コラム

パナソニック製のv2hはどのようなサービス?仕組みや特徴を解説

電気自動車や太陽光発電の普及によって、v2hのニーズが高まっています。v2hというと、今まで国内ではニチコンが圧倒的なシェアを占めていましたが、家電大手のパナソニックでもv2h製品を開発し、販売したことで選択肢が増えました。そこで、この記事を通して、パナソニックのv2hサービスの仕組みや特徴と共に、どんなメリットがあるのかについても解説していきます。

パナソニックのv2hの特徴

パナソニックで販売しているv2hは、「eneplat」という商品名です。このv2hの最大の特徴は、EVと蓄電池への充電と放電を同時に行えることです。これは世界でも初となるシステムで、v2hのメリットを大きく広げることに成功しています。
従来の蓄電池システムでは、ソーラーパネルからの蓄電池への充電とEVに対する充電は切り離して行い、同時に行うことはできませんでした。それをパナソニックでは同時にできるようにしたことで、ソーラーパネルによって発電したものを無駄なく、自分たちで使えることになります。
これは、「eムーブ」というシステムによって管理されています。EVと蓄電池を接続して、それぞれから充放電できるのが強みとなっています。これにより、昼間ソーラーパネルによって蓄電池に充電し、帰宅してからEVに蓄電池から充電するといった効率的な使い方ができます。

もう一つの特徴は、ブレーカー電流について、上限セッティング可能という点です。原則として、電気自動車への充電は家庭用ブレーカーを介して行います。しかし、この仕組みだと、家の中で消費電力の大きな家電製品を使っていると、充電中に容量オーバーとなり、ブレーカーが落ちてしまうことが多くなります。通常のv2hではこうした問題が頻繁に起こるため、ブレーカー容量を大きなものにしなければなりません。しかし、パナソニックのv2hでは、電流上限を設定できるようになっています。つまり、他の家電製品を使っている場合、ブレーカーの容量を超えない範囲で充電するよう、電力量をコントロールすることで、停電を回避できるのです。
そして、パナソニックが持つ電力コントロールサービスと連携できるのも特徴です。これは、AIによって日頃の蓄電池の稼働状況を分析して、自動的にコントロールしてくれるシステムです。このシステムでは、同時に天気予報とも連携することで、日射量と電力消費量予測を分析し、充放電の量を制御することができます。つまり、翌日は快晴予報でたくさん発電できるようであれば、夜の間のEVからの充電を減らし、逆に翌日の発電が少ないと予測されると、EVから蓄電池への充電を多くしておくわけです。こうすることで、より効率の良い稼働を可能とします。

eneplatの仕組み

v2hの仕組みはいくつもの機器で成り立っていて、通常はセットで購入して設置、使用します。パワーステーションはその装置の一つで、原則として屋外に取り付け、分電盤を通して充放電を行います。太陽光発電や蓄電池、電気自動車のバッテリーとの接続により、電力の流れを制御することができます。
このパワーステーションには、ネットリモコンが付属しています。屋内に取り付けるもので、パワーステーションの設定や運転・停止などを操作するためのリモコンです。
Eneplatの他の主要な装置は蓄電池で、パナソニックのシステムでは最大2台取り付けが可能となっています。蓄電池は3.5kWhaから6.3kWhまで対応している製品があり、屋外に取り付けられる蓄電池ユニットとしてまとめて購入することもできます。こうした機器の他に、v2hスタンドを屋外に取り付けて、電動自動車に接続することになります。

このように、eneplatは屋内外に異なる複数の機器を設置、接続することで、適切な充放電ができるような仕組みとなっています。ソーラーパネルから配線し、パワーステーションを介して蓄電池に充電を行います。電動自動車への充電が必要な時には、蓄電池からパワーステーションを通り、さらにv2hスタンドに接続したEVに充電する形となります。EVからの住居への電力供給をする時には、この逆のルートをたどることになります。
v2hスタンドやパワーステーション側で、充電をするのか放電をするのかを簡単に操作できる仕組みとなっていますので、面倒な作業は不要です。また事前に設定しておけば、接続しっ放しの状態で夜間電力による充電、昼間のEVからの自宅への電力供給といったコントロールも自動で行うことができます。

パナソニックのv2hシステムのメリットとは?

v2hシステムにはいくつかの選択肢がありますが、パナソニックのeneplatにはいくつものメリットがあります。その一つが、蓄電池からと電気自動車からの電力供給を同時に行えることです。太陽光発電を自家消費したいと考えている場合、蓄電池ユニットを設置するのが普通ですが、自宅内での電力消費が大きいと、蓄電池の能力では追い付かないケースが出てきます。しかし、eneplatであれば、蓄電池にプラスしてEVからの供給も可能となりますので、夏の時期のエアコン稼働など、大きな電力を使うシーンにも対応できるわけです。自家消費率を上げることにつながり、電力料金を下げられるのがメリットです。

もう一つの良いところは、機器の構成に柔軟性がある点です。たとえば、蓄電池はスペックや形状などの違いによって、いくつかの製品ラインナップがあります。最大2台まで同時設置できるのですが、その組み合わせをニーズに合わせて変えられますし、最初は1台だけにして、後から必要を感じたら2台目を追加するといった利用法も可能となります。

さらに、v2hスタンドを後から設置できるのも助かります。最初は太陽光発電にのみ対応させた構成として、後に電気自動車を購入するタイミングでv2hスタンドだけを設置するといった使い方もできます。接続はとても簡単ですので、スタンドを駐車場付近に取り付けて、後はケーブルでつなぐだけです。ライフスタイルやマイホームの変化に合わせて柔軟に構成を変えていけるので、無駄なくその時に必要な電力供給環境を作れるわけです。
パナソニックでは、v2hをコントロールするための独自のシステムを提供しています。そのアプリを使うことによって、電力使用に関する意識を高められるでしょう。たとえば、現在の蓄電量や残りの可能使用時間、充電している場合の充電完了までの時間などが一目で分かるように表示されます。また、停電した時には、残り使用時間を確認できるようにもなっています。災害時に電気をどのように使ったら良いかを判断しやすくなり、日頃からの意識が高まります。このアプリはスマホでの操作が可能ですので、外出中でも充電スタートや停止などを操作できて便利です。

パナソニックのv2hシステムであるeneplatは、業界初の同時充放電を可能とするなど、使い勝手と効率の良いサービスとなっています。自宅においてこれから太陽光発電を取り付ける場合や電気自動車を購入する計画がある場合、パナソニックの製品も選択肢の中に含めてみると良いでしょう。