コラム

テスラのevは今後どうなっていく?将来性や新モデルの噂について解説

EV業界で常に注目の的となっているテスラは、将来どうような企業になっていくのでしょうか。投資に興味を持っている方は、テスラの株式を保有してみようと考えてるかもしれません。今後株価が上がりそうなら、今のうちに購入しておきたいと思いますよね。
ところが、テスラに関しては昨今、良い噂ばかりではなく、将来性を疑問視する意見も出始めています。本当にテスラはもう期待が持てない企業なのか、投資対象として検討から外すべきなのか、この記事で解説していきましょう。

テスラの将来性はないと一部で言われている理由

EV業界全体を俯瞰すると、EVは現在成長産業とは言えないという実態が見えてきます。テスラに限らず、アメリカの自動車メーカー大手であるGMやフォード、欧州の有名メーカーも、EVの売れ行きは鈍化しているのです。
元々、従来のガソリン車がCO2など環境汚染に繋がる物質を排出することが問題視され、化石由来の燃料に依存せず、電気エネルギーで走行するEVの開発が始まりました。各国の大手自動車メーカーはこぞって、EV事業に莫大な資金を投入して、研究開発を進めてきました。

しかし、EVへの関心度は高い反面、売上は各社ともここ数年伸び悩んでいます。バッテリーを充電するスポットが不足していたり、製造コストがかかり完成車の価格が高い、などいくつか原因は挙げられます。「そもそも消費者があまり購買意欲を持っていないのでは?」との指摘もあるほどです。
フォードのCEOが「米国でEV車を買いたいと思っている消費者の購入は一巡した」という見解を示しているように、目新しい物好きな消費者はすでにEVを所有し、ほかの層はガソリン車のままで満足、という構図が窺えます。テスラにおいても、大衆向けの低価格EVの販売を断念するとの報道がアメリカで流れました。2024年1月、2万5000ドルのEVを2025年後半に投入する計画を明らかにしましたが、現時点で動向は未定のままです。

大衆向けEVで収益を高めるには、製造コストの低減が必須です。もちろん、販売台数を増大させなければいけません。これを諦めたということは、将来の成長性を会社側も不安に感じているのではと推測されます。低価格EVを大量生産して思うように売れないと、収益が一気に悪化するからです。過去10年間、力強い成長を示してきたテスラですが、成長力に陰りが見え、将来は厳しいだろうと言われているのです。

今後の新モデルについても調べてみた

①ロボタクシー
テスラが今後、力を入れていく事業の一つが、「ロボタクシー」です。
イーロン・マスクCEOによると、ロボタクシーとはいわゆる“自動運転タクシー”をアメリカ全土で展開する計画を立てています。タクシーを運営するうえで、最もコストがかかるのは運転手の人件費です。さらに、現在走行するタクシーのほとんどは、ガソリン燃料を必要とする内燃機関車です。
太陽光発電で作られる電気エネルギーを活用するEVで、運転手を必要としない自動運転モデルなら、コストが最大9割近くも低減できるかもしれません。そんなロボタクシーを実現するために欠かせないのが、自動運転技術です。

テスラは、運転支援システム「FSD」(フルセルフドライビング)の技術向上にも注力します。世界中を走行して収集したデータをAIが学習し、自動運転技術を日々進化させています。
FSDをサブスクリプションモデルにすると、顧客は毎月料金を支払って、ロボタクシーなどのテスラ車に乗ることになります。そうすると、新車の売上ペースが落ち着いても、企業として安定した利益を生み出すことが可能になるわけです。

②モデルY改良型
もう一つ、近い将来実現するであろう新モデルが、モデルYの改良版です。大幅な改良が施され、内外装の刷新および性能が向上したタイプが2025年にも市場に投入される見込みです。
2022年の9月からモデルYの正式納車が日本国内で開始しましたが、これまでモデルYは一度もマイナーチェンジを行っていません。他社製品と比較して性能の優位性が薄れてきました。モデルY改良版のプロトタイプ写真がネット上で公開されており、正式発表が近いと考えられています。

テスラの株は買うべき?アナリストの見解も調査してみた

テスラはアメリカのNASDAQに上場しており、日本から同社の株式を売買することも可能です。テスラの株価は、2021年11月に史上最高値をつけています。1株あたり414.5ドルに達し、時価総額は名だたる企業を差し置いて世界第7位に君臨したのです。

しかしながら、2024年8月下旬時点で、株価は約220ドルまで下落しました。なんと、ピーク時から約47%も株価が下がっていることになります。世界の時価総額ランキングでも、トップ10から陥落してしまいました。アメリカで発行される経済雑誌『Forbes』は、依然としてテスラの株価は高いというスタンスです。

同社は、2024年4月の決算発表で、販売済みのサイバートラックすべてをリコールすると公表しました。それによって、年初に1株あたり約248ドルだった株価が、4月22日に約142ドルまで下落。年初からの下落率が40%を超えたのです。

「同社の評価は依然として多くの指標において他の上場企業よりはるかに高い。テスラの株価収益率(PER)は50倍を超えており、これはS&P500の中央値の約3倍。一方で、株式益利回り(PSR)はS&P構成銘柄の中で422番目だ」

と、史上最高値から随分下落したものの、まだまだ割高であると主張しています。
一方、上場投資信託運用会社「アーク・インベストメント」CEOを務めるファンドマネージャーのキャシー・ウッドは、テスラの株式を“買い”と判断しています。
「より収益性の高い「ロボタクシー」プラットフォーム事業への参入が、同社株を約10倍上昇させるキッカケになる。テスラを単にEVメーカーと評価することを止め、自動運転タクシーの可能性を一部織り込みつつある」

実際、彼女が言うように、テスラの株価は2024年に底値をつけてから反転基調です。すでに底値圏から50%程度上昇したことは、テスラに対する投資家たちの評価が変わっている可能性が窺えます。ロボタクシー事業が本格的に始動すれば、キャシー・ウッドの指摘どおり、株価が大幅上昇するかもしれません。

まとめ

大手自動車メーカーがこぞってEV事業への投資を縮小し、EV業界が勢いを失っているのは事実です。最大のEV市場である中国でも、各社が値下げ競争を加速させ、収益面で苦戦しています。ただし、「テスラの本質は自動車企業ではなく、テクノロジー企業だ」とイーロン・マスクが創業時からテーマとして掲げてきました。自動運転技術の実現には、AI技術やビッグデータなど、テクノロジーの進化が不可欠です。単なる自動車メーカーでは、大きな野望を達成することは、到底できません。テスラをテクノロジー企業として評価できるなら、今後の成長性に期待してみるのも間違っていないでしょう。