コラム

テスラのサモンってどんな機能?概要や仕組みを中心に解説

テスラ車には、「サモン」と呼ばれる機能をオプションでつけることができます。他社には無い、まさにテスラらしい未来を感じさせる機能だと評判です。
自宅の玄関と駐車場が離れている場合、普通はその都度駐車場まで歩いて、エンジンをかけなければなりません。もし、自分が立っている所までクルマが迎えに来てくれたら、とても嬉しいですし優越感を感じられますよね。日本国内でも実用化され、テスラオーナーの間で話題になっているサービス「サモン」について、今回は解説していきたいと思います。

テスラのサモンの概要

“summon(呼び出す・召喚する)”という言葉のとおり、「サモン」はスマートフォンを操作するだけでテスラ車が自分のいる場所まで自動運転で来てくれる機能です。この機能が実装された初期段階の頃は、自分がクルマの至近距離にいなければならず、ボタンを押している間のみ、前進か後退のどちらかに動くというものでした。障害物など何らかの抵抗を感じる時、またボタンから手を離してもすぐ停止してしまうため、さほど便利とはいえませんでした。

数年後、テスラは「サモン」を進化させた「スマートサモン」をアメリカでリリースします。個人用の駐車スペースや私道に停車させたテスラ車を、最大約65メートル離れた場所から呼び寄せることが可能になったのです。

専用アプリを用いて、GPSで目的地に設定すると、車両は複数台のカメラで周囲を監視しながら、通行人や他の車両を避けてオーナーの元まで移動します。実際に駐車場で「サモン」を使用する様子が、YouTubeなどSNSに投稿されています。
ただし使用条件として、“公道以外”に制限し、アプリを操作するオーナーが常にクルマを目視できる状態であることが求められます。多くの車両が走行する一般車道でこの機能は使えません。

よって、突然の雨で傘を持っていない時や、障害者が駐車位置まで歩く負担が大きい場合など、いくつかの状況で役立つことは事実です。テスラオーナー達は、「サモン」をカッコいい機能として、操作することを楽しんでいるようです。

テスラのスマートサモンは日本でも使えるようになった

アメリカ本土でサービスを開始した「サモン」は、2022年から日本国内のテスラ車でも使用可能になりました。しかし、使用条件がアメリカよりも相当厳しく制限されているため、注意が必要です。テスラの日本向けサイトによれば、Model 3がオーナーのいる場所まで、必要に応じて物体を避けながら走行できるよう設定されているそうです。モバイルアプリを使って操作できるのは、Model 3から約6メートル以内にいる時だけです。

想定するシチュエーションとして、

●狭い駐車場の外へ移動させる
●水溜りを通る
●荷物を運んでいる最中に車を呼び寄せる

などを挙げていますが、まだまだ不十分な部分も多いです。近くに公道があると、安全面を考慮して私有地の範囲内でも「スマートサモン」を使用できません。また、幅が狭い(2.5メートル程度)ガレージだと正常に機能しない場合もあるようです。もちろん、アメリカのように広い駐車場でクルマを呼び寄せることも禁止です。海外のテスラオーナーの様子を見て期待していた方にとっては、物足りない機能だと言わざるを得ません。

テスラのサモンは使えないという声も?評判を調査してみた

「スマートサモン」は、アメリカだと約65メートル以内で操作できる機能だと説明しましたが、日本同様に欧州でも法律の規制により使用範囲は約6メートルに制限されています。そのため、欧州のテスラオーナーからは「使えない」「役に立たない」との酷評が多数投稿される状況です。アメリカ本土でも公道での操作は許容されておらず、

「継続して車両とその周囲を監視し、いつでもすぐに対応できるようにしてください」
「常に停止できるように注意を払ってください」

といった注意書きがアメリカ向けのサイトにも記述されています。動作中の映像をSNSにアップした方たちによれば、こうした警告は「決して冗談ではない」といいます。
たとえば、混雑した駐車場でテスラ車がスムーズに移動できず、別の車両と衝突寸前に陥る瞬間を収めた動画や、他のテスラ車が接触してきた場面を捉えた動画などがネット上で拡散されているのです。オーナーがすぐに対応して、いずれも大きな事故には繋がりませんでした。しかし、「スマートサモン」の機能を過剰に信頼して、操作したまま視線を別の方向に移していたら、取り返しが付かない事故が起きていた可能性があります。非常に未来的でクールな機能でも、毎度冷や冷やしながら使いたがるユーザーはいませんよね。イーロン・マスクCEOは、近い将来「スマートサモン」の大型アップデートを予告しており、性能の進化が期待されます。

まとめ

「スマートサモン」のような機能を備えた電気自動車は、2024年時点でテスラだけです。時代の最先端を行くテスラらしい、なんともワクワクするサービスです。日本では規制が厳しく、アメリカのように広いスペースで使用できるようになるのはだいぶ先かもしれません。そのため、「スマートサモン」機能はさほど普及しているとはいえない状況です。
いずれは、3D空間認識を使った高精度な「スマートサモン」によって、縦列駐車と並列駐車が選択できるようになり、車から降りた状態で駐車できるまでに進化するといわれています。テスラが提供する本当のワクワクを味わえるのは、もう少し先の未来だと思われます。