コラム

超小型電気自動車ってどんな電気自動車(EV)?徹底解説

現在、様々な種類の電気自動車(EV)が各メーカーからラインナップされています。2022年に発売の日産自動車「サクラ」や三菱自動車「eKクロスEV」などは市場でとても好評です。これらは軽EVに分類されますが、それらとは別に、超小型電気自動車(EV)という車種の分野があります。超小型電気自動車(EV)は、欧州で普及が進み、日本でも今後車種の充実や市場の成長が見込まれる分野です。
この記事では、超小型電気自動車とはどんな電気自動車なのか、実際に販売されてる車種の例も含めて解説していきます。

そもそも超小型電気自動車とはどんな車?

自動車は車体のサイズや定格出力などに応じ、ミニカー、軽自動車、普通車、中型車、大型車に分類されています。超小型電気自動車(超小型EV)とは、電気自動車のうち軽自動車よりも小さいEVのことです。サイズや定格出力の違いから、超小型EVはさらに「第一種原動機付自転車(ミニカー)」「軽自動車(型式指定車)」「軽自動車(認定車)」の3つに分類されています。型式指定車と認定車は、超小型モビリティという同じ分類で区分されています。いずれもコンパクトなので小回りが利き、環境性能にも優れています。

ミニカーに分類される超小型EVは、乗車定員が1名に定められています。定格出力は0.6kW以下で、エンジンに換算すると約50ccです。積載量は30kg以下で、運転するのには普通自動車免許が必要です。道路運送車両法上は、原動機付自転車の扱いになるため、車検やシートベルトの装備は不要となります。また、道路交通法上は普通自動車に分類されるので、2段階右折の必要はありません。また高速道路は走行できません。

一人乗り超小型EVミニカーの車種の例

KGモーターズ「ミニマムモビリティ」は、約5時間充電で100kmの走行が可能です。家庭用の100Vの電源から充電することができます。車体はポラロイドカメラがモチーフにされていて、インターネット接続により搭載しているソフトウェアのアップデートができます。販売予定価格は100万円で、2025年に約300台の量産販売を開始する予定です。
タケオカ自動車工芸「Lala」には、リチウム電池仕様、鉛電池60V仕様、鉛電池72V仕様の3タイプあります。ボディカラーは、全部で9色あります。一充電走行距離は、鉛電池仕様車が約80km、リチウム電池仕様車が約120kmです。価格は鉛電池60V仕様車が¥1,161,600から、鉛電池72V仕様車が¥1,399,200から、リチウム電池仕様車が¥1,676,400からとなっています。

トヨタ車体「コムス」には、日常生活モデルの「P・COM」とビジネスモデルの「B・COM」の二つがあります。「B・COM」にはさらに、積載部がオープンラゲッジの「ベーシック」、デッキ状の「デッキ」、デリバリーボックスが設置されている「デリバリー」の3タイプあります。最大積載量は、P・COMが45kg、B・COMベーシックが30kg、デッキが90kg、デリバリーが45kgとなっています。家庭用の100V電源から約6時間で満充電になります。一充電走行距離はJC08モード相当の走行パターンでの自社測定値で57km、30km/h定地走行テスト値(国土交通省届出値)で102kmです。価格は、P・COMが¥960,300、B・COMベーシックが¥799,700、デッキが¥940,500、デリバリーが¥984,500です。

二人乗り超小型EVも併せて解説

超小型モビリティに区分される型式指定車と認定車は、ミニカーより定格出力が大きく、軽自動車と同じ黄色のナンバープレートです。型式指定車は、原動機付自転車以下の大きさの軽自動車になります。最高速度は60km/h以下で、高速道路は走れません。認定車は軽自動車以下の大きさです。地方自治体等の定めた交通の安全と円滑のための措置を行っている場所に限り走行可能です。認定車も高速道路は走れません。

二人乗り超小型EVの車種で言うと、トヨタ自動車「C+pod(シーポッド)」は、乗車定員2名の型式指定車です。当初、法人や自治体向けのみの販売でしたが、2021年12月に一般向けにも販売されるようになりました。満充電の所要時間は、200Vで約5時間、100Vで約16時間です。一充電走行距離は150kmで、車体にはAC100Vの電源も備えられています。災害時に非常用電源としての使用が可能です。価格は¥1,665,000からでリース契約のみのプランですが、料金は取扱店により事なります。ただ、シーポッドの生産は、2024年夏に終了しました。

エイム「EV MICRO 01」は、乗車定員2名の認定車です。2025年に沖縄県内で販売が開始される予定です。一充電走行距離は120kmで、最大積載量は30kgです。特に離島での使用が製品コンセプトとなっています。車両本体の販売予定価格は、150万円以下となっています。
タジマモーターコーポレーション「タジマ・ジャイアン」は、乗車定員2名の認定車です。リチウム電池を搭載にモデルでは、一充電走行距離が130kmです。最高速度は45km/hになっています。価格は、2022年モデルで、¥1,595,000から¥1,980,000となっています。乗用モデルとビジネスモデルが揃えられています。

まとめ

手頃な値段とコンパクトなサイズ、県境配慮やランニングコストのメリットなどから、超小型EVは、これからの需要が見込まれ、ユーザーのニーズに応える車種が今後も市場に投入されていくでしょう。2025年の登場が既に予定されている車種も、楽しみです。車検や車庫証明の必要が無いので、この点でのコストや手間を省ける点もメリットです。コンパクトなので、小回りが効き、徒歩の移動が難しい場所など、普段使いでの移動にはとても便利なものです。駐車スペースを節約できますし、自宅での充電が可能なのも大きなメリットです。

一方で、ガソリン車の一般的な満タン時の走行可能距離は、600kmを超えますが、超小型EVの一充電走行可能距離は、その4分の1以下になります。乗車定員も1〜2名となるわけですが、自分の使用目的と用途を明確にイメージして、それで十分かを考慮しておきましょう。実際の乗り心地も、普通自動車と超小型EVとはかなり異なります。購入を検討しているなら、実際に試乗してみてどうなのかを確かめておく方がよいでしょう。エアコンの装備されていない超小型EVもありますので、その点も注意が必要です。

今後の市場の拡大が見込まれる超小型電気自動車ですが、個人として実際に使用を検討する場合、既に多くの法人が使用しているケースとは異なるニーズがあります。環境面やコスト面、コンパクトさや小回りが効く事、維持手続き上の手軽さなど多くのメリットもありますが、走行可能距離や乗り心地などデメリットと言える点も合わせて考慮して、賢い選択をしていきましょう。そのためには、様々な性能、装備の比較に加えて、実際に試乗してみることがおすすめです。レンタカーやカーシェアリングなどで、実際に乗ってみてどう感じるかを確かめておきましょう。