太陽光発電に取り組む意外な企業

大手企業の最新の太陽光発電に関する取り組みを徹底紹介

日本政府が目標とする、2050年のカーボンニュートラル社会の実現には、国だけでなく民間企業の取り組みが強く求められます。CO2排出量を削減するため、多くの企業で再生可能エネルギーの使用率を上げる動きが進んでいます。
石油や化学、鉄鋼業など従来から環境負荷が大きいといわれてきた業界だけではありません。小売業やIT企業など非製造業でも、自社で消費するエネルギーを太陽光発電でカバーしようと設備投資する企業が増えているのです。
今回は、太陽光発電の導入にとても積極的で、再生可能エネルギーの活用においてぜひ知っておきたい企業を取り上げていきましょう。

ケース①:森ビル

森ビル株式会社は「表参道ヒルズ」や「六本木ヒルズ」などの商業施設を展開することで知られる企業です。最近では日本一の高さを誇る超高層ビル「麻布台ヒルズ」が開業したことでも話題となりました。都市開発や賃貸オフィスなど、不動産業のイメージが強い森ビルは、一体どのような取り組みを行っているのでしょうか。

同社は、農業と太陽光発電を同時に行う“営農型”といわれる大規模な太陽光発電所(メガソーラー)の開発を進めています。その第一弾となる「森ビル筑西市桑山営農型太陽光発電所」が、2024年2月から運転を開始しました。
今回、メガソーラーが設置されたのは、茨城県筑西市に位置し、農業の後継者問題を抱えていた場所です。土地が放置されたままだと荒廃する恐れがあり、農地を別会社が所有する形式で、敷地面積約1.9haに両面採光型の太陽光パネルを設けました。並べられた太陽光パネルの総数は3,767枚。年間想定発電量280万kWhは一般家庭の670世帯分に相当します。

営農型太陽光発電は、農業を行いながら、農地の上に太陽光発電を設置して発電も行う形態です。作物にも日光が十分に当たるよう、一定間隔に隙間を空けて太陽光パネルを取り付けています。また、トラクターの運転など農作業になるべく支障を来さないため、農地の2.5m以上という高さに設置しました。発電した電力は虎ノ門ヒルズ森タワーで活用され、年間需要の約10%を賄う計画です。さらに、災害時には筑西市にも開放するとのことで、同市と防災協定を締結。地域を守る役割も果たします。

農地に関しては、協業者のエコ革ファームが小麦と大豆の二毛作を営農する予定です。地元の子供たちによる種まき・収穫体験といった用途でも活用することを検討しています。
同社の役員は、将来の展望について、「これから群馬県や埼玉県など6サイトで、トータル約1460万kWhを供給する予定で考えている。色々なポートフォリオ、太陽光発電や風力発電を含めて、2050年に再エネ使用率100%を目指して取り組んでいきたい」と話しています。

ケース②:アイモバイル

株式会社アイモバイルは、インターネット広告事業や、ふるさと納税支援サイト「ふるなび」の運営などを行っている企業です。一見、太陽光発電とは縁が無さそうですが、「グリーンエネルギー事業」を立ち上げて、再生可能エネルギーの普及に取り組んでいます。同社は主に、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)にて、太陽光発電と農業を並行して推進することを方針に掲げています。ソーラーシェアリングは、単に発電量を増やすだけでなく、様々なメリットがあると公式ホームページで説明しています。

①農作物育成の効率化や夏場の作業負担の軽減
②荒廃農地や耕作放棄地を、農業と太陽光発電を両立した土地の有効活用
③化石燃料の削減や温暖化防止に貢献

これまでの具体的な取り組みを紹介すると、2023年にユニ・チャーム株式会社と協業して、オフサイトPPAを締結しました。アイモバイルが所有する栃木県内の営農型太陽光発電所から、小売電気事業者のグローバルエンジニアリングを通じて、ユニ・チャームが所有する埼玉県内の工場に電力が供給されています。PPA契約は通常、10~20年と長期間にわたるものが多いですが、あえて短期契約とすることで、スピード感のある動きを実現できているのです。

2024年には、栃木県那須烏山市で、ソーラーシェアリングの運営を開始したと発表しました。アイモバイルが運営する太陽光発電所は、これを含めて合計14基です。烏山市の発電所では、地元の農業法人と連携し、サツマイモを耕作する計画です。今後も、農業と太陽光発電を両立した土地の有効活用を推進する方針とのことです。

ケース③:パルシステム

パルシステムは、消費生活協同組合という非営利の協同組織です。株式会社とは組織体系が大きく異なりますが、パルシステムも再生可能エネルギーの普及促進に尽力している団体です。
パルシステムといえば、食物や加工品の個人宅配を主なサービスとしており、組合員数は170万人を突破しています。実は、非常に早い時期から太陽光発電の拡大に力を入れてきたことはあまり知られていません。
たとえば、パルシステム神奈川では、配送拠点となる宅配センターに、太陽光パネルを設置する取り組みを行っています。2013年4月、宮前センターに出力容量およそ21kWの太陽光発電所を運転開始したのを皮切りに、2023年には全センターで最大出力を誇る横浜北センターを新設。
これまで県内7ヶ所に導入し、出力合計は436kwに達しました。特に横浜北センターの太陽光発電は、同センターで消費する電力のおよそ3割を賄うといいます。

さらに、全国の産直産地と連携して、営農型太陽光発電の拡大も推進します。野菜などを栽培する農地の上に太陽光パネルを設置して、生産者の顔が見える“発電産地”という概念を確立。原発や化石燃料に依存する生活から脱却したいという組合員に電気を供給する、電力小売事業を開始しました。
「パルシステムでんき」というサービスに登録した組合員は、発電産地応援金を負担します。生活に欠かせないエネルギーを生産してくれる方を応援したい、という気持ちを伝える仕組みが作られているのです。未来の子供たちが安心して暮らせる社会を目指し、ますます太陽光発電および再生可能エネルギーの普及を進めていくはずです。

まとめ

再生可能エネルギーへの取り組みは、業種を問わず、多くの企業や組織が最も力を入れている課題の一つです。太陽光発電は、エネルギー関連ではない異業種でも取り組むことが比較的容易なため、屋上に太陽光パネルを設置する、あるいはオフサイトPPA契約を結ぶ、といった組織数は増加の一途をたどっています。
特に日本は食料自給率が低い国です。一方で農業の後継者不足も極めて深刻な問題です。農地を荒廃させず、作物を生産しながら電力を供給する、営農型太陽光発電はこれからの日本に適した再エネ設備といえるのではないでしょうか。


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