太陽光発電の適地

太陽光発電が向いている適地について徹底解説

これから太陽光発電の導入を検討している方は、設置を予定している場所が本当に太陽光発電に適しているのか、不安になることもあるでしょう。太陽光発電は、日射量(太陽の光が当たる量)によって発電量が大きな影響を受けます。そのため、周辺環境や立地によってどうしても差が生じてしまいます。

自家消費用ではなく、投資目的で魅力的な太陽光発電を探している方にとっても、適地を把握しておくことはとても大切です。
本記事では、太陽光発電の適地はどこなのか、そもそも日本は太陽光発電に向いているのか、などについて解説していきます。

太陽光発電の適地マップを利用すると便利!

太陽光発電を設置、もしくは投資予定の方にとって役に立つのが、太陽光発電の適地マップです。
簡潔にいうと、地図で見る地域別の発電量分布で、場所ごとの向き不向きを大まかに認識することができます。

発電量は月間単位、年間単位で比較しても誤差が生じます。
ある年は発電量が減少するかもしれませんが、翌年は良好な天候が続き発電量が増加するなんてケースもよくあります。適地マップは、10年から15年という長期間の平均データを集計しているため、年ごとの誤差が帳尻合わせされ、かなり信頼できるデータとなっているのです。

ただし、適地マップであまり良い評価が出ていないからといって、すぐに躊躇すべきではないです。不向きの地域でも、より細かく天候や周辺環境を調査すると、実は十分な発電量が期待できる場所という可能性も十分ありえます。

一つおすすめのサイトとして、全国の発電状況データを集計したサイト「ソーラークリニック」は、実測値を集計した発電量の情報を提供しています。現在は更新を停止しているものの、25年間にわたり集計した数値に基づいた適地情報を提供してくれるので、ぜひ活用してみてください。

太陽光発電が多い県はどこ?

日本国内の地域別発電量を分析すると、北海道・東北地方は発電量が少なく、温暖な九州・四国地方は発電量が多い、太平洋側に比べて内陸の発電量は多い、といった基本的な傾向が読み取れます。一方、南北の緯度の高さだけで判断すべきではないとも言えるでしょう。

都道府県別の発電量ランキング1位は、山梨県です。山梨県は、年間の日照時間がほぼ毎年1位に君臨する、まさに太陽光発電に適した県なのです。年間を通して降水量が少ないこと、夏場の平均気温がさほど高くなく発電量のロスが少ないこと、標高が高い地域が多いこと、などが理由として挙げられます。

対照的に、発電量が少ない都道府県をみてみると、秋田県や青森県、北海道や岩手県など、北海道・東北地方が多く名を連ねています。雪国だと、どうしても冬場の発電量が減少する傾向にあるのですが、北海道は梅雨が無く夏場も涼しい気候のため、十勝郡や釧路市など地域によっては発電に向いている場所もあるのです。そして発電所の件数ランキングを見ると、茨城県、千葉県、三重県、鹿児島県などが上位です。
大規模なメガソーラーを建設するためには、広大な土地が必要となります。人口が多い東京都は、発電所の数という観点では上位に食い込むのは難しいでしょう。

世帯数の普及率ランキングですと、宮崎県や佐賀県、鹿児島県など九州地方の県が軒並み上位に揃っています。世間の方は、暖かい気候の地域が太陽光に適していると考えるケースが多いように窺えます。
ただし、住宅用太陽光発電を含めた太陽光発電の設置件数ランキングでは、東京都や愛知県、福岡県などやはり大都市が目立ちます。

太陽光発電は日本に不向きなの?

欧州や北米など世界各国で太陽光発電の普及が進んでいますが、実はそもそも日本が太陽光発電に向いていないと指摘する意見も聞かれます。日本では6月後半が「夏至」となり、日の出から日の入りまでの時間がもっとも長い日とされています。国を問わず、日照時間が長い時期にどれだけ発電できるかで年間発電量が変わってくるのですが、日本の場合、6月といえば梅雨の季節です。
北半球の諸外国では、月別発電量をグラフで表すと、1月から6月にかけてだんだん上がっていき、7月から12月にかけてなだらかに下がっていく山なりのグラフとなります。
ところが日本では、梅雨の季節に発電量が減るため、6月が凹んだM字のグラフを描くことが多いのです。また、赤道に近いアメリカ南部や中東など、年間を通じて温暖な気候の地域は、総じて発電量が多い傾向です。そういった地域も含めて日本を俯瞰的にみると、決して向いていない国とは言えないが、世界トップクラスでもない、そこそこ適した国といったところでしょう。

経済産業省の資源エネルギー庁は、日本の太陽光発電の適性について、次のように説明しています。

「平野部が少ないといった日本ならではの地理的な問題があります」
「南北に長い形状の島国であるため、国と国が陸続きである欧州のように、隣国同士で融通しあうことができません」
「欧州は、電力が不足した場合には隣の国から余った電気をもらい、発電しすぎた場合には隣の国に電気をおすそわけすればいいのですが、島国である日本では、この方法をとることはできません」
「日本における再エネ発電コストの低減をむずかしくする原因の一つは、発電機メーカーから発電事業者にいたるまでの流通構造や、取引慣行などが非効率です」

まとめ

日本は、北は北海道から南は沖縄まで、様々な気候の地域が混在する島国であり、一概に太陽光発電の向き不向きを断言するのは非常に難しい国です。暑い地域だから良い、寒い地域だからダメ、というわけでもなく、最終的には個別に条件を分析して判断することが求められます。

これから脱炭素社会の実現に向けて、より一層再生可能エネルギーの発電量を増やしていかなければなりませんが、上記で説明したとおり、日本ならではの地理的な問題点を克服しないと、従来の化石燃料依存から脱するのは難しいかもしれません。

メガソーラー事業者が、適した立地に発電所を運営するのはもちろん、太陽光発電設備のコスト低下によって私たちが導入しやすい状況にすることも肝要です。気候は自然現象ですから、人間の手で変えることはできません。どう向き合い、どんな方法で再生可能エネルギーを広めていくか、分析を行い熟考しなければいけないのです。


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