コラム

太陽光発電で雑草対策は必須?行うことのメリットと起こりうる雑草トラブル

太陽光パネルと雑草対策

太陽光発電所を運営するうえで、雑草対策はとても重要です。メガソーラーなど大規模な太陽光発電設備は、日当たりが良い郊外に建設されることが多くなります。そこに雑草が生い茂ると、発電事業だけでなく、近隣の住民や農地にも悪影響を及ぼす可能性が出てきます。発電所を管理するにあたり、周辺環境に配慮しながら、適切な雑草対策をしなければなりません。
雑草を放置することは、近隣住民とのトラブルにも発展するため、雑草の除去する方法や費用などの知識を持っておく必要があります。この記事では、太陽光発電事業を行う際に欠かせない雑草対策について、解説していきます。

太陽光発電における雑草トラブルとはどのようなもの?

雑草によるトラブルは、大きく分けて発電事業に関する自分への影響、そして第三者に及ぼす影響という2つに分けられます。まず、発電所の運営にまつわるトラブルは、以下のような事例があります。

①発電効率の低下、収益の減少
②パネルや機器の発熱・故障(ホットスポット現象)
③防犯対策用のフェンスが倒壊

雑草が伸びることで太陽光パネルに影が生じると、発電効率が低下してしまいます。太陽光が遮られるほど、発電収益の減少につながります。
また、ツタなどがフェンスに絡みつくと風通しが悪くなり、強風が吹いた時にフェンスが傾く、あるいは倒壊する危険が高まるのです。容量50kW以上の発電所には、フェンスの設置が義務付けられています。フェンスは、不法侵入の防止や野生動物の侵入を防ぐ役割を果たすものです。ねずみや害虫が住み着く恐れもでてきます。

雑草のトラブルで特に危険なのが、ホットスポット現象です。ホットスポット現象とは、雑草や鳥の糞などが太陽光パネルに付着して影を生む場合、影の部分は発電しませんが、太陽光発電の仕組み上、発電しない部分が電気抵抗となります。電気抵抗のせいで最大200℃まで上昇し、その部分が発熱を起こす可能性があります。すると、パネルの破損や火災が発生するかもしれません。
次に、第三者へのトラブルを紹介します。

①雑草に隠れて動物や害虫が住み着いて、農地などを荒らす
②雑草がはみ出ると歩行の邪魔になる
③ゴミなどの不法投棄が増える

雑草が増えると、野生動物や害虫の住処と化す危険があります。
「アブラムシが大量発生して周辺の農家から苦情が寄せられた」
「イノシシなどの動物が住み着き、近隣の作物を荒らした」
と、近隣住民から苦情が届くことにつながるのです。

さらに、雑草にゴミを不法投棄したり、周辺を歩行する際に邪魔になることも考えられます。雑草トラブルはとても多岐に渡り、自分以外の住民も迷惑を被るため、しっかりと対策を施すことが肝要です。

太陽光発電の草刈りの相場を調べてみた

雑草を除去する場合、自分で草刈りを行うケースと、専門業者に外注するケースがあります。自らの手で機械を動かし除草する選択肢もありますが、慣れない作業で負担が大きく、ケーブルなどを傷つけてしまうと交換費用が余計にかかってしまいます。郊外に大規模な太陽光発電所を設けたなら、往復の交通費がかかりますし、そもそも自分一人では対応できないかと思います。
そういった理由から、業者に除草作業を委託する方が多いようです。一般的に、草刈りを業者に外注すると、1平方メートルあたり100~300円程度が相場となります。

数字を見てお分かりのとおり、業者によって価格差が大きいです。平方メートル単価が100円を下回る水準でサービスを提供するところもあれば、200円を超えることも決して珍しくありません。繁忙期や真夏の猛暑時などは単価が高くなりやすいです。
ちなみに、草刈り以外に除草剤を散布するという方法もあります。一括りに除草剤といっても、雑草がなるべく生えてこないよう予防するための薬剤と、すでに生えた雑草を処理するための薬剤が存在します。除草剤の散布費用も、草刈りとほぼ同水準です。1平方メートルあたり150~300円程度が相場の目安です。あまりに価格が高すぎる業者は避けるようにしましょう。

太陽光発電の草刈りの時期はいつぐらいが良い?

草刈りを行うタイミングについて、具体的に何月にやるべき、という基準はありません。雑草の状況を見ながら、適当な時期に作業をするといいでしょう。
ただし、雑草が成長すると太陽光パネルに影をもたらすだけでなく、茎が太くなり除草作業が大変になるというデメリットも重なります。おおよその目安として、雑草の高さが30~40cm前後に伸びてきたら、草刈りをやりましょう。
通常、雑草の生える度合いを考慮すると、年3~4回草刈りを行うことになるといえます。5月から7月頃は、気温の上昇に伴って、草木が育ちやすい時期ですので、草刈りの頻度が早くなることも頭に入れておいてください。雑草が生い茂って、近隣住民の方々に悪影響を及ぼしてからでは遅いです。除草作業を後回しにすると、その分作業負担が増大して、外注の場合費用がかさむ可能性が高まります。遠方に太陽光発電設備を所有しているなら、あらかじめ業者へ「3ヶ月ごとに草刈りをお願いします」などと依頼しておくと安心です。

まとめ

個人事業主が投資用に太陽光発電を購入する場合、必ずしも自宅付近の土地で発電を行うわけではありません。現地の状況を頻繁に確認するのは難しい、というケースが多いです。
これまで説明してきた通り、雑草対策をおろそかにすると、発電効率が低下して収益が減少するだけでなく周囲に住民にも迷惑をかけ、最悪の場合訴訟トラブルに発展します。雑草をめぐるトラブルは、私たちの想像以上に多く、被害者が自治体や経済産業省に通報する事例も数多く報告されています。草刈りするために一定のコストはかかりますが、必要経費だと認識して、発電事業を開始する前に雑草対策の計画を立てておくことをお勧めします。