コラム

ハイブリッド車とPHEV、今買うならどっち?メリット、デメリットを中心に調査してみた

PHEVやPHV

今まで自動車というと、ガソリン車かディーゼル車かといった違いがあるくらいでした。しかし、電動自動車の開発が進んだことで、世界全体でEVへのシフトが進んでいます。その流れの中で、ガソリン車であっても電気も使用した自動車が多く普及している状況です。
そこで、この記事では特に日本国内で普及が進んでいるPHEVとPHVについて解説していきます。そもそもPHEVやPHVとは何なのか、ハイブリッド車とは違うものなのかという点や、そのメリットについて解説します。

PHVとPHEVとは?

PHVは「プラグインハイブリッド車」、PHEVは「プラグインハイブリッド電動車」という意味です。このPHVとPHEVは同じものとして考えることができ、どちらも電源に接続して給電することができるハイブリッド車のことを指します。つまり、ガソリンエンジンと共にモーターを搭載した駆動系を持っていること、外部からの充電ができる自動車について、「PHV」「PHEV」と呼んでいるのです。
基本的にどちらも同じ自動車の種類を指すのですが、メーカーによっては多少の違いを意識しているケースもあります。PHVと言った場合は、ガソリンエンジンがメインとなっている車で、PHEVの場合はモーター駆動に力を入れた車であるという解釈です。

とはいえ、業界全体で見るとこの意識は少数派で、いずれかの呼称に統一していることがほとんどです。ちなみに、トヨタは2021年から完全に「PHEV」に統一しています。他のタイプの自動車も同様で、以前は燃料電池車のことを「FCV」と表記していましたが、今では「FCEV」としていますし、ハイブリッド車も「HV」から「HEV」に変更しています。そして、電動自動車のことは「EV」から、バッテリー電動車という意味で「BEV」としています。こうして、より電動の車というイメージを強調すると共に、モーターを使っていても呼び方の差で、駆動タイプや電源形式の違いがよりはっきりするようにしているのです。

PHEVとハイブリッド車の違いとは?

ガソリンエンジンと電動モーターのどちらも使用するという意味では、ハイブリッド車とPHEVは同じ種類の車のように思えます。もちろん、駆動ユニットの区分で言えば、同じものと言えます。しかし、電源をどこから供給できるかという点で、両者には明確な違いがあります。
ハイブリッド車の場合は、回生ブレーキから生じるエネルギーやオルタネーターによって生まれる電気を使ってバッテリーに充電しており、いわば完全なる自家発電でのみ電力を作っています。そのため、ハイブリッド車はエンジンを回していないと、もしくは走行していないと充電はできません。
しかし、PHEVの場合は、自家発電をすると共に、コンセントにつないで充電できるという大きな違いがあります。家庭用の給電ユニットからでも、外部の充電ステーションからでも充電できるようになっていて、車を走らせなくても良いわけです。

これにより、PHEVはハイブリッド車に比べると、モーターを使用して走れる距離が長くなります。時期によって燃料価格は異なるものの、たいていの場合、同じ距離を走行するに当たってかかるコストは、ガソリンよりも電気のほうが安くつきます。そのため、PHEVはより経済的ですし、ガソリンの燃焼が少ない分、二酸化炭素の排出量も抑制できて、環境性能も高くなるというわけです。
こうした違いは、バッテリー容量にも差を生み出します。モーターによる駆動が多くなる分、PHEVはハイブリッドよりも容量の大きなバッテリーを積んでいることが多いです。モデルによって差はありますが、一般的なハイブリッド車に比べると、PHEVは4倍から7倍程度の容量となっている傾向が見られます。その分、モーターの能力自体も高めている車種が多くなっています。
イメージとしては、ハイブリッド車はエンジンがメインで、モーターが補助として、発進や低速を担当するのに対して、PHEVはモーターがどの速度域にも対応していて、電力が足りない時にエンジンで補助する形となります。どちらが主力として用いられているかという点にも違いが出ているわけです。

PHEVのメリットについて

このように、ハイブリッド車をさらに電動化したものがPHEVとなります。PHEVにはメリットがいくつもありますが、その一つは経済性が高いという点です。多くのPHEVは、時速40kmから60kmであれば、モーターだけでも駆動できるスペックとなっています。ガソリンを使わずにかなりの距離を走れますので、その分、ガソリンに比べると価格の安い電気の割合を高められるわけです。
そして、バッテリー駆動の割合を高めているとはいえ、ガソリンエンジンも積んでいますので、内燃機関ならではのメリットも生かせます。高速走行の際にはガソリン車ならではの安定性やパワーを引き出すことができます。また、充電ステーションが近くになくて充電できないとしても、ガソリンスタンドを見つけるのは簡単ですので、どのような場所でも安心して走行を続けられるのもメリットと言えるでしょう。

PHEVはバッテリー容量が大きいため、災害などで停電が生じた時に、非常用電源として利用できるというのも大きなメリットです。PHEVを充電するためのスタンドは、モデルによっては自動車に充電できるだけでなく、車のバッテリーから逆に住居側に給電できる機能を備えているものもあります。いざという時にも電気を使うことができますので、安心できる備えとなるでしょう。

こうしたバッテリーからの給電はEV、つまりモーターのみの電気自動車でもできます。しかし、PHEVの良いところは、ガソリンエンジンを付けることで発電が可能になるという点です。EVの場合は自身では発電できませんが、PHEVは一種のガソリン発電機としても機能することになり、災害時にはより活躍してくれるわけです。
また、モデルによっては充電スタンド経由でなくても、直接家電製品につなげるものがあります。これはアウトドアなどで、電源代わりにPHEVを使えることを意味し、幅広いシーンで役立つ車となってくれるでしょう。

もう一つのうれしいメリットは、PHEVの購入の際に補助金制度を利用できることです。国はクリーンエネルギーを使った自動車の購入に際して、補助金を出すという形で支援を行っています。新車登録をする場合に限られますが、PHEVでは最大45万円の補助金を受けられます。これはあくまでも国が行っている事業によるもので、お住まいの自治体でも補助金制度を行っていれば、上乗せされます。自宅に設置する充電スタンドについても、購入費用と工事費用の補助がありますのでかなりお得です。補助金制度を上手に使うことで、ハイブリッド車と同じくらいの価格で購入できる可能性もあります。

PHEVは、自宅や充電ステーションなどでバッテリーに充電できる自動車です。エンジンとモーターの両方で走り、経済性が高いことや停電時の電源としても利用できるなどのメリットがあります。補助金制度を利用すればコスト負担も減りますので、新車購入を計画しているのであれば、選択肢の一つとして含めることもできるでしょう。