コラム

太陽光発電を設置したら住宅ローン控除の対象となる?

太陽光発電と住宅ローン

太陽光発電システムの設置を検討する際、ローンを活用したいと考える方も多いかと思います。「ソーラーローン」とよばれる太陽光発電や蓄電池の導入時に利用できる融資を選ぶこともできますが、住宅ローンに組み込むべきという意見もあります。主な理由としては、ソーラーローンと比較して非常に安い金利で融資を受けられるからです。ローンで同じ金額を借りるなら、金利が低いに越したことはないですよね。
とはいえ、そもそも太陽光発電にかかる費用を住宅ローンに組み込むことは可能なのでしょうか。もし可能だとすれば、どのような点に気を付けるべきなのか、返済に関する重要な点についても説明しますので、ぜひ参考にしてください。

結論、太陽光発電を住宅ローン控除に組み込むことは可能

まず始めに、住宅ローンに組み込むことの可否について言及すると、一定の条件を満たせば組み入れることができます。租税特別措置法関係通達41-24によれば、「家屋の取得対価の額」には、その家屋と一体として取得した当該家屋の電気設備など、附属設備の取得額を含むと定めています。つまり、新築一戸建てを建てるのと同時に太陽光発電を導入すれば住宅ローン控除の対象になるわけです。太陽光発電が設置されている中古住宅を購入する時に適用されるケースもありますが、基本的には新築と同時に設置する必要があると考えておきましょう。

大手ハウスメーカーですと、金融機関と提携している場合がほとんどです。昨今は太陽光発電を設置する購入者も多いので、話がスムーズに進みやすいはずです。もちろん、融資金額が増えるため、その分審査は厳しくなるでしょう。設置予定の場所が十分な発電量を見込めるところなのか、売電収入と返済計画を照らし合わせて採算が見込めると判断されれば、融資を受けやすくなります。
ソーラーローンより金利が低い以外にも、住宅ローンのメリットはあります。ソーラーローンの返済期間は最長20年ですが、住宅ローンは最長35年まで返済期間を組むことが可能です。住宅ローンには、「団体信用生命保険」という、ローン契約者が万が一死亡した場合でも遺族がローン負債を免除される制度が存在します。返済期間中、不幸な事態が起きても残された家族がローンに苦しむ心配がないので、そういった理由からも住宅ローンが推奨されているのです。

太陽光発電の住宅特定改修特別税額控除について解説

マイホームを購入した時は設置しなかったけど、後になって「やっぱり太陽光発電を設置したい」という方もいますよね。このようなケースでは、「住宅特定改修特別税額控除」が適用される可能性があります。
住宅特定改修特別税額控除とは、所有している住居に”一般省エネ改修工事”を行った場合において、いくつかの条件のもと、一定金額をその年分の所得税額から控除することができる制度です。この控除は、住宅ローンなどの利用がなくても適用できます。対象者は、マイホームに一般省エネ改修工事を行ったうえで、次の要件を満たす方となります。

●一般省エネ改修工事の日から6か月以内に居住の用に供していること。
●この特別控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下であること。
●工事をした後の住宅の床面積が50平方メートル以上であり、かつ、床面積の2分の1以上を専ら自己の居住の用に供していること。
●一般省エネ改修工事に係る標準的な費用の額が50万円を超えるものであること。
●工事費用の2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること。

具体的な控除額は、簡潔にお伝えすると、工事費用×10%+(工事費用+その他費用)×5% となりますが、実際の計算方法はかなり複雑です。詳細につきましては国税庁のホームページをご参照ください。
住宅特定改修特別税額控除の適用を受けるためには、必要事項を記載した確定申告書に提出書類を添付して、納税地の所轄税務署長に申請しなければいけません。書類漏れがあると控除の対象外となる恐れもあるので、事前にしっかり確認するようにしましょう。
住宅ローン控除については、こちらの資料にも詳しく書かれています。

太陽光発電のローンは繰り上げ返済した方が良いのは本当?

太陽光発電の初期費用にかかるローンは、繰り上げ返済することが可能です。それでは、繰り上げ返済をするべきなのでしょうか。ローンは毎月の返済額が決まっていますが、それとは別にまとまった金額を返済する手続きを繰り上げ返済といいます。雑所得などで大きな金額が手元に入った時、ローン返済に充てれば負債額が減少します。ただし、繰り上げ返済に充てられるのは、ローンのうち元本のみです。
たとえば1,000万円を借りた場合、その元本(1,000万円)自体は変わりません。繰り上げ返済を行うと、利息を減らすことにつながります。完済するまで利息はかかり続けるため、返済期間を短縮できればその分利息支払額も減少するというわけです。
太陽光発電の繰り上げ返済には、返済額軽減型と期間短縮型という2種類の選択肢があります。
「返済額軽減型」は、返済期間は変更しませんが、月々の返済額を減らすというものです。これまで月々10万円返済していたのを7万円に減らす、といった具合です。「期間短縮型」は、毎月の返済額は繰り上げ返済前と同じですが返済期間が短縮するものです。どちらがメリットが大きいかというと、期間短縮型の方が利息の軽減は大きくなり、最終的な合計支払額が少なくなります。

まとめ

太陽光発電を新築購入時に設置することで、住宅ローン控除に組み込むことができる点を説明してきました。住宅所有後に導入を検討するケースでも、住宅特定改修特別税額控除という制度によって、税控除を受けることができます。それぞれ条件があり、誰でも適用されるとはいえませんが、あらかじめ適用要件を把握しておくとよいでしょう。
融資を受けることが出来たら、無理しない範囲で早めに完済することをお勧めします。繰り上げ返済によって金融機関に支払う利息額は減少するので、大きなメリットとなります。これから太陽光発電を導入する方は、上記の住宅ローン控除の仕組みをしっかり理解して、制度を最大限活用するようにしてください。