コラム

EV(電気自動車)の急速充電とは?仕組みについて解説

EVの急速充電器

EV(電気自動車)は環境に配慮された次世代の車として、現在急速に発展しています。
EVの大きな特徴のひとつが電気で駆動する点です。自動車を動かすためには、定期的に電源に接続してバッテリーを充電する必要があります。電源は家庭用のコンセントから地域の充電スタンドなどが供給元となります。EVが注目されているとは言うものの、日本ではなじみが薄く、ガソリン車との違いに戸惑ってしまうのではないでしょうか。今後のEV発展に向けた課題の一つとして充電ステーションの普及などといったインフラ整備が求められています。EVの今後のさらなる普及を考えても、充電の仕組みはキーワードのひとつなのではないでしょうか。ということで、本記事では、EVの充電の仕組みを解説していきます。

EV(電気自動車)急速充電とは?時間や電圧などで普通充電とどう異なる?

EVの充電方法は普通充電と急速充電がある

EVの充電方法は大きく分けて普通充電と急速充電の2種類に分けられます。EVの充電方式が2種類あることを特徴的に示す例として、国内メーカーEVの充電口が挙げられます。国内メーカーのEVの多くには充電口が2つ設けられています。2つの違いは普通充電か急速充電かであり、どちらの充電方式で充電を行うかによって使用する充電口が異なるのです。軽自動車であれば普通充電のみであったり、海外メーカーの中には一口で急速充電・普通充電両方に対応しているという車種もあります。

普通充電では専用の普通充電器か家庭用コンセントから電気を供給します。充電にはコンセントの接続が必要ですが、各メーカーから提供されています。付属品である場合もあれば、オプションとして提供されている場合もあり、メーカーによって対応がまちまちです。専用の普通充電器を利用する場合は、充電器のコネクタを車に接続して充電します。急速充電も専用の急速充電器についているコネクタを接続する形で充電することができます。

電流の性質から見る充電方法の違い

充電スピードは充電器の出力によって異なります。充電器の電圧、電流から出力を算出し、それをバッテリー容量で割ればおおよその充電時間を推定できます。車載バッテリーの容量にもよりますが、200Vの一般的な家庭用コンセントであれば満充電するのに12時間ほどかかります。フル充電するには相当時間がかかりますが、40km程度の一日に必要な分の充電であれば2時間ほどで充電可能な場合が多いです。

急速充電と普通充電の違いは交流電流での充電か直流電流での充電かという点です。充電器に到達する電源はいずれも交流です。普通充電器は受け取った交流電源を交流のままバッテリーに充電します。一方、急速充電器は受け取った交流電源を充電器側で直流に変換してバッテリーに充電します。バッテリーに流し込む電流の電圧も急速充電のほうが高くなっています。

EV(電気自動車)急速充電スタンドの特徴と活用方法

急速充電器は規格化されており、代表的な規格は世界で4種類あります。世界的に広く使用されているCHAdeMo(チャデモ)方式が日本でも採用されています。国内メーカーから急速充電器が供給されており、多くは一回30分単位で電源が供給されています。コネクタを接続することで、充電器とEVで通信を行い、バッテリーの負担を抑えながら充電を制御する仕組みとなっています。また、車種によって受け入れられる最大電力が決められているので、急速充電器を使用する際には事前に確認が必要となります。

インフラネットワークを活用して充電できる

急速充電器を利用する場合は、原則充電カードが必要となります。カードはメーカーなどから提供されており、会員登録を行い、会員料を支払って充電器の利用権が得られます。急速充電器はインフラのネットワークを形成しています。充電カードもネットワークを形成するもののひとつで、同じネットワークに加盟するものの間で充電サービスが提供されています。
充電サービスを利用するには月額の会員費用に加えて、都度料金が必要となります。月額費や加入条件などはサービス提供先によって異なります。料金設定の例としては急速充電の利用可能回数に応じて月額料金が設定されるプランなどがあります。シンプルプランとして基本料金だけを払って、必要に応じて都度利用するというプランも設けられています。

EV充電スポットは順次拡大中

外出先で充電が必要となった場合は、都度充電スポットを探す必要があります。急速充電器は短時間で充電ができるという点で外出時の充電方法としても適しています。急速充電器は高速道路のSAやPA、道の駅などに設置されていることが多いです。ほかにもコンビニの駐車場や自治体の施設などに設けられていることもあります。そのほか、カーディーラーや商業施設などにも設置されているところもあり、順次拡大中です。また、充電スポットの検索や地図表示などができるサービスも提供されています。アプリなどもあるのでEVユーザーにとってはありがたいのではないでしょうか。

EV(電気自動車)急速充電のメリット・デメリット、運用する上での注意点

急速充電は短時間で充電できることが大きなメリットの一つです。30分の規定利用時間でも80%程度の充電が期待できます。買い物に出ている間、駐車している時間で充電可能です。長距離を走行する場合でも充電スポットごとに継ぎ足して充電するといった使い方も可能です。渋滞に巻き込まれたり、充電し忘れてバッテリー切れになりそう、などといった緊急な場合でも短時間でリカバリーできるというのは助かるのではないでしょうか。

一方でデメリットもあります。一つ目は普通充電器と比較して急速充電器の設置台数が少ないことです。政府が設置台数増加に向けて動いているので、順次設置台数が増えていくことが予想されます。また、急速充電はバッテリーに負荷がかかりがちです。短時間で大量の電力を与えることになります。もちろんそれに耐えうるように設計されているのですが、少なからずバッテリーに負荷が掛かります。バッテリーを痛めてしまうと交換にも多額の費用が掛かりかねません。

うまく使い分けることが大切

急速充電器と普通充電器は必要に応じて使い分けるのが方法のひとつです。普段の充電では家庭でも設置可能な普通充電器やコンセントからの充電を行い、走行中やむを得ない場合などにのみ急速充電器を使用することでバッテリーの負担も抑えられるでしょう。どうしてもガソリンの給油のイメージに引っ張られて、ガソリンの給油に準ずるスピードが欲しいと思ってしまうかもしれません。時間はかかってしまいますが、普通充電にもメリットはあるので、それぞれの性質を理解して使い分けるようにしましょう。急速充電は都度追加で料金がかかる一方、普通充電器での充電は無料であるというプランもあるので、料金プラン設定をよく確認し、ランニングコストを踏まえた運用を心がけたいものです。

まとめ

EVの充電方法には普通充電と急速充電があります。急速充電を行う場合は、専用のスタンドで充電する必要があり、直流電流を高電圧で充電することで短時間で充電できるのが特徴的です。様々な場所に設置されていますが、主に高速道路のSA・PAや道の駅などに多い傾向にあります。最近では設置場所を教えてくれるアプリなども提供されているので、うまく活用すると良いでしょう。
EVの普及が進められていく中で、充電ステーションも今後一層充実していくことが予想されています。普通充電器と急速充電器の違いを理解し、うまく使い分けることができれば、EVを将来的に所有したり乗る機会があっても、スムーズに移行できるのではないでしょうか。