新築を購入予定で、オール電化にするかガスを併用するか悩んでいる方は結構多いと聞きます。また、現在ガスを使用しており、太陽光発電システムを新たに導入する際、ガスをそのまま使い続けていいのか不安になる方もいるでしょう。昨今、太陽光発電とあわせてオール電化にする家庭が増えており、電気代の削減につながることから評判も良いです。しかしながら、様々な理由から、今まで通りガスを併用したい方も少なくないですよね。
太陽光発電が普及して、一般住宅に設置するのも当たり前になりましたが、ガスと併用するメリットやデメリットはどんな部分なのでしょうか。
新築に限らず、既築住宅に太陽光発電を導入予定の方も、ぜひ参考にしてください。
オール電化とガス併用でシミュレーションしてみた
オール電化という生活スタイルが広まり、「太陽光発電を導入するならオール電化にしたほうがよい」となんとなく思っていませんか。そもそも、オール電化とガス併用、どちらが光熱費を抑えることができるのか、気になりますよね。いくつかのデータを活用して、両者を比較してみましょう。
関西電力が提供しているオール電化プラン「はぴeみる電」における、世帯人数別の月間電気代の平均値(2020年~2021年)は、以下のとおりです。
●1人暮らし:10,777円
●2人暮らし:13,406円
●3人暮らし:14,835円
●4人暮らし以上:16,533円
一方、同時期にガスを併用した場合の光熱費(電気料金+ガス料金)平均値は下記のようになります。
●1人暮らし:8,483円
●2人暮らし:13,513円
●3人暮らし:15,585円
●4人暮らし以上:16,739円
2024年現在は、エネルギー価格の高騰により電気もガスも値上がりしているため、平均値は上記の数値より高くなるはずです。それでも、「オール電化の方が光熱費が安くなる」と断言できるほど、双方に差はほとんどありません。各家庭のエネルギーの使い方によって、オール電化とガス併用、どちらがオトクかは変わってきます。
ガスと太陽光発電を併用するメリットとデメリット
次に、ガスをお使いの家庭で、太陽光発電システムを設置する場合のメリットについて紹介します。
①状況によってはガス併用の方が光熱費が削減できる
②停電時でも調理や給湯ができる
③初期費用が安く、設備の選択肢も広がる
ガスは一般的に、プロパンガスと都市ガスを選択でき、都市ガスの方が利用料金が安いです。北海道や東北地方など、真冬に積雪して寒さが厳しい地域ですと、ガス併用の方が冬場の暖房費用が抑えられることもあります。太陽光パネルに雪が積もると発電量が落ちるため、恩恵をあまり受けられないのです。
また、自然災害によって停電する時、機器の故障が起きた場合などは、電気を使用できなくなります。そういった状況でも、ガスがあれば調理や湯沸かしが可能です。エネルギーを電気とガスで分けておくと、災害時のリスクを分散でき、いざという時に安心できるでしょう。
ガス併用なら、エネファームやIHクッキングヒーターなどの設備を導入する必要もありません。「料理が好きでガスコンロを利用したい」「シャワーの水圧は強くないと嫌だ」など、日々の生活にこだわりを持つ方だと、ガスがないと不便に感じると思います。
続いて、併用するデメリットについても紹介します。
①火事やガス漏れの危険がある
②太陽光発電のメリットを活かしづらい
③電気・ガスそれぞれに基本料金がかかる
ガスを使用する以上、コンロや給湯器で火を使うため換気が必須となり、火災のリスクはどうしても高くなります。太陽光発電と蓄電池を設置して、オール電化に切り替えると、日常生活で消費する電気のほとんどを自家発電で賄うことができ、電気料金が大幅に削減されます。ガスを併用するままだと、月々のガス料金がかかるうえ、せっかく発電した電気を活かしきれません。オール電化に慣れると、そちらの方が管理がしやすいという意見も多いようです。
太陽光発電とガスの併用は新築でも可能?
新築住宅の購入を検討する際、太陽光発電システムとガスを併用するか、オール電化を選択するかは悩みどころですよね。ガス併用の場合、プロパンガスと都市ガスという選択肢があり、プロパンガスは料金がおよそ2倍高いです。よって都市ガスを選ぶケースが多いですが、新築住宅で都市ガスを利用するためには、ガス管の工事が必要です。
ガス本管がある道路からガスを引き込む敷地までの距離に応じて工事費用が高くなります。自宅の目の前にガス管が通っていれば良いですが、引き込む距離が長くなると、想像以上に工事費用がかかるため、注意しなければなりません。実際に2024年以降に引き渡された住宅で生活して、太陽光発電とガスを併用するご家庭も少なくないです。
将来の高額な交換費用や、シャワーの水圧が弱いことを危惧してエコキュートを選ばず従来のガス給湯器を取り付けたり、将来的に電気料金が高騰することを見越して、災害対策含め保険的な意味合いで設置したというレビューもあります。すでに太陽光発電を設置した方々が口を揃えていうのは、太陽光発電システムをいかに安く購入できるかが重要だという点です。いくら光熱費を削減できても、初期費用が高いとコストを回収するのが難しくなります。後付けするより、新築工事と同時に設置するほうが工事費用が安くなることも覚えておいてください。
まとめ
「オール電化とガス併用どちらが正解なのか?」という問いに、明確な答えを出すことは非常に困難です。同様に、太陽光発電を取り付けるほうが必ず生活コストが安くなるとも言い切れません。
ガスを使用することにもメリットがあり、ガスを併用したいと考えるのも、決して間違いではないです。結局は、自分がどのような生活を送りたいか、ライフスタイルに合わせて最適な選択を判断することになります。光熱費を削減させ支出を減らすことももちろん大切ですが、最も快適に過ごせる環境を作ることを優先すると後悔が少ないかもしれません。