海外の太陽光発電状況

太陽光発電は海外ではどれくらい普及が進んでいるの?

日本では、2020年10月に菅義偉首相(当時)が、「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。温室効果ガス排出量実質ゼロという壮大なゴールを目指し、2030年時点で2013年度比46%削減目標を表明しています。
このように日本国内で脱炭素社会の実現に向けて大きく動き出しましたが、世界各国でも同様に、脱炭素に舵を取って再生可能エネルギーの普及が進んでいます。風力発電や水力発電など、様々な再生可能エネルギーがあるなかで、特に低コストで取り組めると言われているのが太陽光発電です。
太陽光パネルが住居の屋根や広大な敷地に並べられている光景を目にするのは、日本国内だけではありません。むしろ他の先進国のほうが、太陽光発電の導入に積極的なのです。
では、一体諸外国ではどの程度太陽光発電が利用されているのか、詳しく解説していきます。

太陽光発電の世界のシェアまとめ

この記事を読んでいる方は、どの国が最も太陽光発電が利用されているかご存知でしょうか。実は、導入量が高い国上位3つは、中国、アメリカ、日本の順番です。そして、中国が世界シェアでダントツ1位なのです。2021年時点にて、全世界の太陽光発電累積導入量が843.09GWなのに対し、中国だけで世界全体の約36%(306.40GW)を占めています。約10年間、1位の座に君臨しており、年間新規導入量も1位に君臨しています。
なぜ中国がこれほど太陽光発電の導入量が多いかというと、国として再生可能エネルギーの普及に力を入れているからです。習近平国家主席が2020年12月に開催された気候野心サミットにて、次のように宣言しました。
「2030年までに中国は一定の国内総生産に対する二酸化炭素排出量を2005年に比べ65%以上減らし、非化石エネルギーの一次エネルギー消費に占める割合を25%前後にまでもっていき、森林蓄積量を2005年より60億㎥増やし、風力発電、太陽光発電の設備容量を12億kW以上にします」
12億kWという数字は、大型原子力発電約1200基分に相当するものです。いかに莫大な数値かお分かり頂けるはずです。中国と聞くと、PM2.5など大気汚染のイメージをお持ちの方もいるでしょう。しかし現在では、温室効果ガスの大幅な削減目標を表明し、再生可能エネルギーへのシフトを急速に実行しているのです。

太陽光発電の累積導入量第2位はアメリカ(93.71GW)、そして3位に日本(74.19GW)が続きます。4位はドイツで58.46GW、5位はインドで49.34GWです(※いずれも2021年時点)6位以下は、イタリア、オーストラリア、イギリス、韓国、フランス、の順番となっています。ちなみに、発展途上国のなかでの年間導入量は、ベトナムが上位にランクインしており、国をあげて太陽光発電の普及を加速させているようです。

ドイツでは太陽光発電は失敗に終わった?

ドイツは、上述の通り太陽光発電の累積導入量世界第4位の国であり、再生可能エネルギーの導入にとても積極的です。風力発電が最も利用されていますが、太陽光発電も原子力発電の代替手段の一つとして普及し、2020年時点で全発電量のおよそ9%を占めています。
かつては日本と同様に、エネルギーのほとんどを化石燃料由来の火力発電や原子力発電に依存していたドイツですが、2019年には再生可能エネルギーの依存度が約40%近くに迫ってきました。ドイツ政府は、温暖化対策として2038年までに石炭火力発電所を全廃する方針を打ち出しています。そうなると、再生可能エネルギーのさらなる普及が絶対条件となるわけですが、国内でドイツは太陽光発電に失敗したと言われるようになったのです。それは一体なぜでしょうか。

まずドイツ国内で大きな物議を醸したのが、連邦政府が2017年に改正した再生可能エネルギー促進法にて、「太陽光発電装置の累積設備容量が52GWに達した時点で、太陽光によって生み出された電力に対する助成を停止する」という規定を盛り込んだことです。
1990年から約30年にわたり、ドイツは再生可能エネルギー関連に総額1,000億ユーロ以上の投資を実行しました。しかしながら、追加投資してもすべての電力需要を賄うのは非常に厳しいという調査結果が出ました。また、再生可能エネルギー拡大にかかる費用が増加するほど、国家予算を削って投資を行わなければならず、政府としては出費に歯止めをかけたいと考えたわけです。

また、ドイツでは一時期、再生可能エネルギーの依存率が高まるデータが出て、エネルギー転換実現への期待が高まりました。ところが詳しく調査すると、依存率が伸びたのは天候が安定的で発電量が増加したうえ、全体の電力需要が250億kWh、5%近くも減少したためだと判明します。非常にイレギュラーなケース、かつ太陽光発電に都合の良い条件が揃った時のデータをあてにしたため、翌年以降「やっぱり太陽光発電に依存するのは難しい」と実感する人が出てきました。
トドメとして、住居を所有する人に太陽光パネルを設置することを法律で義務付けたのも批判の的です。太陽光発電の電気だけで自家消費量すべてをカバーするのは現実的でなく、金銭的に苦しい家計の方はローンを組んで半ば強引に太陽光発電システムを設置する義務を負いました。こうして、太陽光発電にネガティブなイメージを持つ国民が増えたことで、ドイツでは太陽光発電に否定的な意見が多く挙がっています。なお、再生可能エネルギー促進法改正は、連邦議会が撤回して助成金の上限は無くなりましたが、それでも太陽光発電の先行きは不透明です。

アメリカでの太陽光発電の立ち位置

アメリカは2021年時点の累積導入量・年間導入量が世界第2位の国です。アジアやヨーロッパと同様に、太陽光発電など再生可能エネルギーの普及を促進しています。
アメリカのエネルギー省は2021年、
「2035年までに総発電量のうち太陽光発電の構成比が40%を超える可能性がある」
「2035年までの電力部門の脱炭素化を達成するためには、太陽光発電の開発を2030年までに現在の開発速度の3~4倍に高めなければならない」
といった内容の報告書を公表しました。

州単位でも導入が進められており、たとえばカリフォルニア州では再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準を改正しました。再生可能エネルギーの全発電量に占める割合を2030年までに60%、2045年までに100%にする目標を掲げ、太陽光発電の普及拡大に尽力しています。広大な面積を誇るアメリカだけに、太陽光発電の普及に本腰を入れれば、導入量はさらに増えることが見込まれます。

まとめ

中国やアメリカ、EU諸国で太陽光発電が年々広がっているのと対照的に、実は日本国内では近年、普及率が鈍化してきています。FIT制度による電力会社の固定買取価格が低下傾向にあり、太陽光発電を新規に導入しようとする方が減りつつあるのです。
再生可能エネルギーは、太陽光発電だけでなく、風力発電やバイオマス発電など複数の選択肢があり、バランス良く拡大していくことが理想的です。ただし、一般個人が自宅などに導入できるのはおそらく太陽光発電だけでしょう。金額面を踏まえても、やはり太陽光発電が一番気軽に始めやすいはずです。
これまで、石油や石炭など化石燃料を主としてきた時代、日本はエネルギー供給の大半を輸入に頼ってきました。諸外国でも石炭廃止といった動きが出ている以上、日本でもなんとしても再生可能エネルギーのシェア率を伸ばさなければなりません。海外の太陽光発電の促進事例をみて、良い点悪い点を参考にしながら、是非とも導入率を高めて欲しいところです。


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