太陽光発電のインバーター

太陽光発電に重要な役割を占めるインバーターってどんな装置?

新たに太陽光発電を開始する場合、「太陽光発電システム」の導入が必要となります。これは、“太陽光パネル”を設置することとイコールではありません。太陽光発電システムとは、様々な機器をまとめた総称であり、太陽光パネルを屋根に取り付けるだけでは発電を行えないのです。
そこで今回は、太陽光発電システムにおいて非常に大切な「インバーター」について説明します。発電を始めるうえで必ず用意すべきものですから、どのような機器なのか、しっかり覚えていきましょう。

インバーターの概要を解説

通常、電機業界で用いられる「インバーター」は、主に二つのはたらきがあります。
一つは、交流電源をいったん直流電源に変換し、この直流電源を再び周波数を自在に変えられる三相交流に変換する機能です。そして、電化製品の中にあるモーターの回転数を制御する機能です。モーターの回転数、つまり速度を制御できる仕組みがあると、エネルギーの余分な消費を抑えることができます。インバーターは家電だけではなく、様々な製品への搭載を通じて自動化・高速化・省エネを実現する役割を果たしているのです。
今や家電製品に必要不可欠となっているインバーターですが、太陽光発電においては、直流電流(DC)を交流電流(AC)に変える機能があることから、「DC/ACインバーター」と言う場合もあります。皆さんの中には、同じ機能を持つ「パワーコンディショナー」を思い浮かべる人がいるかもしれません。実は、パワーコンディショナー(通称:パワコン)は日本独自の言葉です。海外では、インバーターと言わないと通じません。インバーターとパワーコンディショナーは、ほとんど同じものと考えてよいのですが、この点だけは注意してください。
太陽光パネルに日光があたると、光エネルギーが発生します。しかしそのまま電気として利用することはできません。光エネルギーは直流電源ですから、インバーターを通じて交流電源に変換したあと、家庭で使用できるわけです。
インバーターは、光エネルギーを電気に変換する際、音を発します。屋外に設置する場合、隣家と距離が近いと音が漏れて迷惑になる恐れがあります。そのため、最近では室内の音が気になりにくい場所に設置する人が増えています。

インバーターの寿命や価格はどれくらい?

インバーターの寿命は、だいたい10年から15年程度といわれています。ただし、家庭用蓄電池の電気も一緒に変換できる「ハイブリッドパワーコンディショナー」を使用すると、寿命は15年以上と伸びています。これまではメーカー保証が「10年間無料」のところが多かったのですが、最近は「15年間無料保証」とするメーカーが増えました。パワーコンディショナーの性能が上がり、およそ15年程度は使用できる見込みになったことが大きな理由でしょう。
インバーターは温度の急激な上昇や湿気に弱く、使用環境によっては故障リスクが太陽光パネルより大きいです。電化製品の一種ですので仕方ない部分はあるのですが、15年間の無料保証がついていれば、安心して購入できるのではないでしょうか。大きな故障はなくとも、経年劣化により徐々に電力の変換効率が低下していきますので、10年程度で一度点検することをおすすめします。
値段については、一台あたり20万円が目安と考えていいでしょう。経済産業省の資料に記載されている、インバーターの交換費用が約20万円です。使用途中で故障した場合、小さな部品だけであれば1万円前後で修理可能なケースもあります。大きな部品だと5~10万円程度かかるため、後々寿命がくることを踏まえると、丸々新品に交換してしまう方が多いようです。
ただし、太陽光発電システムを新しく導入する際は、通常システム一式の値段が業者から提示されます。インバーター単体の価格を尋ねれば教えてくれる業者もあるでしょうが、必ずしもそうとは言い切れません。あくまで目安として頭に入れておき、提示価格が不当に高いと感じた時には、質問してみると良いでしょう。

まとめ

「インバーター」と聞いて、電気機器の難しい専門用語だと思ってしまった方もいるかもしれません。実際には、太陽光発電におけるインバーターはパワーコンディショナーとほぼ同意語です。同じものと考えて相違ありません。
2022年以降は、通常のインバーターと蓄電池の電気も一緒に変換できるハイブリッドパワーコンディショナーと呼ばれるものが登場し、主流となりつつあります。寿命が15年前後と一昔前のインバーターより長くなりましたが、それでも定期的なメンテナンスや修理・交換は不可欠です。今後新品に交換すると、

●変換効率が向上する
●修理するよりもトータルで安くなる
●新しく15年保証が受けられる

といったメリットが受けられますので、費用を惜しんで何度も修理を行うより、新品に交換する方が良いでしょう。インバーターが故障したら、太陽光発電の発電は止まります。故障してから新品探しを始めたのでは、発電しない空白の時間が生じてしまいます。何か異変を察知したら、早めの対応を取るようにしてください。


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