ノンファーム型の太陽光発電

ノンファーム型接続ってなに?改めて解説

2050年のカーボンニュートラルという大きな目標に向けて、日本国内でも再生可能エネルギーの一つである太陽光発電の導入量が年々増加しています。CO2排出量を削減するには、従来の化石燃料からの脱却が不可欠なため、今後も太陽光発電の設置件数はますます増えていくに違いありません。
ところが、普及率が高まっていくにつれて、新たな問題が生じています。再生可能エネルギー発電設備を新規で運営するためには、電力会社の送電網に連系する必要があるのですが、系統側の空き容量が不足しているのです。発電事業者から、接続するための費用が高い、接続までが遅い、地域によってはそもそも連系できないといった不満の声が上がっていました。太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーのシェアを向上させる過程において、この問題は大きな障壁となります。
そこで近年、「ノンファーム型接続」といわれる新たな仕組みが導入され始めています。今後の太陽光発電動向を把握するために知っておくべきノンファーム型接続についてこの記事で解説しますので、ぜひ覚えるようにしてください。

ノンファーム型接続とは?

「ノンファーム型接続」とは、発電所からの電源を新たに系統へ接続する時、通常なら接続できない状況でも一定の条件を受け入れてもらい、接続を認める取り組みを意味します。そもそも系統とは電力系統、つまり送電網のことです。発電所で生み出された電気は、電力会社の送電網を通じて、私たちの住居や建物、工場などに運ばれます。系統は無制限に電気を送れるわけではなく、上限容量が決まっています。つまり、同時に容量を超える電気を流そうとすると、キャパオーバーになってしまい、障害が起きてしまうのです。太陽光発電所が増加すれば、総発電量も比例的に増え、空き容量が不足する系統が続出すると懸念されます。
不足していると分かっているなら、設備を増強すればいいのではと考える方もいるでしょう。確かにその通りなのですが、多額の費用と時間がかかります。大規模な工事となるので、10年単位の年数を要するかもしれません。しかもコストを発電事業者や私たちが負担しなければいけない、となれば、今ある系統容量を最大限有効に活用しようという話になります。

この問題を解決するため、現在「日本版コネクト&マネージ」と称される取り組みが実施されています。実は、系統の空き容量が無いといわれる場合でも、送電網を流れる電気の量は常に変動します。接続契約した発電所が何かの理由で一時的に稼働していなかったり、天候によっても発電量は変化するわけです。24時間365日、連系した発電所が出力最大量の発電を続けるなんて事はまずありえないのです。
従来の「ファーム型接続」は、接続契約の申請順に容量を確保し、割り振られる送電容量は固定です。それに対し「ノンファーム型接続」は、系統の空き容量がある限りにおいて、送電網に電気を流すことが出来るシステムです。こうすることで、より多くの発電所が系統に接続可能となり、太陽光発電のさらなる普及が期待できるといえます。

東京電力でもノンファーム型接続が可能なエリアが拡大中

ノンファーム型接続は、2019年9月、東京電力の管轄エリアである千葉県内にて初めて導入されました。当時、再生可能エネルギーの系統接続申請が増加して、千葉基幹系統の佐京連系が混雑し、結果として千葉系統全域が空き容量ゼロの状態となってしまいました。
そこで、千葉および鹿島エリアで試行的に開始し、2021年から9つの基幹系統にノンファーム型接続を適用しました。試行エリア以外でも多数の契約申し込みがあったことをうけ、2022年4月以降は、全基幹系統においてノンファーム型接続を適用しているのです。東京電力は将来的に、空き容量のある基幹系統に連系を希望する場合であっても、ノンファーム型接続適用電源として取り扱う方針を示しています。
今後の課題について東京電力パワーグリッドは、「ノンファーム型接続での発電事業で重要になる出力抑制量の将来予測は、発電事業者が独自に分析し、事業者自らの判断で事業リスクを評価することになる。そのために必要な系統に関する設備や潮流の実績などの情報は公開する」と話しています。ノンファーム型接続に課せられる問題点、リスクとは一体どのようなことでしょうか。それは次の項目で説明します。

ノンファーム型接続のデメリット

ノンファーム型接続では、発電事業者は系統混雑時に出力制御されることを同意しなければなりません。出力制御とは、大雑把にいえば送電網の上限容量に達した時、発電した電気の買い取りを電力会社がストップすることです。よって、いくら発電しても、出力制御がかかってしまうと電力がムダになってしまうのです。
ノンファーム型接続の最大のデメリットは、出力制御がいつ起きて、どのくらいの時間続くか予測を立てるのが非常に困難な点です。混雑時に制御されることを条件に、空き容量ゼロの系統に接続するわけですから、従来のファーム型接続より出力制御される可能性が高くなります。接続件数が増えれば増えるほど、出力制御の頻度が高まることも想定されます。しかし、まだ開始したばかりでデータがなく、想定以上に制御を受け売電収入が減少するリスクを、東京電力パワーグリッドは示しているのです。

発電事業者は、自らの責任で抑制量を予測することが求められます。おそらく個人事業主が一人で推測することは不可能なため、場合によっては外部のコンサルタント会社に依頼するケースも出てくるでしょう。未知数な部分が多いので、コンサルタントすらどの程度正確な計算ができるか分かりません。
「東京電力パワーグリッドが公開・開示する情報を元に、発電事業者さま自らがリスクを踏まえ事業性を評価した上で、系統アクセスをお申し込みください」とのことですから、ノンファーム型接続を申請する際は、ある程度出力制御を受ける前提で採算が取れるか検討した方が賢明です。

まとめ

東京電力のみならず、太陽光発電など再生可能エネルギーの急速な普及により、系統が混雑する状況は全国各地で起きています。従来のファーム型接続だけでは、系統に接続できない発電所が続出してしまう恐れが出てきました。だからこそ、ノンファーム型接続へ移行する動きが活発化しているわけです。
出力制御を受けるリスクがある一方、24時間常に制御されるわけではなく、諸々の条件によって売電は可能です。自家消費を主な目的として設置する太陽光発電なら、発電した電気を極力自分で消費すれば、出力制御をあまり気にしなくていいかもしれません。連系しないとそもそも太陽光発電を開始できないので、それなら多少をリスクを負ってでも系統接続してもらった方が良い、という意見も当然あるのです。
ノンファーム型接続に移行する流れは今後さらに加速するでしょう。年月が経てば出力制御のデータも蓄積され、より正確な情報を得られるようになると期待したいですね。


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