0円の太陽光発電

太陽光発電の0円住宅って何?徹底解説

多くの方にとって、人生における最も高額な買い物が、マイホームの購入ではないでしょうか。ところが、数千万円以上かかるはずの新居が、なんと0円で手に入るという“0円住宅”が一時期話題となりました。正確に言えば、購入金額が0円になるのではなく、住宅ローンの返済額を実質0円にするという意味なのですが、言葉のインパクトゆえ、関心が高まったのです。もし本当に可能なら、是非とも夢のマイホームを“タダ”で欲しいと思いますよね。
もちろん、高額な住宅がそう簡単に0円になるわけではありません。0円住宅、そして0円ソーラーとは一体どのような仕組みなのでしょうか。説明していきますので、参考にしてください。

太陽光発電と0円住宅の概要や仕組み

太陽光発電による0円住宅の概念は、発電した電気を電力会社に売ることで収益を得て、住宅ローンの返済額に充てるというものです。通常、マイホームを購入する際にはローンを組みますが、返済するための資金を太陽光発電で生み出せば、手持ちのお金が減ることなく住み続けることができます。電力会社への売電は、FIT法における固定価格買取制度が適用されます。容量10kW未満の住宅用太陽光発電なら10年間、10kW以上の産業用太陽光発電なら20年間、一定価格で電力を買い取ってくれる制度です。
ここで問題になるのが、住居の屋根に設置する場合、ほとんどの方は設置容量10kW未満となります。発電量を増やすべく、たくさんの太陽光パネルを設置するには当然ながら屋根の面積がそれだけ広くないといけません。住宅用太陽光発電扱いだと、10年が経過した後、電力の買取価格が下落します。
0円住宅が注目を集めたのは、FIT制度が開始した直後、売電価格が1kWあたり42円だった頃です。その時期から売電を開始して、10年ないし20年間40円以上で売り続ければ、0円住宅も可能になると言われたのです。しかし2023年は、住宅用太陽光発電ですと買取価格は1kWあたり16円になります。太陽光発電システムの費用も低下してきたとはいえ、この水準だとさすがにローン返済額を0円にするのは相当難しいと言わざるを得ません。
現実的には、“0円住宅”より“光熱費0円住宅”を目指すのが良いのではないでしょうか。太陽光発電設置を機にオール電化にして、発電した電気を自家消費に充てれば、電気代は大幅に削減できるはずです。やみくもに0円住宅を達成しようとすると、負債額ばかりが増えて苦しい状況に陥りますので気をつけてください。

0円ソーラーでも補助金は受け取り可能?

これから新居購入を検討、あるいは住宅を所有しており、太陽光発電を設置したいけど費用をどうにか抑えて導入したいと思っている方も多いはずです。そこで注目したいのが、初期費用0円で太陽光発電を導入できるサービスです。業界内では通称“0円ソーラー”と呼ばれますが、こちらは0円住宅と異なり、今からでも検討すべきものです。
0円ソーラーは、初期費用0円で自宅に太陽光発電システムを導入できるサービスで多くの事業者が展開しています。所有権が事業者となる一方、設置費用を負担してくれるので、契約者は費用を出す必要がありません。
月々のリース料金を支払う形式や、事業者から電気を購入するPPAモデルが存在しますが、これらの0円ソーラーでも補助金を受け取ることが可能でしょうか。「費用を負担していないのに補助金が貰えるわけない」と思いがちですが、実は多くの地方自治体が補助金制度を設けています。

たとえば、東京都が助成する「住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進事業」では、太陽光発電1kWあたり10万円の助成額が給付されます。助成金は太陽光発電を設置する事業者に支払われ、利用料金の低下などによって全額契約者に返還される取り決めです。無料で太陽光発電システムを設置でき、40~50万円の補助金を受け取れるのは、とても魅力的ですよね。ただし、助成金の予算には限りがあり、上限に達し次第終了となります。2022年度の受付は既に終了しています。2023年度の募集要項については現時点で未定です。随時ホームページで情報をチェックするようにしましょう。

0円ソーラーの注意点を解説

金銭面のハードルが無くなり、誰でも太陽光発電を導入しやすい0円ソーラーですが、いくつか注意すべき点もあります。
まず、一度設置すると、少なくとも10年以上、取り外しができません。太陽光発電システムの所有権は事業者です。たとえば引っ越しをしたいからといって、契約者が勝手に太陽光パネルを取り外すことは認められていないのです。そもそも築年数が古い住居だと設置依頼ができないケースも多いですが、0円ソーラーを導入後は自宅のリフォームや建て替え工事も自由にできなくなるので注意しましょう。
また、契約期間中に途中解約すると、太陽光発電システムの買い取り請求が発生します。買取金額は、契約年数によって異なりますが、大きな出費となる恐れもあります。一方、契約期間が満了すれば、太陽光発電システムを無償で譲渡してもらえるので、長期的な視点で導入すればメリットが大きいのは間違いありません。

まとめ

「0円」というワードを聞くとどうしても惹かれてしまうのは仕方ないことです。太陽光発電に関しても、昨今は多くの事業者が0円ソーラーを提案しており、地方自治体も普及を促進しています。補助金を活用できれば、さらにコストを低下させることも可能です。
前述の通り、0円住宅は現在のFIT制度を踏まえると、誇大広告と思えてしまいます。ローン返済の一部を売電収入で賄うことは良しとしても、全額をカバーするのはほぼ不可能です。太陽光発電は一度設置したら長期間継続すべきものです。0円という謳い文句に過剰に反応せず、あなたにとって最善な選択を取るようにしてください。


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