コラム

太陽光発電を行うのに東向きは不利?向きについて解説

太陽光発電の向き

住宅用太陽光発電を自宅の屋根に設置しようと検討する際、屋根の方角はとても大切です。向きによって発電量が変わってきますし、立地や敷地面積などの理由から太陽光パネルを設置できないことも少なからずあります。
とはいえ、既に住居を所有する方は、太陽光発電のために屋根を工事し直して取り替えるなんて普通しませんよね。そこで、屋根の向きによってどのような影響を受けるのか、どんな点に気を付けたらいいのかを、この記事で細かく解説していきます。

東向きに設置すると発電量はどうなる?

東向きや西向きに太陽光パネルを設置すると、発電量は約15%ダウンすると言われています。一般的に、年間発電量が最大化するのは、南向きかつ傾斜角度30度です。太陽光発電は日射量が発電量に大きく関係しますが、太陽が高く昇る正午前後に発電量が特に増える南向きに比べると、東向きは少々劣ります。
そう聞くと、東向き屋根に設置するのは損だとガッカリするかもしれませんが、実は東向きは西向きより発電効率が良いとの考え方もあるのです。太陽光パネルは温度が上がると発電効率が下がる傾向にあります。特に気温が25度を超えると、最大10%近くも落ちるパネルも存在します。
東向きの場合だと朝方からお昼前までの間は、西向きの場合より発電量が増えやすいです。お昼過ぎから夕方まではその逆になるのですが、一日のうち最高気温を記録するのは14時頃が多いです。つまり、西向きだと気温が上がる時間帯と発電しやすい時間帯が重なるため、東向き屋根より効率が落ちる可能性が高くなります。
では、東向き屋根と南向き屋根を比較して、売電収入がどれぐらい減少するかというと、自家消費量によって異なるので一概には言えません。一つの参考データですと、1kWあたり年間で2,000~2,500円損すると言われています。これは、2023年度の売電価格16円を基準に算出したものです。通常、住宅用太陽光発電は4kWから5kWが主流ですから、大体1万円程度売電収入が減るかもしれません。逆に考えると、南向きでなくとも一定の売電収入は十分得られるので、太陽光発電の設置を諦める必要はまったくないのではないでしょうか。

向きは南向きが一番効率良い?

先程、年間発電量が最も多くなるのは、南向きかつ傾斜角度30度の屋根だとお伝えしました。この点に関して異論を呈する専門家はほとんどいませんが、南向きが一番効率良いと断言するには不十分かもしれません。南向きの屋根が良いという話は、日本全国の平均を取った結果です。日本各地の発電データを総じて見ると、南向きかつ傾斜角度30度が一番発電量が多いという結果でした。よって、最適な傾斜角度は場所によって変わってきます。
たとえば、北海道や東北地方などは傾斜を若干大きくした方がいいと言われ、反対に九州・沖縄地方だと若干小さくした方がいいとされています。東京など本州の大都市圏だと30度がベストでも、それが日本全国すべての場所に当てはまるわけではないのです。これに関しては、地域に根付いた専門業者に相談してみると、アドバイスを貰えるのではないでしょうか。
また今後の見通しとして、売電単価が年々低下することが想定されます。電力会社に電気を売るより、自家消費した方がトータルで生活コストが下がりやすくなります。発電量の多さは当然重要ですが、それと同時に、個々の生活スタイルにあわせ、消費量が増える時間帯に発電が多いことが大切なわけです。朝方に電気をたくさん消費するなら東向き、午後や夕方に自宅にいる日が多いなら西向きが魅力的、といえそうです。
二つに分かれた屋根部分が東と西を向いている「切妻屋根」をお持ちの方は、東向きと西向き両面に太陽光パネルを設置するのもいいでしょう。北向きに関しては、下記の記事も参考にしてみてください。

太陽光発電に北向きの片流れ屋根は不利?

まとめ

データ上は南向きが一番効率良いと言われていても、東向きや西向きの屋根に太陽光発電を取り付けるのは十分価値があるとお分かり頂けたはずです。FIT制度による売電収入が増えにくい状況だからこそ、発電した電気をいかにムダにせず消費・活用するかに重きを置く流れに変わっていくと思われます。住宅用太陽光発電を導入する方の大半は、電気代の節約や生活コストの削減を目的にしているでしょう。どの方角に設置して、どんな生活スタイルにするのが最適なのかをじっくり考えていくべきです。
これから新築を建てて太陽光発電を同時に導入する方は、屋根の形状や方角をある程度自由に決められますから、向きや角度の影響について事前に調べておくようにしましょう。前述の通り、地域によって最適な角度は違ってきますから、実績のある施工業者に相談して、工事終了後に後悔することが無いよう、慎重に判断してください。