コラム

太陽光発電に関する融資制度を解説【2024年度】

太陽光発電の融資2024年

太陽光発電を事業として始めるうえで最も大変なのが、初期投資における資金繰りかと思います。一昔前と比べて、太陽光パネルなど機器の価格はだいぶ下がってきましたが、事業として行うなら最低でも1,000万円以上は必要です。手持ちの資金が無い場合、金融機関から融資を受けて費用を捻出する流れになるでしょう。
かといって、今まで融資の経験が無いと、果たして自分は融資してもらえるのか、そもそもどの金融機関に相談すべきなのか、不安な部分がたくさんありますよね。この記事では、太陽光発電事業における融資について、現状を詳しく解説していきます。

太陽光発電事業支援融資制度とは

固定価格買取制度(FIT制度)を利用する法人・個人事業主を対象とする融資として、「太陽光発電事業支援融資制度」というものがあります。「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づき、平成24年度7月1日以降にFIT制度を活用して太陽光発電事業を開始した方で、以下に記載する条件を満たすと、申請が可能です。
資金使途は、10kw以上の発電能力を有する太陽光発電事業に必要な設備資金に限定されます。太陽光パネルやパワーコンディショナー、電気工事、盗難防止対策用のフェンスやセキュリティシステムなどが該当します。
融資金額は1,000万円以上、となるため規模がそれなりに大きい発電事業でなければなりません。そして、融資期間は固定価格買取制度の買取期間以内かつ融資対象設備の耐用年数の範囲内です。具体的には1年超20年以内となります。

金融機関によって、融資利率や返済方法は異なります。変動金利または固定金利を選択できる機関が多いようですが、詳細は各金融機関に確認するようにしましょう。また、ほとんどの場合、元金均等返済または元利均等返済です。必要に応じて担保が求められ、法人の場合、原則として代表者が保証人となります。個人事業主ですと不要というケースも多いです。

これまで取引がない金融機関に対しても太陽光発電事業支援融資制度の申し込みはできます。ただし、融資の対象となる太陽光発電設備の所在地が当該機関の営業地域内に限られてしまうなど、全国どこの金融機関にも申請できるわけではありません。自宅の屋根などに設置する住宅用太陽光発電は、そもそも制度の対象外ですので、別の融資を検討してください。

太陽光発電の融資を日本政策金融公庫から受けることは可能?

日本政策金融公庫は、一般の金融機関が行う融資を補完することを目的とした機関です。農林水産事業者向け業務や中小企業者向け業務などを行い、国民生活の向上に寄与することを理念に掲げています。
では、太陽光発電事業を始める際、日本政策金融公庫から融資を受けることは出来るのでしょうか。

太陽光発電などの再生可能エネルギーは、「非化石エネルギー関連」という区分で扱われ、融資の対象となります。個人事業主向けと中小企業向けで融資内容に異なる部分もありますが、概要はおおよそ同じです。個人事業主の場合、融資限度額は7,200万円。返済期間は20年以内です。注意すべき点は、すべての太陽光発電設備が対象になるわけではないことです。対象設備は、発電出力10kW以上の自家消費型発電に限られます。売電を目的とする投資用太陽光発電は含まれません。

日本政策金融公庫の融資は、非化石エネルギーの普及を促進することを意図しています。投資目的の場合、この趣旨に適合しないと判断され、対象から除外されているようです。これは中小企業向け融資でも変わりません。融資額が非常に多い反面、申請手続きが非常に面倒というデメリットもあります。まず、申請にあたり、事業内容を詳細に記載した創業計画書を提出しなければなりません。
事業経験、取引関係、資金計画や収支計画など、落とし込む項目が多岐に渡ります。詳しくは日本政策金融公庫の公式ホームページに、参考となる資料が掲載されています。

メガバンクなどの金融機関と比較して金利が安いものの、申請にかかる手間がとても大変です。希望する融資条件を受けられるとも限らず、ハードルは高いといえるでしょう。それでも、銀行や信販会社を検討する前に、チャレンジする価値があるのは間違いないです。

太陽光発電の融資は担保がマスト?実情を解説

一般的に、金融機関から融資を受けるためには、担保が必要だと認識している方が多いでしょう。個人事業主として太陽光発電事業を開始する場合、初期費用を融資で賄いたいところです。しかしながら、無担保だと上限が1,000万円とする機関が多いのが実情です。
投資案件として市場に出回っている案件の相場はおよそ1,500~2,500万円前後のため、全額を融資でカバーすることができません。かといって、担保となる不動産を所有するのも、一般個人には厳しい条件ですよね。
そこで、不動産を担保にする方法以外に、太陽光発電事業では「ABL(アセット・ベースト・レンディング)」という仕組みがあります。動産担保融資を意味し、債権や動産なども担保にできる制度です。具体的にいうと、発電所に設置する太陽光パネルやパワーコンディショナー、架台などの設備、そして売電収入自体も担保になります。つまり、土地や建物など不動産を持っていなくても、太陽光発電事業を始めるために必要な機器を揃えるだけで、融資を受けやすくなるわけです。

とても便利でぜひ活用すべき制度ですが、誰でも利用できるわけではありません。融資先に事業計画書を提出し、その内容をもとに金融機関が融資を審査し、可否を判断します。発電を行う土地の日照量など周辺環境の状況など、様々な情報を詳細に記載して、機関の担当者に理解してもらう必要があります。ABL制度は地方銀行などが取り入れていますので、検討してみたい方はお近くの営業所を訪れてみるといいでしょう。

まとめ

太陽光発電事業の融資を検討するうえで、候補は主に日本政策金融公庫、銀行、信販会社の3つです。通常、金利が最も安いのは日本政策金融公庫ですから、まず最初に融資の相談をすべき機関といえます。
また、銀行では「太陽光発電事業支援融資制度」に基づいて融資を行っている機関があり、個人事業主も対象です。担保が必要となるケースでも、ABL制度を活用すれば、手持ちの資産が少ない方も太陽光発電事業を始めるチャンスはあります。
太陽光発電は、ほかの新規事業案件と比べて、融資を受けやすい傾向にあり、金融機関も相談に応じてくれるはずです。融資を上手に利用して、発電事業に取り組んでみてはいかがでしょうか。