スポーツカーの代表的な存在であるポルシェは、日本のみならず、世界的に非常に人気の高いメーカーです。走りにこだわり、他にはない独特の走行感とサウンドを実現すると共に、個性的なデザインは見る人を魅了します。そのポルシェもEVを開発していて、電動自動車化を進めています。EV市販モデルとしては現在、「タイカン」が唯一となっています。そこで、この記事ではタイカンの特徴や魅力をスペックと共に紹介します。
ポルシェのEV「タイカン」はどんな車?
ポルシェでは完全電動の市販車として、「タイカン」のみをリリースしています。しかし、実はポルシェはかなり早い時期から電動化に取り組んできたメーカーでもあります。市販車ベースでも、ポルシェの人気シリーズであるカイエンにハイブリッド車を投入しています。その後も開発を重ね、特にレーシングカーで電動化を進めてきました。たとえば、ル・マン24時間レースにはハイブリッド車を投入しており、3年もの間、連勝を重ねてきました。さらに、2019年には完全電動の自動車で構成されるフォーミュラEに、ポルシェのワークスチームを参加させています。
こうした電動化の開発ノウハウを積み重ねると共に、レースの世界で培ってきたピュアスポーツのノウハウを、タイカンにつぎ込んだのです。タイカンは2019年に発売されましたが、2015年には「ミッションE」という名称のコンセプトカーをモーターショーで発表しています。このコンセプトカーを少なくともデザイン面で忠実に反映させたモデルとして、タイカンが登場しました。
タイカンは、ポルシェのEVのフラッグシップ的な存在とも言えます。そのため、ポルシェの往年の名車をほうふつとさせる、独特のフォルムを持っているボディーが特徴的です。全体に低く、巧みな曲線使いは、美しさと共に速さを直感させるデザインです。インテリアも同じように作られていて、伝説のモデルである911を再現したデザインとなっています。たとえば、水平に伸びるダッシュボードのラインはポルシェらしさを感じさせます。
一方で、さまざまな点に先進性を盛り込んでいます。たとえば、運転席の正面に16.8インチもの大型ディスプレイが装備されています。タッチスクリーン形式で、完全デジタル化されているため、さまざまな操作や情報収集を簡単に行えます。さらに、ディスプレイはセンター部分や助手席側にまで配置されていて、まさに近未来のクルマという感覚を与えます。このシステムでは画面にタッチすることで操作できる以外に、音声認識にも対応しています。そのため、ドライバーも運転中に便利な機能を使えるのがメリットです。
ポルシェのEVのスペックと魅力
ポルシェのタイカンのサイズは、4,693mm×1,966mm×1,378mmとなっています。タイカンに似たモデルである人気のパナメーラよりも、一回り小さいイメージを持つと良いでしょう。より低重心化されていますので、道路に吸い付いたまま走り抜ける走行感を楽しめるのが魅力です。
タイカンのモーターユニットは408PSの最高出力を出し、Turbo GTモデルになると1,034PSという、クラス最高レベルのパワーを叩き出します。最大トルクともなると、スタンダードモデルで410Nm、Turbo GTモデルではなんと1,300Nmも出ます。これほどのトルクを発生させる車をコントロールするのには、相当な運転技術が求められるのではないかと感じさせるほどです。また、ストップ時から時速100kmまでの到達時間はなんと2.3秒というスペックで、電気自動車のメリットを最大限生かせる車に仕上がっています。
バッテリー容量はそれぞれのグレードで異なり、スタンダードモデルで79.2kWh、Turbo GTモデルで105kWhとなります。いずれも1充電当たりの航続距離はWLTPモードで最大678kmもあり、かなりのロングドライブが可能です。駆動方式は、スタンダードモデルではRWDですが、Turbo GTモデルでは4WDとなっています。どちらも急速充電が可能ですので、待機時間も少なく、快適なパワーコントロールができます。
タイカンの魅力として、このようなレーシングマシン並みの高い走行性能にあるのは間違いないでしょう。ガソリン車にはない、モーター車ならではの発進力や加速力は、他の車では体験できないレベルです。そして、そのパワーを支える足回りも、市販車としては最高品質のパーツ構成となっています。電子制御システムも導入していて、あらゆるシーンで安定性を保ってくれるのがすばらしいところです。
ラジエーターなどを必要としない、EVならではのフロントデザインとなっているのもメリットです。フロント部分のパーツ構成をシンプルにできる分、従来のモデルよりもさらに低くすることができ、シャープな印象を強めています。また、高い空力性能を出すことができますので、スムーズな走行を実現しています。
走行性能を極限まで上げるために、ポルシェはレースの世界で培った技術とアイディアを搭載しています。たとえば、大容量バッテリーを積んでいますが、かなり軽量化されています。それには、あらゆるパーツにおける見直しが不可欠でした。ケーブルの断面積を小さくする最新技術を用いることで、ケーブル全体の重さを抑えるといった工夫もその一つです。こうした積み重ねによって、パワーの出るユニットなのに軽量という、一見矛盾するような設計を成功させたのです。
ポルシェの電気自動車の価格
まさにスポーツEVの最高峰とも言えるポルシェの電気自動車で、やはり気になるのはその価格です。タイカンのスタンダードモデルは1,370万円からと、このハイパフォーマンスのモデルにしてはコスパの高い価格設定となっています。レーシングマシンに近い性能を持つTurbo GTモデルでは、3,000万円超の価格設定がなされています。
車両本体価格に加えて、オプション装備を取り付けることで、追加費用が発生します。さまざまな装備が用意されており、たとえばインテリアに、より上質感をもたらすパーツを取り付けたり、レザー仕様の部分を広げたりすることができます。エクステリアでは、オプションカラーを選んだり、特別なホイールを装着したりもできます。こうして、自分だけのポルシェを作っていけるというのも一つの魅力でしょう。3Dグラフィックによって、カラーやオプション装備などを加えた状態での仕上がりを確認できますので、好みの1台を試しに作ってみるのも良いでしょう。
まとめ
イタリアスポーツカーの最高峰とも言えるポルシェでは、タイカンシリーズをEVとして販売しています。そのスペックはレースの世界で培ったもので、まさに最高レベルの走行性能を持ちます。タイカンの中でもいくつかのグレードがありますし、オプションやデザインについても豊富な選択肢の中から選べる仕組みとなっています。より上質な1台を求めるのであれば、ポルシェの電気自動車はまさに夢のようなチョイスとなるでしょう。