コラム

太陽光発電パネルは断熱効果があるって本当?調査してみた

日本は四季に恵まれた国ですが、夏の猛暑や冬の極寒をしのぐために、エアコンを使用している方が多いですよね。昨今のエネルギー価格高騰によって、電気代も値上がりしました。「光熱費を削減したいけど、エアコンを付けっぱなしじゃないと耐えられない」と悩んでいるのではないでしょうか。
実は、電化製品に頼らず自宅でなるべく快適に過ごす方法の一つとして、太陽光発電が挙げられます。自家発電で電気代を節約する、という意味合いではなく、太陽光発電を屋根に設置すること自体が暑さや寒さを軽減する効果があると言われているんです。屋根に太陽光発電システムを設置するなら、ぜひ参考にしたいポイントを説明しますので、最後まで一読ください。

太陽光発電パネルを屋根に設置すると冬が快適に?

「太陽光パネルを屋根に取り付けるだけで、寒い時期も快適に生活できる」といきなり聞かされても、にわかに信じがたいですよね。どういう事かというと、太陽光パネルを屋根に設置すると、屋根からの放射冷却を抑える効果が期待できるのです。“放射冷却”とは、物質が外へ熱を放出して冷える現象を表す言葉です。
使い終わった鍋やオーブントースターは、しばらく経つと自然と温度が下がっています。これらもすべて放射冷却の一種です。普段は意識せずとも、身の回りでは常に放射冷却が起きているわけです。

太陽が出ている時間帯は太陽光による熱を受け取っていますが、日が暮れると地面の熱が放出されます。地面が冷えると、空気も冷やされるため、気温が下がり寒く感じやすくなります。冬の時期は元々気温が低く、放射冷却の影響が強く出やすいのです。
海外企業が、太陽光パネルを設置した屋根と未設置の屋根において、野地板裏面温度を比較する検証を実施しました。その結果、パネルがある屋根の方が、野地板裏面温度が約5℃も高くなることが判明したそうです。あくまで、野地板の温度を計測した結果で、部屋の温度が5℃上昇したわけではありません。室内の体感温度だと誤差の範囲かもしれないものの、放射冷却を抑えられることは間違いないです。

屋根一体型の太陽光発電の耐用年数はどれくらい?

屋根一体型とは、屋根材と太陽光パネルが一体化しているものです。最初から太陽光パネルが組み込まれているので、新築工事の時に屋根一体型を取り付ければ、すぐに発電を開始することができます。
また、屋根に太陽光パネルを設置する場合、屋根に穴を開けて、パネルを固定します。穴が開くと雨漏りの心配が出てきますが、一体型ならそういった不安もいりません。屋根一体型は屋根置き型よりも、太陽光パネルが目立ちにくいという特徴もあります。通常の屋根に近い、すっきりとした状態にしたいなら、断然おすすめです。

そんな屋根一体型の太陽光発電ですが、耐用年数はどうなるのでしょうか。一般的に、現在市場に出回っている太陽光パネルの耐用年数は20~30年程度と言われています。製品によっては30年以上使用可能なものもあり、高品質化に伴い長寿命化が進んでいます。
実際のところ、屋根一体型でも、通常の太陽光パネル同様、20~30年程度使い続けることができるようです。ただし、雨風など環境要因や、枯れ葉や飛び石など外的要因によって、パネルの表面が劣化する恐れがあります。

なるべく長期間使用するには、適切なメンテナンスが欠かせません。パネルの発電効率が低下すると、発電量が低下して、結果的に交換時期を早めることになるでしょう。
既に住宅を所有する方の場合、屋根材をすべて撤去して屋根一体型の太陽光パネルに交換しなければならず、費用と手間が非常にかかります。屋根一体型は、新築で設置する際の選択肢となるため、これから住宅の購入を検討するなら、ぜひ覚えておきましょう。

太陽光発電のパネルを屋根に取り付けるデメリットやトラブルについても解説

太陽光パネルを自宅の屋根に取り付ける、特に屋根一体型の太陽光発電を設置すると、どのようなデメリットがあるのか、紹介していきます。

①設置費用が高い
②故障のリスクが高まる
③熱を放出できるスペースがない
④固定資産税がかかる

屋根一体型太陽光パネルは、架台を置いて設置する屋根置き型と比較して、導入費用が高額になる傾向です。住宅用として平均的な容量5kWで、相場が150~200万円程度となります。退色劣化がないため、屋根塗装などのメンテナンスが不要というメリットもあるのですが、初期費用は通常より多くかかります。
さらに、屋根一体型だと取り外しができないため、故障のリスクが高くなります。配線が複雑なので、電気経路でトラブルが起きる可能性が上がるのです。
定期的にメンテナンスを行う必要があり、費用や負担も増すでしょう。ただし、屋根置き型よりも軽量なため、耐震性という面では屋根一体型が優れています。

屋根と太陽光パネルが一体になっていると、熱を放出できず、パネルの内部に熱がこもってしまう恐れがあります。一般的に、高温になると発電効率が低下して、発電量がスペックどおりにならないかもしれません。
意外な盲点なのが、屋根一体型にすると、太陽光パネルも家屋の一部とみなされ、固定資産税の対象に含まれることです。税金額はさほど多大ではないものの、後々になって焦らぬよう、こちらも頭に入れておいてください。

まとめ

太陽光発電システムを屋根に設置する場合、屋根一体型と屋根置き型という2つの方法があります。それぞれにメリット・デメリットが存在するため、双方を比較して、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。
しかしながら、上述の通り、屋根一体型は実質的に新築の時しか導入できません。住宅の外観を重視したり、太陽光パネルを屋根に敷き詰める、あるいは塗り替えのメンテナンスを避けたい場合は、検討に値するはずです。もちろん、すでに住宅をお持ちでこれから太陽光発電を導入する場合でも、断熱効果が期待できるなどメリットがあります。今後さらに電気代の上昇懸念もあるので、今のタイミングで設置してみてはいかがでしょうか。