コラム

テスラ社が発売したサイバートラックってどんな乗り物?徹底解説

テスラのサイバートラック

2022年に発表されたテスラ社の新たな電気自動車、サイバートラック。個性的なデザインと性能の高さから話題となっていますが、どのような特徴があるのでしょうか。本記事では、テスラ社のサイバートラックとはどのような乗り物か徹底解説します。

テスラ社のサイバートラックの特徴

テスラ社のサイバートラックは、ピックアップトラックに分類される車両です。ピックアップトラックとは、さまざまな荷物を運ぶための大きな荷台を備えた車両のこと。車両の前部分は運転席と乗客用の座席があり、後部は荷物を載せるための大きなスペースが設けられています。
頑丈な構造で、荷物の運搬からオフロード走行、トレーラー牽引も可能です。幅広い機能性からアメリカやカナダといった広大な地域で人気があり、仕事用はもちろん、レジャー用としても使われます。サイバートラックは、従来のピックアップトラックとは大きく異なることから注目を集めています。
サイバートラックの特徴は以下のとおりです。

未来的なデザイン

テスラ社のサイバートラックを見ると、まず未来的なデザインに目を奪われるのではないでしょうか。従来の車両といえば丸みを帯びたフォルムが当たり前でしたが、サイバートラックはキャビンの天井が三角形になっています。
この特徴的なデザインは、1980年代のサイバーパンク文化や、化学技術をモチーフにした映画からインスピレーションを受けていると言われています。また、ドアハンドルがないため側面に凹凸がなくフラットである点も、未来的なデザインといわれる理由のひとつ。ドアは窓の端にある小さなボタンを押すと開閉できます。

フロントにある、横一列に配置された長いLEDバーは、デイタイムライニングライトです。ヘッドライトはボディとバンパーカバーの間に2つ横に並んでおり、各ヘッドライトの外側にターンシグナルがあります。

3種類のグレード

サイバートラックのグレードは、RWD(後輪駆動)、AWD(全輪駆動)、そしてサイバービーストの3種類です。

最上位モデルのサイバービーストは、停止した状態から60マイル/h(約96.6km/h)までの加速時間がわずか2.6秒。0.25マイル(約402m)を11秒未満で駆け抜けます。各モデルの価格は、RWDが6万990ドル(約939万円)、AWDが7万9900ドル(約1230万円)、サイバービーストが9万9000ドル(約1524万円)です(1ドル154円で計算した場合)

スペック

サイバートラックの最上位モデル、サイバービーストのスペックは以下のとおりです。

  • 航続距離(推定):515km
  • 牽引:4,990kg
  • 重量:3,104kg
  • 全幅(ミラー格納時):2,200.7mm 延長ミラー:2,413.3mm
  • 全高:1,790.8mm
  • 全長:5,682.9mm
  • 収納:3423.5リットル
  • ホイール:20インチ
  • 座席数:大人5人
  • ディスプレイ:18.5インチ センタータッチスクリーン、9.4インチ リアタッチスクリーン

一般的なピックアップトラックと比較すると、サイバートラックは大きなサイズです。未来的なデザインだけでなくサイズからも、堂々さと重みのある雰囲気を感じることができます。

高い耐久力を誇る素材

サイバートラックに用いられている外装素材は、硬度がとても高い「冷間圧延ステンレススチール」を採用しています。冷間圧延ステンレススチールは高い耐衝撃性と耐久性があるため、車両の外装を凹みや擦り傷から守り、長期にわたって新品と同じような外観を保てます。
また、ステンレススチールは塗装が不要であり、錆びにくいこともメリットです。さらに、サイバートラックの窓は「アーマーガラス」とよばれる特殊な強化ガラスを採用しています。アーマーガラスは一般的な車両のガラスと比較すると破損しにくく、高い強度と耐久性を誇ります。

荷台(カーゴベッド)

サイバートラック背面の荷台(カーゴベッド)の長さは約198cm。大型の荷物を載せるのに十分な長さです。従来のような上下に開閉するドアタイプの荷台ではなく、スライディング式のトノカバーであるのもサイバートラックの特徴です。トノカバーと荷台フラップは、ボタンひとつで開閉できます。荷台の両サイドにはLEDバーがあり荷台の中を照らすため、暗い屋外や車庫でも荷物の持ち運びがしやすいです。
さらに、荷台には120Vおよび240Vの電源アウトレットが装備され、電力を必要とするあらゆる機器を動かせます。

フロントトランク

フロントトランクがあるのもサイバートラックの特徴です。スチールとバンパーカバーの間のボタンを押すと、フロントトランクの開閉ができます。電気自動車のためエンジンスペースがないことから、荷台だけでない収納スペースが実現しています。

インテリア

サイバートラックのインテリアは、基本的に直線的で無駄を省いたデザインで、配色は白と黒がベースとなっており、シンプルながらもモダンなデザインが特徴です。ハンドルは角が少し丸みをおびている四角いハンドルで、従来のハンドルのように多く回さなくても、90度ほどで最高角度までハンドルが切れます。
天井には、テスラモデルでおなじみの巨大なガラスのムーンルーフが搭載。中央には大型のタッチスクリーンが配置され、車内のほぼすべての機能をコントロールできます。
これまでのテスラのモデルに搭載されているタッチスクリーンから、UIが大幅にアップデートされています。

サイバートラックの発表会で窓ガラスが割れたハプニング

2019年に開催されたサイバートラックの発表会では、窓ガラスの耐衝撃テストで割れるというハプニングが起こりました。耐衝撃テストの内容は、直径約5cmの金属製のボールをサイバートラックの窓ガラスに投げ、本来は破損しないパフォーマンスをするはずでした。
しかし、窓ガラスが破損してしまい、もうひとつの窓に対しても同じようにテストしたところ、同じように破損したのです。登壇していたイーロン・マスクは窓が割れたことに驚いた様子でしたが、窓は完全には割れておらず、ボールが通過することがなかった点を強調しました。
このハプニングは多くのSNSやニュースでも取り上げられ、サイバートラックの耐久性に対する疑問が話題となりました。なお、テスラ社は事前のテストでは窓ガラスは割れなかった、発表会前のデモンストレーションで車体に与えた衝撃(車体のパネルの強度を示すためにハンマーでなぐっていた)によって、ガラスの基部に影響を与えた可能性があると説明しています。

サイバートラックの日本での発売予定はあるの?

サイバートラックが日本国内で発売されるかは、まだ明確な発表はありません。2023年よりアメリカで納車を開始、そしてアメリカでの発売を記念し、日本で「サイバートラック全国展示ツアー」が2024年2月から開催されています。日本各地で展示によるプロモーションを行っているため、日本で発売する可能性はゼロではないのではと考えられます。

現在は、車両の不具合により納車を一時ストップ

2024年4月、テスラ社はサイバートラックの納車を一時ストップしています。不具合の原因はサイバートラックのアクセルペダルのようです。TikTokにて不具合を投稿した方によると、フル加速した際にアクセルペダルを覆っているペダルカバーが脱落して奥に引っ掛かり、ペダルが戻らなくなったとのこと。この方は衝突事故を起こす前に車を安全に停止できたそうです。重大な事故につながりかねない不具合のため、テスラ社による今後の対応が待たれます。

まとめ

テスラ社のサイバートラックは、ピックアップトラックとして優れた機能を持ちながら、未来的なデザインと電気自動車の性能が融合した、独創的な車両です。まだ日本で発売されていませんが、全国展示ツアーが開催されていることもあって、国内で多くの話題を集めています。今後日本で発売され、国内で見かけることがあるかもしれません。日本での登場を楽しみに待ちたいですね。