コラム

南国の地、沖縄は太陽光発電にうってつけ?実情を解説

沖縄の太陽光発電量

沖縄県は、日本最南端に位置する都道府県であり、一年中気温が高い南国の地として知られていますよね。本州から観光目的やバカンスで訪れるイメージが強い場所ですが、意外にも太陽光発電に向いている地域なのです。沖縄と聞くと、毎年多数の台風が通過して悪天候が続き、発電量があまり見込めないと想像する方もいるかもしれません。東京など本州各地とは異なる気候だからこそ注意すべき点もあるのですが、きちんと対策を講じておけば、相対的に十分な発電量が期待できます。
では、沖縄県における太陽光発電の実情はどうなっているのでしょうか。詳しく説明していきましょう。

沖縄で太陽光発電を導入するときの相場はどれくらい?

経済産業省の資料によると、2022年度における太陽光発電の価格相場は、1kWあたり約27.5万円です。2021年の同データは1kWあたり28.8万円でしたから、1万円超安くなったといえます。
この全国平均と比較して沖縄県はどうかというと、一例として、SHARPの住宅用太陽光発電システムを設置した場合、約6kWの容量を導入する費用はおよそ158万円となっています。計算すると、1kWあたりの費用は約26万円です。あくまで1つの事例ですから、設置場所により変動はあるものの、他県と比べて相場が高いということはなさそうです。
また、太陽光発電システム導入にあわせて、オール電化住宅にリフォームする工事も行うと、240万円~280万円が相場とされています。住宅用太陽光発電で一般的な4kW前後の太陽光発電に加えて、エコキュートやIHクッキングヒーターなどに変更する工事費用も含まれた金額です。やはり、沖縄県だからといって特段費用が高くなるわけではないので、安心してください。

後ほど改めて説明しますが、沖縄県で太陽光発電を導入する際は、耐久性や塩害耐性を兼ね備えたパネルメーカーを選ぶことが推奨されます。海から近い島である以上、塩害の被害は免れません。大手パネルメーカーで塩害に強いといわれているのは、海外メーカーですとカナディアンソーラー、国内なら京セラです。いずれも、塩害耐性の認証を取得しており、耐久性も信頼できるでしょう。

沖縄で太陽光発電を行うメリット、デメリット

独特な気候を持つ沖縄県で太陽光発電を行う場合、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。いくつかのポイントを、項目ごとに解説していきます。

●冬場は発電量が減る
いきなり驚かれたかもしれません。沖縄県は冬場でも最低気温が10℃を下回るのが珍しい地域です。気温が高いんだから、日当たりも良く発電量は多いんじゃないの?と思ってしまいますよね。しかし実際は、冬から春にかけての平均日射量が全国平均に満たないのです。そのため冬場の発電量はあまり期待できません。

●夏場は発電量が多く、年間では全国上位クラス
冬の時期とは対照的に、沖縄県は夏場に他の地域よりも発電量が増える傾向にあります。海からの風が当たりやすく最高気温が低い、あるいは内陸部といえる場所がほとんど無いといった理由から、夏場の発電量は全国平均を大きく上回ります。猛暑日になると太陽光パネルの温度上昇による発電効率の低下が起きやすいですが、沖縄県は真夏でも猛暑日になることが滅多にありません。6~7月に発電量を伸ばすことで、年間発電量の全国ランキングは大体15位前後に位置しているのです。

●塩害対策は必須
沖縄県は海に囲まれた環境のため、塩害の影響を非常に受けやすいです。塩害とは、海に含まれる塩分などが原因で、建物や作物が劣化・腐食する現象をいいます。太平洋沿岸部と比較して10倍の被害を受けるとの調査結果も出ており、金属部分が錆びたり樹脂部材が劣化する恐れがあります。先程も触れた通り、カナディアンソーラーや京セラ、ネクストエナジーなど、塩害耐性に定評のあるメーカーの製品を選ぶと良いでしょう。

●台風による停電時に役立つ
沖縄県は、台風が大型で強い勢力のまま直撃することが度々あるため、どの住宅も台風対策をしっかり講じています。太陽光発電を導入することで、いざという時に電力として使用できるのはもちろん、屋根が頑丈になり、雨から屋根を守る役割も果たします。強風で太陽光パネルが吹き飛ばされるという事態は、沖縄県でもほとんど発生しません。

2022年の沖縄の補助金事情について解説

沖縄県から太陽光発電や家庭用蓄電池、V2H導入における補助金制度はありません。しかしながら、いくつかの市町村が独自に補助金を交付していますので、2022年時点の情報を紹介します。

●沖縄市:令和4年度沖縄市住宅用太陽光・省エネ設備設置補助金
一律5万円

●名護市:令和4年度住宅用太陽光発電システム設置補助金
1kWあたり1万円(※少数点以下1桁未満は切り捨て)

●国頭郡東村:東村住宅用太陽光発電システム設置補助金
1kWあたり1万円(上限10万円)

●島尻郡与那原町:与那原町住宅用太陽光発電システム設置補助金
一律3万円

●中頭郡読谷村:読谷村住宅用太陽光発電システム設置補助金
3万円

補助対象者は、下記の条件を満たす方のみとなります。詳しい内容は自治体ごとに異なりますので、ホームページなどをご確認ください。
①該当の市町村に住宅を所有すること
②税金を滞納していないこと
③リース契約によるシステムではないこと

まとめ

沖縄県で太陽光発電を始める際は、特に冬場は発電量が増えにくい傾向にありますが、年間トータルで見るとある程度の発電量が見込めることを頭に入れておきましょう。気候のイメージからは想像しにくいかもしれません。しかし、平均日射量の推移が将来変化することはまず考えられないので、冬場に減少した分は夏場に挽回してくれるものだと認識しておいてください。
沖縄県全体を見てみると、補助金制度を取り入れているのは一部の自治体のみです。県全体として、太陽光発電の取り組みはまだまだ足りないと言わざるを得ません。面積が小さく、広大なメガソーラーを設置するスペースは限られているにしても、住宅用太陽光発電の普及余地は十分にあるはずです。太陽光パネルをしっかり厳選し、現地の気候を把握している業者に施工を依頼すれば、塩害や台風の被害を最小限に抑えつつ太陽光発電を行うことができます。今後、沖縄在住者の間で太陽光発電が普及する日もそう遠くはないと期待しています。