発電時に温室効果ガスを排出せず、地球温暖化対策としての効果が見込まれる再生可能エネルギー。その中で、太陽光発電は個人でも導入しやすいことから、一般家庭にも普及が進んでいますよね。太陽光という無限のエネルギーを電力に変換して活用する仕組みで、未来のエネルギー源として期待が高いのは間違いありません。
しかしながら、今でも太陽光発電に対して否定的な意見が出ているのも事実です。自宅に発電システムを設置して後悔した、なんて声もチラホラ聞こえてきます。どうして太陽光発電で後悔することになってしまったのか、ネット上で意見を見ながら解説していきたいと思います。
太陽光発電で後悔した人のコメントを2ちゃんねるで集めてみた
匿名のインターネット掲示板として1999年に開設され、現在は「5ちゃんねる」に名称変更されましたが、未だ大きな影響力を持つ掲示板といえば“2ちゃんねる”です。書き込みの内容について、すべてが事実とは言えないものの、匿名ゆえ本音の意見が聞ける場でもあります。2ちゃんねるで太陽光発電に関するトピックで盛り上がりを見せたのが、元々販売および施工業者に携わっていた人物の投稿です。
「太陽光発電システムを検討している方がいましたら思い止まって下さい。将来必ず後悔します、現在関わっていませんが元販売と施工に携わってきた自分からの警告です」
実際に太陽光発電システムの販売や設置業務を担ったプロが「必ず後悔する」と断言したことで、掲示板では太陽光発電の賛否をめぐり議論が活発化しました。一般的に、住宅用太陽光発電はFIT制度(固定価格買取制度)を活用すれば、10年間で元が取れるといわれていますが、この点について、「うちは太陽光4kW入れて13年経ったけどまだペイはしてないかな。ざっくりだけど後10年位でペイするかもってとこだと思う」と、10年以内に利益を出す段階までいくのは難しいという指摘が出ました。
太陽光発電を導入した家庭は、そのタイミングでオール電化に変更するケースも多いです。オール電化にするためにエコキュートや機器の買い替え費用がかかるため、トータルのコストを計算すると10年間では元が取れないというわけです。
「パネルの一部でも劣化すると、抵抗値が増大して効率が極端に下がる。パネルの一部が陰になる事でも起きる。北海道で一部に雪が積もっただけで、発電量ダダ下がり」と、発電量が事前の想定通りになるのは難しく、減少リスクが高いという意見も書き込まれていました。
太陽光発電で後悔した人のコメントをヤフー知恵袋で集めてみた
インターネット掲示板の一つで、ユーザー同士が匿名で質問および回答しあい、知識を共有することを目的に創設されたのが「ヤフー知恵袋」です。ここでも、太陽光発電について多くの意見交換がなされており、後悔したというネガティブな内容も一定数書き込まれています。
「今は採算取れません。買取価格が下がりましたから元を取るのに大変です」
「300万払った事を考えると元を取れる気はしません。付ける時の説明はさもお得のような、もっと買取額があるような話をされましたよ」
「メンテナンス、点検、撤去時の電気工事、撤去後の屋根修繕の費用を考えますと、損をする事がわかっている」
と、初期費用を回収するのが大変だという声が多く見られます。現在は太陽光パネルの価格が数年前よりだいぶ下がりましたが、同時に電力の買取価格も低下したため、利益を出すに至るハードルは変わらないというわけです。
また、意外と落とし穴になりがちなのが“蓄電池”だと指摘する声も少なくありません。蓄電池は、昼間に太陽光発電で作り出した電力を溜めておく機器です。夜間など太陽が出ていない時にその電力を使用するために設置します。
「パネルで発電し蓄電池に充電して使うシステムは最低でも数百万しますので、割に合う事はありません。蓄電池がとても高く、それが足を引っ張るからです」
「蓄電池は価格が高過ぎて経済的には何も良い事は無い」
「災害時を考えるのであれば、発電機とカセットコンロを買っておく方が費用対効果ははるかに高い」
「5〜10kwhの蓄電池では容量不足で、あとから後悔します」
その他、太陽光発電関連の仕事に従事する方から、こんな書き込みもありました。
「太陽光+オール電化の営業をしてるのですが、正直な所太陽光はあまり勧めてません。オール電化だと一般的な家庭ではメリットが出ますが太陽光だと売電予想価格と月々の支払いがトントンか負担が増える事もあるからです」
自宅をオール電化にして、発電した電力を極力使い切ると多少お得感があるかもしれませんが、太陽光パネルを付けて売電収入を得ようという考えで設置すると、儲からず後悔してしまう可能性が高そうです。
太陽光発電をやらなきゃよかった、とならないために気をつけること
太陽光発電を後悔した方々に共通する部分の一つは、知識不足と想定の甘さが後悔につながっています。というのも、まだ太陽光発電が一般的に普及する前、10~15年ほど前は状況がまったく異なります。その頃、現在のように太陽光発電に関する情報やレビューが広まっておらず、営業マンのセールストークに乗っかって導入したというケースも多いからです。
「太陽光発電と蓄電池で650万円ほどかかりました。セールスマンの口車に乗って高い買い物をしたと後悔しています」
「太陽光発電の支払いが終わった。15年、後悔しかない」
と、当時は第三者の評判を聞く機会も乏しく、致し方なかったといえます。
これから太陽光発電の導入を検討する場合、以下の点に気をつけておくことをお勧めします。
●導入前に発電量やメンテナンス費用のシミュレーションを行う
●初期費用を抑える
●業者ごとの導入実績や口コミをチェックして、優良業者を選ぶ
●保証内容をしっかり確認、火災保険などに加入しておく
太陽光発電システムを導入する際、まずは初期費用が割高にならないよう注意しましょう。さほど使わないのに蓄電池を購入したり、太陽光パネルを過剰にたくさん設置すると、その分ペイするのが難しくなります。
そして、発電量は屋根の向きや角度、周囲環境によって千差万別です。なかなか想定通りにはいきません。メンテナンスや点検費用も随時かかりますので、それらを加味してコストを計算しておきましょう。
とても重要なのが業者選びです。設置後のアフターサポート含め、太陽光発電の施工業者とは長い付き合いになるはずです。トラブルが起きた時にすぐ駆け付けてくれるのか、そもそも口コミの評判はどうなのか、事前に確認しておくべきです。
まとめ
太陽光発電が話題になり始めた時期に設置して、発電開始から10年を経過し、後悔が残るという方が存在するのは事実です。10年以内に元が取れるはずが中々利益を出せず、ようやくローン返済が終わったケースだと、太陽光発電について否定的な意見を言いたくなるのも無理ないでしょう。日々の天気を完全に予測するのが不可能なように、自然相手にするものですから、思い通りにいかなくて当然ぐらいに思っておくべきです。
設置目的を明確にして、事前にしっかりとシミュレーションを行えば、あとで後悔する可能性は低下します。決して安い買い物ではない太陽光発電だからこそ、入念な準備と冷静な判断を心がけていきましょう。