太陽光発電とガルバリウム屋根

太陽光パネルを屋根につけると痛む?劣化させないポイント

自家発電に使用するため住宅用太陽光発電を設置する場合、多くの人は住居の屋根に取り付けます。そうすると、屋根に負荷がかかるのではないかと心配する人もいるでしょう。また、屋根に穴を開けて設置すると聞いて、雨漏りを懸念するかもしれません。
太陽光パネルは、出力1kWあたり重さがだいたい100kg。通常、住宅用太陽光発電だと4~5kWが目安となるため、屋根に400~500kgのパネルを乗せることになります。せっかく設置しても、肝心の住居そのものが傷んで、大規模な工事が必要になるとしたら台無しです。では、屋根を劣化させないために、どのような対応を取ればいいのでしょうか。

カギになるのは屋根塗装のメンテナンス

屋根の寿命を長くするためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。特に、多くの住居で使用されるスレート屋根は、吸水性が高いのでメンテナンスが欠かせません。メンテナンスを怠ると、屋根の傷みが広がって雨漏りの原因となります。通常、塗装メンテナンスは10~15年を目安に行うと良いとされています。
塗装に関しては2つの方法があります。太陽光パネルを取り付けたままなのか、一度取り外すのか。それぞれの違いを見ていきましょう。

太陽光パネルを取り付けたまま屋根全体を塗装

屋根に太陽光発電パネルを後乗せで設置する場合、一般的には架台に乗せるケースが多いです。取り外さず塗装する時は、太陽光パネルを避けて作業を進めていくのですが、これが意外と容易ではありません。太陽光パネルに精通していない業者に依頼してしまうと、工程が想定外に延びたり、パネルを誤って損傷してしまう恐れがあります。ただし、屋根全体に塗装するよりは塗装費用が安くなる傾向です。だいたい30万円から60万円程度が相場となります。

太陽光パネルを脱着して屋根全体を塗装

こちらは、屋根に取り付けた太陽光パネルを一度全て外してから、屋根全体に塗装を施していきます。太陽光パネルの着脱作業があるので、塗装業者とは別に太陽光パネルの専門業者に依頼するか、塗装の実績もありつつ太陽光パネルにも詳しい業者を探さなければなりません。
取り付けたまま作業するより塗装範囲が広いため、塗装費用が上がることに加え、太陽光パネル業者に支払う料金も上乗せされます。塗装メンテナンスの総額は高くなる傾向にあるのは事実です。40万円から90万円程度が相場ですが、屋根の寿命を長くするという目的では、こちらの方が効果が高いと言えそうです。

最悪の場合は雨漏りも?ガルバリウム屋根ならまず安心!

まず、どうして太陽光パネルを設置すると雨漏りが起こると言われるのか、その原因から説明します。
屋根に設置する場合、穴を開けて固定させる方法があります。その際、防水シートを貼るなど、雨漏りを防ぐ作業を行うのですが、施工業者によっては作業にムラがあったり、必要以上に穴を開けるなどして、強度を損なってしまうケースがあるようです。複雑な形をした屋根や経年劣化が激しい屋根など、本来住宅用太陽光発電を設置するのに向かない住居に無理やり取り付けた場合も、雨漏りが起こりやすいです。現代の技術を持ってすれば、適切な防水処理が施されているかぎり、雨漏りは発生しにくいので、心配しすぎる必要はありません。とはいえ、できれば屋根に穴を開けず、雨漏りのリスクを減らした状態で設置したいですよね。
そんな方におすすめなのが、ガルバリウム鋼板という素材。これはガルバリウムという合金でメッキされた鉄のことです。重さ(1坪あたり)約40kgと、瓦やスレート屋根に比べて非常に軽く、屋根に穴を開けず設置できる屋根材として定評があります。
ガルバリウム鋼板の耐用年数は、およそ25年~35年。メンテナンス次第では、40年以上とも言われます。厚みが0.35mm~0.5mmと非常に薄いのも特徴です。薄い素材だと、断熱性と遮音性が気になる人もいるかもしれませんが、昨今は断熱材一体型の製品が主流となりつつあります。
鋼板の裏側に断熱材を貼り付けているので、断熱性能はもちろん、遮音性に関しても改善されているのです。

太陽光パネルを取り付けるという観点では、最も適した素材といっても過言ではありませんが、注意点も存在します。塩害が起こる沿岸部、工業地域で発生しやすい炭酸ガス、森林が近く屋根に水分を含む小枝や枯れ葉がつきやすい環境だと、錆が発生する恐れがあります。長く使い続けるには錆のメンテナンスを定期的に行うべきでしょう。放置すると錆るのが速くなり、劣化に繋がります。

太陽光パネルを屋根に取り付ける場合の強度についても解説

太陽光パネルを屋根に設置した時、もう一つ不安になるのが、台風が直撃した場合でも大丈夫なのか、という点ではないでしょうか。日本国内には、毎年のように大型の台風が上陸します。沖縄県や九州地方で被害が大きいのはよく知られていますが、首都圏にも例年1~2度は直撃して騒ぎになるものです。強風にあおられて、太陽光パネルが吹っ飛んでしまうのではと心配になるかもしれません。

しかしながら、太陽光パネルの耐風圧は2,400Paに耐えうるよう設計すべきとJIS基準で定められています。この数値は、風速毎秒62mに相当するもの。住宅そのものに被害が及ぶレベルの危険な強風にさらされてもパネルは大丈夫なのです。一方、太陽光パネルの取り付け工事における強度は、沖縄県と鹿児島県の南部で風速毎秒40m超、その他地域では30m超となっています。50年に一度の確率で発生する風速、という目安で定めた基準ですので、通常吹っ飛ばされる恐れはほとんど無いと言えるでしょう。
取り付け工事の耐久性に関しては、各メーカーごとに厳格な基準を設けており、たとえばシャープは風速毎秒60mにも耐えうる強度を施工業者に要求しています。太陽光発電システムの設置工事は、メーカーから細かく指定された施工ルールがありますので、それをしっかり守れる業者に依頼するようにしましょう。

まとめ

太陽光発電が普及し始めた初期から住宅用太陽光発電を導入された方だと、当時まだ素材や技術が発展途上だったため、屋根に穴を開けたせいで雨漏りの被害に遭ったという人も実際に存在します。しかし現在は、屋根に穴を開けずに設置可能なガルバリウム鋼板という素材が一般的となり、施工業者も工事実績を増やしています。適切な工事を行えば、雨漏りが起こることはまず有り得ないでしょう。

太陽光発電システムのメンテナンスが重要なのと同様に、屋根の寿命を延ばすためにもメンテナンスが肝要です。塗装や錆防止など、屋根の素材にあわせたメンテナンスを適宜施すことで、太陽光発電を安心して長期間使い続けることができます。もし屋根について何か不安がある人は、専門業者に相談してみるといいでしょう。


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