太陽光発電のオフグリッド

最近よく聞くオフグリッドについてわかりやすく解説

地球環境への貢献や災害対策として、電力を自給自足したいという人が増えています。そこで注目されているのが、「オフグリッド」という言葉。この記事を読んでいる方も、どこかで目にしたことがあるかもしれません。
オフグリッドは、新たなライフスタイルともいうべきものなのですが、具体的にどういう意味なのでしょうか。また、オフグリッドにおける太陽光発電の活用方法、メリットやデメリットについても、詳しく解説していきます。

そもそもオフグリッドとは?

オフグリッドとは、送電系統(電力会社の電線を伝って送られる電力網)に接続されていない状態の事を指します。例えば、道路の標識や街灯はオフグリッドを利用した代表的な設備です。停電時でも動作が止まらず、交通安全を維持するため、電力会社からの電力に依存しない形態となっています。言葉自体に馴染みがない人でも、オフグリッドは皆さんの日常で活躍しているわけです。
オフグリッドは、2010年代から注目度が上昇しました。その理由は主に2つあります。
1つは2011年3月に発生した東日本大震災です。この大災害により、福島第一原子力発電所事故が起こり、電力会社への不信感が高まりました。いざという時、電力会社の電気に頼らない生活スタイルを確立したいと考える人が増えたのです。
もう1つは、カーボンニュートラルに向けたCO2削減です。CO2排出量シェア約40%を占めるエネルギー部門において、CO2排出量を削減するには、家庭で消費する化石燃料由来の電気を減らさなければいけません。オフグリッドは電力会社に依存せず、自宅で発電して自家消費することですから、カーボンニュートラルにも貢献できると言えます。そもそも電力会社から電気を購入しないので、電気代がかかりません。オフグリッドで発電した電力は、自由に消費してライフスタイルの向上に役立てることができます。

太陽光発電もオフグリッドの1つ

一昔前だと、オフグリッドの代表的なものは、水力発電やディーゼル発電機でした。電力会社の送電網が行き届いていない山奥や僻地の小屋で、電力を作り出すために用いられていました。現在では、太陽光発電が誰でも手軽に導入できるほど普及していますので、太陽光発電システムの導入がオフグリッド生活の基本となりつつあります。日光という自然エネルギーを利用して、発電設備を通じて電気を生み出し自給自足するわけですから、まさにオフグリッドです。
ただし、太陽光発電は太陽が出ている時間帯しか発電することができず、夜間や天候不順の日は発電しません。そこで蓄電池の併用が重要となります。昼間に発電した電気を蓄積しておき、夜間に使用すれば、一日通して自給自足生活が成り立ちます。

オフグリッド生活は、主に以下の3つに区別されます。

①部分的オフグリッド
②大半をオフグリッド
③完全なオフグリッド

どの程度オフグリッド化するかを問わず、メリットとしては、「電気料金を減らせる」「災害時の安心感を得られる」「地球環境に優しい」といった点が挙げられます。まず初心者は、ネット通販で部材を揃えて、スマートフォンの充電やパソコンのバッテリーなどに使用してみるといいでしょう。一部分から始めれば、万が一失敗しても停電の心配はなく、困った時は電力会社の電気を普通に使えばいいのです。オフグリッド生活に慣れてきたら、だんだんと自給自足する割合を増やしてみましょう。大幅な電気代削減が期待できるほか、一定の発電量を確保できれば夜間の電気を心配することも少ないはずです。

オフグリッドのデメリットはどんなところ?

自給自足生活といわれると非常に聞こえは良いですが、オフグリッド生活にもデメリットがあります。完全なオフグリッド生活は、電力会社と契約せず、完全に太陽光発電システムと蓄電池のみで電気を自給自足します。しかし、一般家庭でこれを実現する場合、使用する家電製品をかなり減らさなければ難しいです。屋根に設置できる太陽光発電システムの容量に限度があるほか、導入費用が高額となることが懸念されます。
日常生活の大半をオフグリッド化するにしても、太陽光発電システムの設置は一般素人がDIY感覚で出来るものではありません。専門業者の工事が必要なうえ、定期的なメンテナンスも求められます。
初心者でも実施しやすい部分的オフグリッドは、確かに部材を購入しやすいのですが、ある程度電気の知識が無いと簡単とは言い難いです。せっかく部材を購入しても、発電がうまくいかなかったり、何かのミスによりすぐ故障してしまうかもしれません。
また、忘れてはいけない事として、現在販売されている太陽光発電システムや蓄電池は、電力会社の系統と連携する前提で販売されています。完全オフグリッドで電力会社と契約しない場合、メーカー保証が出ないケースもあります。故障した際は全額実費で修理しなければならず、費用面でも余裕がないと継続するのは大変と感じるかもしれません。

まとめ

台風や地震、豪雨などによる停電から生活を防衛する目的で、非常用電源のニーズが高まっているのは間違いありません。大規模な災害を起きたときでも、少し電気を使えるだけで安堵感は全然違います。上述の通り、完全オフグリッド生活は現段階では非常に難易度が高く、誰にでも推奨できるものではないです。一方、太陽光パネル数枚を発電させ、照明やテレビ、パソコンなどに使用できる部分的オフグリッドは、DIYさえ出来れば導入はしやすいでしょう。
オフグリッド生活は、特に慣れないうちは不自由感を味わう機会も多いです。自分はどの程度節電可能なのか、電気をなるべく使わない生活にどこまで耐えられるのか。許容範囲を探りながら、徐々にオフグリッドの範囲を広げていくと、無理なく電気の自給自足生活が楽しめるのではないでしょうか。


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