太陽光発電の固定資産税

太陽光発電の一日の発電量はどれくらい?天気や時期による変化も併せて解説

住宅用太陽光発電を導入すると、自家発電した電気を家庭で使用することができ、余剰電力を売電することができます。より多くの電気を生み出すためには、ソーラーパネルの性能、角度、場所など様々な要素を考慮する必要があります。
発電量が多ければ多いほど、電力会社に支払う料金が減少するばかりでなく、むしろ売電収入が増えて利益が出る場合もあるわけです。かといって、やみくもに大量のソーラーパネルを設置すると初期費用がかさむので、賢い選択とは言えません。どのくらいの太陽光発電システムを導入するべきか、各々の事情にあわせて、事前にシミュレーションしておくといいでしょう。
本コラムでは、太陽光発電によって一体どのくらい電気が作られるのか、主に発電量について解説していきます。

一般的な4kW台のシステムの場合、一日の発電量は大体これくらい

住宅用太陽光発電を自宅の屋根に設置する場合、多くの人が3kWから5kWのシステム容量を選びます。一般的に、5kWあれば十分とも言われています。それにはちゃんとした理由があるので、詳しく見ていきましょう。

太陽光発電システムの発電量は、一日当たり2.7~3.8kWhだと言われています。これは、システム容量1kWあたりの発電量です。季節により数字は変動しますが、年間発電量はおよそ1,000~1,200kWhになります。この数値は、ソーラーパネルを生産している大手電機メーカーが公表している年間発電量のサンプル数値におよそ一致します。

●東芝1,204kWh
●シャープ1,082kWh
●パナソニック1,188kWh
●京セラ1,034kWh

環境省の調べによると、一般家庭の電気消費量の平均は年間4,500kWh程度です。仮に発電効率を最大限高めたうえで、1kWあたり年間1,100kWh発電すると、システム容量4kWで年間消費量の数値と同等となり、自家発電で使用電力を賄える計算となるわけです。
ただし、太陽光発電によって電気代を節約することはできても、電力会社に支払う電気代をゼロにすることは現実的には難しいものです。
蓄電池を備えていないと夜間は電力会社から購入することになりますし、悪天候で全然発電しない日もあります。あくまでも一つの目安として、4kWの容量だと年間消費量と同じくらい発電できるんだ、と認識しておきましょう。

そして、効率よく発電量を増やすためのポイントとして、屋根に取り付ける場合もっとも適しているソーラーパネルの向きは南向き、角度は30度です。向きや角度が悪いだけで発電量が減ってしまう恐れもありますので、取り付ける際にしっかり確認しましょう。

5kW台、10kW台のシステムでの年間発電量は大体これくらい

一般的に、太陽光発電システムによる年間発電量を簡単に計算する方法として、以下の式が用いられます。

年間予想発電量=年平均日射量(kWh/㎡/日)×365日×損失係数×システム容量(kW)

年平均日射量とは、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が調査・算出した、都道府県別の太陽光が当たる量を表すものです。東京都だと3.74kWh/㎡/日、愛知県は4.11kWh/㎡/日、大阪府は3.92kWh/㎡/日、と地域によって差があります。
損失係数とは、太陽光発電を行う際に発生するロスのことで、ソーラーパネルの汚れや温度上昇などの原因によって、最大出力量のうち15%程度ロスがあるとされます。つまり、損失係数は通常0.85として計算します。これらを前提として、5kWの太陽光発電システムを導入した場合、東京都の予想発電量は3.74×365×5×0.85=約5,800kW となります。

10kWの太陽光発電システムの場合、単純計算すると5kWの倍を発電する計算です。参考までに、晴れている日は1日40~45kw程度、曇っている日で15~25kwくらい発電すると言われています。住宅用太陽光発電のシステム容量は10kW未満と定められていますが、さきほど説明したように、自家消費用として設置するなら5kW程度容量があれば十分と言えるでしょう。

時期や時間帯によって発電量はどう変化する?

