DNPの太陽光シートのイメージ

DNPが開発したDNP太陽光発電所用反射シートについて解説

皆さんは、「DNP」と聞いてどんな企業が頭に浮かびますか。聞き慣れない企業と思うかもしれませんが、実は「DNP」、大日本印刷の略称です。
大日本印刷といえば印刷業界の大手で、雑誌や書籍の印刷を長年にわたり担ってきた企業ですよね。
その大日本印刷が、太陽光発電にまつわる革新的な製品を開発しているんです。印刷業の会社がどうして再生可能エネルギーの分野に進出したのかと不思議に感じる方もいるでしょう。
同社は、「DNP太陽光発電所用反射シート」の提供を開始したことで、昨今エネルギー業界で関心を集めています。このシートがどのようなものなのか、どんなメリットがあるのか、この記事で詳しく解説していきます。

DNP太陽光発電所用反射シートとは?

大日本印刷が開発した「DNP太陽光発電所用反射シート」は、両面採光型とよばれるパネル両面で発電するタイプの太陽光発電所の地面に敷くことで、効果を発揮する製品です。一般的な太陽光パネルは、日光を受ける面だけ発電します。一方で両面採光型は、パネルの裏側も太陽光を浴びることで発電する機能を備えています。
このシートを敷設すると、太陽光の反射能(※地表面が太陽の光を反射する割合)を高め、裏側に入射する光を増加させて発電量を高めるはたらきがあるのです。北海道旭川市の太陽光発電所で実証実験を行ってきた結果、発電量が約6%向上することが確認されました。
なぜ発電量を増大できるかというと、太陽光パネルの発電領域である光の波長400nm~1,200nmに対して、85%以上の高い反射率を有しているからだといいます。時間帯によって、太陽光が入射する角度は変わりますが、幅広い太陽の角度に対応可能なため、安定して発電量を向上できます。

大日本印刷によれば、FIT制度(固定価格買取制度)開始から10年が経過し、主要部品の交換など関連機器の更新需要が高まっており、交換のタイミングで両面採光型太陽光パネルを導入するケースが増えているそうです。同社はこれまで、太陽光パネル向けのバックシートや封止材を提供してきました。そういった実績を土台に、多彩な素材を組み合わせて、「DNP太陽光発電所用反射シート」の研究開発に取り組んでいます。
発電量が増える以外にも、植物が光合成に利用する光の波長の90%以上を遮るため、シートを敷いた地面に太陽光がほとんど透過しません。おかげで雑草など植物が成長することを防ぎ、除草作業の手間が減少するというメリットもあります。

屋外に設置するものでありながら、土や泥など汚れの付着が少なく防汚性に優れ、設置から10年が経過しても反射率に変化はないそうです。2020年に北海道旭川市で実証実験を開始してから3年以上が経過しましたが、発電量の低下は見られません。長期間にわたり発電量の増加が見込めるのは、事業者にとって大きな魅力といえます。

ソーラーシートとは何が違うの?違いを解説

太陽光発電用にまつわるシートといえば、いわゆるソーラーシートを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ソーラーシートも「DNP太陽光発電所用反射シート」も、薄膜の発電用機器という点は同じですが、性質は大きく異なります。
根本的な違いとして、「DNP太陽光発電所用反射シート」自体は、電気を生み出すはたらきは持っていないです。先ほども説明した通り、両面採光型の太陽光パネルを設置した地面に敷設すると、発電量を増加させるという効果をもたらします。

対してソーラーシートは、小型のポータブル太陽光パネルであり、どこでも発電可能な便利アイテムです。ガラス未使用なため、一般的な太陽光パネルよりも破損の危険性が小さく、耐久性が高い製品です。
また、「DNP太陽光発電所用反射シート」は大規模な発電所を所有する事業者や、太陽光発電所の設計・調達・建設を手掛けるEPC事業者を主な顧客としていますが、ソーラーシートは主に私たち一般人が日常生活で使用することを想定しています。

ソーラーシートチャージャーについても解説

ソーラーシートチャージャーとは、簡潔に言えば、電源が無い場所で太陽光からスマートフォンやタブレットを直接充電することが出来るシートです。軽量かつフレキシブル性に優れているのが大きな特徴で、クルクル巻いて保管しておけます。容量やサイズをカスタマイズできるため、自分の用途にあわせて大きさを調整可能なのも嬉しいポイントです。
使い方としては、そのまま広げて屋外に置くのはもちろん、リュックやスーツケースに取り付ける、乗用車を停車中にフロントガラスに被せるなど、様々な場面で活用できます。現在市販されているソーラーシートチャージャーは、USBの差込口があり、モバイルバッテリーやUSB家電などへ直接給電します。一定時間電力がたまるのを待つ必要がなく、接続すると即給電が始まる設計のものが多いです。

見た目は薄いシートなので耐久性に不安を覚える方もいるはずです。しかし、巻き癖がつきにくいうえ、曲げや衝撃に強く、電気絶縁性もしっかり備わっています。シリコン製の太陽光パネルと違って、アモルファスという結晶構造を持たない性質のシートを使用しています。そのため、夏場など高温の環境でも安定した発電が可能です。弱い光でも効率良く発電するため、朝夕や天候不順な時でも、発電効率の低下が少なめです。なお、発電量が安定しない状況でも、常に5Vの一定電圧を供給するので、USB接続デバイスを問題なく使用できます。

まとめ

社名の通り印刷業界の大手である大日本印刷が、太陽光発電にまつわる製品を開発しているのは驚きですよね。業種問わず多くの企業が再生可能エネルギー普及への取り組みを強化しており、「DNP太陽光発電所用反射シート」も国内のみならず世界中の太陽光発電所で使用されることが期待できます。限られた面積で発電量を向上させるには、いかに発電効率を高めるかが鍵を握ります。両面採光型の太陽光パネルが導入されている発電所には、同シートが欠かせない製品となるかもしれません。大日本印刷は今後も、再生可能エネルギーの発展につながる製品を開発し、持続可能な社会の実現に貢献していくでしょう。


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