太陽光発電の雨漏り

太陽光発電で雨漏りが発生した場合はどうしたらよい?

太陽光発電システムを自宅の屋根に設置しようと検討する際、雨漏りを気にして導入に踏み切れない方もいるのではないでしょうか。せっかく電気代節約のために太陽光発電を設置しても、雨漏りのせいで出費がかさんだら台無しですよね。一時期、太陽光発電は雨漏りのリスクがあるとの話が広まり、今でも不安を払拭できないのだと思われます。
昨今では、雨漏りのほとんどは施工業者の不十分な工事が原因です。適切な工事を施せば、雨漏りの心配はほぼ不要なのですが、万が一発生してしまった時は、どのように対応すればいいのでしょうか。この記事では、雨漏りが起きる原因から、いざという時の対処法に関して詳しく解説していきます。

太陽光発電の雨漏りの件数は実際どれくらい報告されている?

太陽光発電による雨漏りが指摘され始めたのは、2010年頃からです。2012年にFIT制度(固定価格買取制度)が開始したことに伴い、設置件数が急増したため、トラブルの報告件数も増えたのです。国民生活センターに寄せられた太陽光発電に関する相談件数は2013年にピークを打ち、減少傾向にあります。ピーク時は、「公益財団法人住宅リフォーム・紛争開発センター」の屋根の不具合における第1位が雨漏りでした。被害事例および相談案件の54.6%を占めており、太陽光発電と雨漏りに一定の因果関係があったのは間違いないでしょう。

しかし2020年以降、国民生活センターによれば、太陽光発電システム全体のトラブル報告件数は2000件程度です。そのうち、品質・機能・安全に関する問い合わせは200~300件前後。雨漏りに限定すれば、相談件数はごく少数だといえます。過去の実例として、国民生活センターが紹介した相談内容は下記の通りです。

「太陽光発電を屋根に設置した。設置工事から半年後、屋根に雨漏りがあったので業者に修理してもらったが再度雨漏りした」
「太陽光発電を設置して数年経った時期から2階の天井にシミが出来るようになった」

いずれも昔のもので、こういった事例は無くなりつつあります。

スレート屋根で雨漏りが発生する原因

そもそも、どうして太陽光発電システムを設置すると、雨漏りの原因となってしまうのでしょうか。結論からいうと、「太陽光パネルを取り付ける際、屋根に穴を開けるから」です。一般的な瓦屋根やスレート屋根は、以下の工程で完成します。

①屋根に傾斜をつけるための「垂木」を等間隔で取り付ける
②垂木の上に屋根の基礎部分となる「野路板」を設置する
③野路板の上に雨漏りを防ぐ防水シートを被せる
④防水シートの上に瓦やスレートなどの屋根材を敷く

太陽光パネルを設置する際には、屋根材と防水シートに穴を開けて、ビスで垂木に固定する直打ち工法がよく用いられます。そして、雨漏りしないように取り付け金具の防水処理を行うのです。施工業者による防水加工が十分に施されていないと、老朽化した時に穴と金具との間に隙間が生まれ、取り付け穴から雨漏りが起きてしまうことになります。
スレート屋根に太陽光パネルを固定する場合、穴を開ける工法となるので、いわゆる手抜き工事やコーキング剤で簡易に補修するだけでは雨漏り発生のリスクは解消できません。実績豊富で信頼できる施工会社に依頼することが、雨漏りを防ぐために重要となります。

太陽光発電の雨漏りの修理費用はどれくらい?

雨漏りに対して十分注意を払っても、雨漏りが絶対に起こらないとは言い切れません。太陽光発電を設置した後、万が一自宅の屋根で雨漏りが発生したら、どのように対応するか見ていきましょう。
まず相談すべき相手は、施工業者です。保険をかけていることが多いので、保険を利用して修理を行ってくれる可能性があるからです。保証期間内に雨漏りが発生した場合なら、無償で修理を引き受けると思われます。
一方、太陽光パネルメーカーの保証に関しては、あまり期待しないほうがいいです。太陽光パネルの故障や初期不良、取り付けの瑕疵が確認できるケースでないと、メーカー保証は適用されません。雨漏りの補償は義務ではないため、基本的には対象外となりますが、一部のメーカーは保証範囲内としているようです。具体的な保証範囲はメーカーによって異なるため、設置時にしっかり確認してください。

保険に加入していない施工業者に依頼した場合や、保証期間を過ぎている時は、自費で修理コストを負担しなければいけません。修理費用も業者によって差があり、雨漏り対策で大体10~30万円程度。屋根材の交換費用が面積に応じて加算されます。一般的なスレート屋根や瓦屋根ですと、大体1平方メートルあたり3万円前後が相場ですが、各業者に尋ねてみましょう。
施工業者に依頼する段階で、保証がついているかを確認するだけでなく、その業者は倒産の懸念がないのか、担当者(社員)が信頼できるか否かを入念にチェックすることが肝要です。

まとめ

現在の施工技術をもってすれば、しっかりと取り付け工事を行う限り、雨漏りの危険はほとんど心配しなくていいでしょう。とはいえ、きちんとした施工業者を見つけられるか不安になる方もいるはずです。

●施工実績を尋ねる
●雨漏りが起きた時の対応方法を聞く
●保証の有無を尋ねる
●太陽光発電メーカーが認めた設置業者の証である「施工ID」をチェック

これらの項目をしっかり確認すれば、おおよそ悪徳業者を避けることはできるはずです。雨漏りの発生は、設置段階で決まるといっても過言ではありません。一度適切な防水対策を施せば、雨漏りが起こることはそうそうないですから、安心して太陽光発電を続けることができるでしょう。


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