私たちが自宅に太陽光発電を導入したい場合、通常は住居の屋根に設置することになるでしょう。しかしながら最近は、カーポートの屋根に取り付けるという選択肢も可能になっています。屋根に設置するケースとは異なるメリット・デメリットがあり、有効に活用する方が増えているのです。
そこで今回の記事では、ソーラーカーポートの仕組みや導入における費用などについて解説していきます。すでに太陽光発電を導入済みの方も、これから検討する方も、ぜひ参考にしてください。
そもそもソーラーカーポートとは?
カーポートとは、柱と屋根で作られる簡易車庫を意味します。つまりソーラーカーポートは、車庫に太陽光パネルを設置する太陽光発電システムです。大まかな仕組みは、屋根に取り付ける太陽光発電と変わりません。日光を電気に変換して、自宅で使用したり電力会社に売電することが可能です。屋根だけでは十分な容量を確保できない時に、ソーラーカーポートによって発電量を増やすわけです。電気自動車(EV)を所有する方は、V2Hを通じて電気自動車へ充電することもできます。
ソーラーカーポートは主に、「太陽光発電一体型」と「太陽光発電搭載型」に分類されます。一体型は、最初から車庫の屋根自体が太陽光パネルになっているものです。取り外しは原則できません。より多くの太陽光パネルを並べるために、平らな形状で建てられることが多いです。
搭載型は、太陽光発電システムを後付けで設置するソーラーカーポートです。別々に設計、製造されたものとなり、取り外してカーポート単体として使用することもできます。ただし、ソーラーカーポート専門業者に、設置可能か否かを現地調査してもらうようにしましょう。
ソーラーカーポートのメリットや導入コスト
ソーラーカーポートを導入することによって、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。主なメリットとして挙げられるのは、以下の通りです。
●住宅用太陽光発電と比較して導入ハードルが低い
●スペースを有効活用できる
●カーポート内の日除けになる
●売電収入を増やすことができる
●蓄電池やV2Hと併用でき、EVの充電に役立つ
住宅用太陽光発電は、屋根の方角や面積によって、十分な発電量を確保できないケースもあります。築年数が古い住居だとそもそも取り付け工事の対象外にされてしまうなど、不本意ながら断念せざるをえないことも考えられます。その点、ソーラーカーポートは通常屋根が平らですから、方角を気にせず太陽光パネルを設置できるでしょう。ほとんどの方は、車庫の屋根に何か物を置いたりしませんよね。これまで使い道のないデッドスペースとなっていた場所が、電気を生み出す発電所に生まれ変わるわけです。太陽光パネルを並べることで、カーポート内に日光の侵入を防ぐ日除け効果もあります。
スペースを有効活用して、発電量を増やせば、当然ながら自家消費量や売電量も増えます。電気代削減や売電収入の増加が期待できるでしょう。将来的には、従来のガソリン車に換わり、電気自動車(EV)の普及が進むと見込まれます。V2H(Vehicle to Home)を搭載すれば、ダイレクトに充電ができ、EVが蓄電池の役割を果たします。ソーラーカーポート発電した電気を溜めることができないため、蓄電池やV2Hと併用すると相乗効果が生まれるはずです。
気になる導入費用ですが、面積や設置容量によって変わってきます。太陽光発電一体型の方が太陽光発電搭載型よりもコストは少し安くなる傾向にあるようです。駐車場1台分のソーラーカーポートですと、設置費用は100~140万円程度。2台分だと200万円前後になります。大体200万円ぐらいで、住宅用太陽光発電の一般的な容量(5kWh)と同じぐらいの太陽光パネルを並べることができます。
車庫自体の建設費用も含まれるため、意外と値段が高いと感じてしまった方もいるかもしれません。個人向けでの補助金は、2022年時点で国からは出ていないため、お住まいの地方自治体に確認してみるといいでしょう。自治体ごとに異なる補助金制度がありますから、ソーラーカーポートが対象のものがあるかチェックしてみてください。
ソーラーカーポートのデメリット
ただの車庫だった場所が太陽光発電所になるソーラーカーポートですが、いくつかのデメリットも存在します。
●周辺環境によっては発電量が少なくなる
●初期費用がかかる
●自然災害の影響
●建設確認申請を出す義務
●固定資産税がかかる場合もある
ソーラーカーポートの周囲に高層ビルなど高い建物が集まっていたり、樹木など日陰を生むものがあると、思っていたほど発電量が増えない可能性があります。ある程度の費用はどうしてもかかってしまいますから、せっかく導入したのに日陰ばかりだと後悔しますよね。そういったリスクを避けるため、検討段階で専門業者に現地調査に来てもらい、期待する発電量が見込めるかどうか、しっかり調べてもらいましょう。
住宅用太陽光発電と同様、日本は台風や積雪など季節ごとに自然災害の危険に晒されます。また、ソーラーカーポートは「建築物」に該当するため、自治体に建築確認申請を提出することが必要です。万が一怠ると、違法建築物と判断され、撤去を命じられるケースもありえるのです。
「出力10kW以上」「3方向以上が壁に囲まれている」「基礎が固定されている」といった条件を満たすソーラーカーポートは、固定資産税がかかります。税金に関する手間が面倒くさい方は、検討段階で業者と相談して最適な選択肢を取るようにしてください。
まとめ
屋根に太陽光パネルを並べることをためらっていたり、条件が合わず設置を見送っていた方も、ソーラーカーポートなら導入しやすいのではないでしょうか。住宅用太陽光発電のように、売電したり自家消費でエコな電気を使いCO2排出量削減に貢献できます。将来の社会を見越して、蓄電池やV2Hも今のうちに導入しておくと、電気自動車を購入した時に役立つはずです。追加費用を出せばデザイン性にこだわることもでき、さほど景観を害することなく太陽光発電を始められます。この記事を読んだ方も、ぜひ時代を先取りして、ソーラーカーポートを検討してみてはいかがでしょうか。