太陽光発電の損益分岐点

儲けを出すならしっかり押さえておきたい太陽光発電の損益分岐点について解説

地球環境に優しい再生可能エネルギーの一つとして、非常に注目されている太陽光発電。東京都が、新築住居への設置を義務づける条例案を検討するなど、今後ますます増えていくでしょう。CO2を排出する化石燃料の使用量を減らすために導入が促されているとはいえ、せっかく費用をかけて設置するなら損はしたくないですよね。
そこで今回は、太陽光発電における損益分岐点について説明していきます。太陽光発電の特徴として、FIT制度(固定価格買取制度)により売電単価と期間が決まっているため、採算性が把握しやすいのがポイントです。一般的に、太陽光発電の損益分岐点は8年~12年と言われていますが、実際はどうなのでしょうか。

損益分岐点の基本について

損益分岐点の基本的な概念は、”総利益が費用を上回るのはいつか?”というものです。投資回収期間と置き換えることもでき、なるべく少ない期間で費用を回収できる方が投資として安全であると考えます。住宅用太陽光発電は、厳密には投資とは扱いませんが、損益分岐点という考え方は非常に大切ですので、ぜひ覚えておいてください。
もう少し詳しく見ていくと、太陽光発電の設置・維持費用を、自家消費と売電により得られる利益で賄うことができる時点が、太陽光発電の損益分岐点となります。初期導入費用の主な製品としては、以下のものが挙げられます。

●太陽光パネル
●パワーコンディショナー
●メーター
●架台

初期費用を安く抑えることで、損益分岐点のハードルは低くなります。4年ごとにメンテナンスを行うことが推奨されており、パワーコンディショナーの寿命が10~15年程なので、それも考慮するべきです。また、ローンを組んだ場合、金利が上乗せされるため、初期費用の合計額が高くなるので注意が必要です。

太陽光発電の実際の収支の例を紹介

住居の屋根に取り付ける住宅用太陽光発電の場合、自家消費して余った分を電力会社に買い取ってもらう構造です。そのため、損益分岐点の計算方法については、以下のような少し複雑な計算式となっています。

損益分岐点=初期費用÷(年間想定発電量×自家消費割合×使用電力単価+年間想定発電量×売電割合×売電価格)

収益計算をする際、買取制度による売電に目が行きがちですが、自家消費によって電力会社に支払う電気代が削減できることも利益として考えます。また、一昔前に売電を始めた人と、これから導入する人では、損益分岐点における重要な点が変わってくることも頭に入れておいてください。具体的な事例を用いて説明します。

例①:2014年に、5kWの太陽光発電システムを180万円で購入。年間の平均発電量が6,000kWh、自家消費率30%と仮定した場合

この年に売電を開始すると固定買取価格は37円でした。電力価格は1kWhあたり26円とします。計算式は次のようになります。

180万円÷(6,000kWh×30%×26円/kWh+6,000kWh×70%×37円/kWh)=8.90年

メンテナンス費用も加味すると、だいたい9年余りで元が取れるので、ここが損益分岐点です。一昔前は、買取価格が電力価格より高かったため、なるべく多く売電した方が利益が増え、投資回収期間が短くなりました。
しかし現在は、2022年時点で固定買取価格が17円に低下。つまり売電するより、効率よく自家消費した方が結果的に得する仕組みに変わったのです。損益分岐点がどう変化するのか、条件を変更して確認してみましょう。

例②:2022年に、5kWの太陽光発電システムを130万円で購入。年間の平均発電量が6,000kWh、自家消費率45%と仮定した場合

この年に売電を開始すると固定買取価格は17円です。電力価格は1kWhあたり26円とします。

130万円÷(6,000kWh×45%×26円/kWh+6,000kWh×55%×17円/kWh)=10.30年

住宅用太陽光発電における固定価格買取制度は期間が10年で終了するため、実際にはメンテナンス費用も含め、11年程度が損益分岐点となりそうです。この年数を短くするなら、昼間により多く電気を使えるように電気機器を調整し、発電の自家消費率を高めることが大切です。そうすれば、損益分岐点を10年以内に短縮することも可能だと言えます。

結局のところ、自宅で太陽光発電は儲かる?儲からない?

太陽光発電は天候に左右される部分があり、季節によっても発電量は異なってきます。事前シミュレーション通りにはいかないこともあるのですが、お住まいの場所の平均的な日射量及び発電量は、過去のデータからだいたい予想を立てることができます。そのうえで、削減できる部分をしっかり減らし、余計なコストをかけないことが求められます。
例えば、発電容量が大きいほど発電量も増えますが、初期費用がかさむので、やみくもにパネルを付ければいいわけではありません。いくら自家発電だからといって、エアコンやテレビを付けっぱなしにするなど消費電力を増やしてしまってもダメです。定期的なメンテナンスを施し、太陽光パネルの発電量を低下させないことも大切です。

パワーコンディショナーは10~15年程度が寿命の目安とされ、住宅用太陽光発電の固定価格買取期間も10年であるため、この10年間に初期費用をなるべく回収することを目指しましょう。もちろん、太陽光パネルの寿命は25~30年程度ですから、FIT制度終了後も自家消費を継続すれば、11~12年で費用を回収し、そこから先は利益となるわけです。一時的に発電量が減少して収益が悪化しても諦めず、長期スパンで発電を継続していきましょう。

まとめ

損益分岐点のハードルをいかに下げるかは、以下の6つの要素が大切です。

●太陽光パネルの価格
●補助金の有無
●自家消費量
●売電価格
●メンテナンス
●耐用年数

太陽光発電システムの価格は低下傾向にありますし、補助金も多くの地方自治体が積極的に給付しています。売電価格も年々下落しているとはいえ、それ以上に初期費用を安くする環境が整っているので、むしろプラスに考えるべきではないでしょうか。
発電容量何kWの太陽光パネルを取り付けると最適なのかは、様々な条件により異なるため、実績豊富な専門業者にシミュレーションを出してもらいながら比較検討しましょう。しっかり吟味すれば将来自分の利益になる、それが太陽光発電なのです。


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