、事前に対処すれば防ぐことができる内容がほとんどです。近隣住民に迷惑をかけないという意思を持って最大限の対策を施せば、快適に太陽光発電生活を楽しめるはずなので、覚えておいてください。


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