これまで、大まかな発電量の目安や計算方法について説明してきました。しかし、太陽光発電システムは天候によって多大な影響を受けます。特に、雨や曇りの日が続いた時、梅雨の時期には心配になる人は増えるのではないでしょうか。事前シミュレーション通りにいかない時期もやってきますので、そういった時に慌てることがないよう、予めどの程度変化するのか、把握しておくことが肝要です。
晴天時の発電量を100%とした場合、曇天時の発電量は40~60%、雨天時の発電量は5〜20%程度になります。太陽自体が雲に隠れていたとしても、ソーラーパネルは発電することが可能です。一方で、晴天の日でもパネルに日陰があると、発電量は落ちます。たとえ快晴の日でも、日陰は曇天や雨天と同じ状態を作ってしまうので注意しなければなりません。日陰を作る主な障害物として、隣家、裏山、電柱、電線、高い木、テレビアンテナなどが挙げられます。

上記のような日陰を生み出すものが無い前提で、ソーラーパネルは日の出から日没まで発電可能です。正午をピークに、日の出から日没まで左右対称の山型で発電量は推移します。早朝6時頃から発電し始め、夕方18時頃、日没とともに発電しなくなります。やはり昼12時頃に一日の最高発電量を出す傾向にあるようです。曇りの日には、直達日射量(※太陽から直接受ける日光)はゼロでも、散乱日射量(※大気に拡散する光)が増えることにより、晴れの日の半分程度発電する仕組みです。

時期によっても発電量は異なります。一般的に、3月から5月が最も多く、6月や真夏、冬は比較的少なくなります。6月と言えば梅雨の季節なので、雨の日が多く発電量が減少するのはなんとなくイメージできるでしょう。しかし、日差しの強い真夏が、春の時期より発電量が減る傾向なのはどうしてでしょうか。
実は、ソーラーパネルは寒さに強いので気温の低下による影響を心配する必要はさほどありませんが、暑さにはとても弱いのです。
真夏の猛暑日にはパネルの温度が60度や70度に達することもあります。パネルの温度が1度上がるごとに発電効率は約0.45%減少するとされ、いくら日射量が多くても気温が高すぎるのはよくありません。よって、春から初夏の過ごしやすい気温で晴れの日が多い季節に発電量は増えます。

一方、北海道・東北地方や日本海側地域は冬季降雨量が多く、大雪が降ることも少なくないでしょう。ソーラーパネルの上に積もっていると発電することはできません。しかしながら、雪下ろしをすれば発電を再開することができます。雪解けの水分によってパワーコンディショナーが故障すると修理費がかかるので、その点は注意してください。また、よほどの強風や超大型台風でもない限り、ソーラーパネルが破損したり飛ばされたりすることはありません。

まとめ

太陽光発電システムは、化石燃料ではなく太陽光という自然の力を利用して発電する特性上、どうしても自然や天候の影響を受けてしまいます。多くの人が見落としがちな日陰も、立地条件や周辺環境が変わらなければ、永続的に存在する問題となるので、細かく気を配らなければなりません。
事前シミュレーションをする時には、従来のデータよりも若干低めの想定をしたうえで、どのぐらいのシステム容量を設置すべきなのか、費用対効果は本当に合っているのか分析しましょう。そうすると、後々「失敗した」「損した」と後悔する恐れが無くなるのではないでしょうか。時期によって発電量が変わるだけでなく、同じ場所に住んでいても年によって発電量は変化することも考慮しておきましょう。

気象庁のデータによると、2011年から2021年までの東京の年間日照時間のうち、2016年は約1,841時間、2013年は約2,131時間です。2,131÷1,841=約1.15倍の差があります。毎年一定の発電量というわけにはいかず、上下するので、発電量に対し一喜一憂する必要はありません。太陽光発電を設置する場所の環境に合わせてソーラーパネルを選ぶことが、効率よく発電するために大切です。せっかく費用を投じて導入するわけですから、専門業者としっかり相談して、最適な状態で発電をスタートできるようにしてください。


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