コラム

テスラの自動運転レベルはどれくらい?徹底解説

テスラの自動運転

テスラといえば電気自動車(EV)専業メーカーとして有名ですが、自動運転技術の開発にも非常に力を入れています。最高経営責任者のイーロン・マスクは、将来テスラ車が完全自律走行を実現すると高らかに宣言しており、すべての車両に“オートパイロット”という機能を搭載しました。その名称だけ聞くと、まさに「自動操縦」、つまり自動運転が可能となるような印象を受けます。
本記事では、テスラ車を日本で運転する際、本当に自動運転をしても問題ないのか、機能や安全面もあわせて解説していきます。

テスラの自動運転レベルは日本だとどれくらい?

自動運転のレベルについて、国際的な基準によれば“レベル0”から“レベル5”に分類されます。レベル0は「運転自動化なし」を指し、段々と水準が上がっていき、レベル5が「完全運転自動化」です。
国内外の自動車メーカーなどが、レベル5の達成を目標に研究開発を進めているものの、2024年時点でレベル5を実現したクルマは存在しません。では、テスラの自動運転レベルがどの程度かというと、レベル2の「部分運転自動化」です。
レベル2は、特定条件下での自動運転機能を有し、車線を維持しながら前走車に追随して走行できたり、高速道路で遅いクルマがいたら自動で追い越すといったことができます。あくまで、AI(人工知能)が運転を支援するにとどまる段階ですから、ドライバーは周囲の状況を常に監視し続けなければなりません。ごく僅かな環境に該当する以外、ハンドルを握らないことは許容されないのです。

ちなみに、一つ上のレベル3だと「条件付自動運転」が可能です。具体的には、高速道路の渋滞時などにおいて、ハンドルから手を離しても自動運転システムが走行を担ってくれます。ただし、渋滞が解消されたり、高速道路から降りる場合には、即座にドライバーが介入して制御する必要があります。レベル3機能を搭載する国内メーカーの市販車は、ホンダの「レジェンド」だけです。

テスラの自動運転のやり方を解説

それでは、テスラの車両が装備しているオートパイロットとはどのような機能なのでしょうか。オートパイロットは、ソフトウェアアップデートを通して継続的に機能が向上するよう設定されています。テスラは、システムの改修を実施した際、車両に搭載するソフトウェア経由で更新を行います。顧客は何もせずとも、自動的に最新の技術を体験することができる仕組みです。

オートパイロット機能の強みは、最先端のセンサー能力です。最長視認距離250mを誇る「ナロー フォワードカメラ」など、前方・後方に合計8台のカメラを設置。これらのカメラが認識した映像情報を素早く処理するため、車載コンピューターハードウェアがニューラルネットワーク(人間的な機械学習)を実行します。
自社開発のパワフルなビジョンプロセッシングツールを採用し、高い信頼度で車両の環境を巧みに分析することが可能です。それにより、複雑な道路でも車両を車線の中央に保持する“オートステアリング”、車速を制御する“トラフィックアウェアクルーズコントロール”などの機能を備えています。
なお、テスラの自動運転技術、実はオートパイロットだけではありません。追加料金を支払うと、「エンハンストオートパイロット(EAP)」と「フルセルフドライビング ケイパビリティ(FSD)」という、さらに高度な自動運転機能を提供しています。
最高峰モデル・FSDの一括購入価格は1万2,000ドル(約180万円)とかなり高額です。主な機能として、必要に応じて信号機や停止標識で減速停止し、周囲の状況を確認します。車線変更、左右のターン、オンランプおよびオフランプのフォローなども行ってくれます。自宅から目的地に到達するために、必要に応じて道路の分岐点の選択も可能なため、より快適でスムーズなドライブをサポートするものです。

テスラの自動運転は手放しでの運転も可能?

テスラの自動運転技術は進化を続け、随時ソフトウェアのアップデートが実行されており、顧客はその進化を肌で感じていることでしょう。
しかしながら、同社の車両は2024年時点で自動運転レベル2です。完全な自動運転を実現したわけではありません。よって、いわゆる手放し運転が認められるわけではないです。テスラの公式サイトでも、警告として運転時の注意事項が記載されています。

「フルセルフドライビングは、常に道路に注意を払う必要があるハンズオン機能です。常にハンドルの上に手を置き、道路状況や周囲の交通状況に注意し、常にすぐに行動できるように準備してください」
「オートパイロットの作動の有無に関わらず、車両の速度に対してはドライバーが常に責任を負います」
「ドライバーの注意力を阻害することを意図したデバイスの使用は、フルセルフドライビングの使用条件に違反するため、その車両における機能が永久に無効になり、今後の機能の使用が禁止される可能性があります」

完全オートパイロットを実現するには、人間のドライバーを超える信頼性を習得する必要があると説明し、同時に規制当局による認可も必要だといいます。国や地域によっては長い時間がかかることが予測されるため、現時点でいつ完全自動運転が実現するかは言及していません。
“オートパイロット”を有するテスラ車に乗っていても、運転中にスマートフォンを操作するといったわき見運転は、違法行為として罰則を受ける危険があります。くれぐれも注意しましょう。

まとめ

テスラの自動運転はレベル2という、部分運転自動化が可能となる機能を備えています。一方、オートパイロットという名称が、「完全自動運転も可能だと誤解を招きやすい」と批判が出ているのも事実です。現在テスラ車を運転する場合、ドライバーは常に周囲の状況に気を配り、ハンドルを操作できる態勢を準備しておかなければなりません。たとえ有料オプションのフルセルフドライビングを搭載していようが同様です。
アメリカでは、テスラの運転支援システムの事故率(2023年)は、100万マイルあたり0.21件でした。レベル5の完全自動運転が世界各国で認可されるのは、この事故率が限りなく0に近づいた時かもしれません。