太陽光発電と環境破壊

太陽光発電はエコ?それとも環境破壊?環境へのメリット、デメリットについて解説

改正地球温暖化対策推進法が2021年に成立、2022年に施工されました。この改正案により、今後は気候変動対策として再生可能エネルギーの開発を地方自治体が主体となって促進していくことが期待されます。温室効果ガス排出量を実質的にゼロにする取り組み、いわゆる「カーボンニュートラル宣言」を実現するため、二酸化炭素(CO2)を排出しない太陽光発電などの自然エネルギーが脚光を浴びているわけです。
水力発電、風力発電など様々な発電方法がある中でも、太陽光発電は事業者のみならず私たち一般の家庭にも取り入れやすい発電システムとして関心が高まっています。
しかしながら一方で、太陽光発電が実は環境破壊に繋がっているのではという指摘も聞こえてきます。温室効果ガス削減に貢献して地球に優しいはずの自然エネルギーが、どうして環境破壊と結びついてしまうのでしょうか。ここでは、太陽光発電は本当にエコなのか?それとも環境を破壊しているのか?双方を比較しながら解説していきます。

まずは太陽光発電のメリットを解説

太陽光発電のメリットを考えるうえで、まずどうして太陽光発電が昨今これほど普及したのか、考えてみましょう。2015年、フランスのパリにて気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定、通称「パリ協定」」が採択されました。これによって、日本を含む参加国は二酸化炭素の排出削減を目指すことになります。目標数値は各国によって異なりますが、中長期的に再生可能エネルギーへシフトしなければならないことは変わりません。
日本は従来、石油や石炭、天然ガスを大量に消費して電力を生み出す火力発電に依存してきました。原子力発電という手段もあるのですが、東日本大震災発生時に周辺地域へ多大な悪影響を及ぼしたことは記憶に新しいところです。国内各地にある原発の再稼働には反対意見も多く、火力発電の電力量を原子力発電で補うことは非常に難しいでしょう。そこで、太陽光発電システムの導入を国や地方自治体が急速に進展させていきました。

太陽光発電システムは、ソーラーパネルなど一連の機材における製造から廃棄までの過程で、二酸化炭素の排出量が非常に少ない発電方法と言えます。一度設置すれば、耐久年数は30年以上。寿命を迎えるまでの長期間、継続的にエネルギーを作り出すことができるのです。もちろん、地熱発電や風力発電といった自然エネルギー調達方法も重要なのですが、初期投資費用がとても高額なため、一般人が気軽に取り組めるものではありません。それと比べて、太陽光発電は住宅の屋根を活用でき、設置工事も短期間で行えます。
また住宅だけでなく、耕作放棄地への太陽光発電システム設置も期待されています。少子高齢化によって耕作放棄地は増加の一途を辿っていますが、土地の環境悪化や害虫の発生源となるなど悪影響も問題視されており、土地を造成して有効活用することで、問題を解決しながら自然エネルギー供給量を増やすことができます。住宅用太陽光発電に関しても、家庭での電力使用量を節約したうえで、EV(電気自動車)のエネルギー源として使用すれば、ガソリン消費量を減少させられます。蓄電池を併用することで、節電及び自家発電の効果はより一層高まるでしょう。そもそも石油や石炭などの資源は無限に調達できるものでもなく、遅かれ早かれ再生可能エネルギーへのシフトは、持続可能な社会を作り出すために必要不可欠なのです。

一方、太陽光発電のデメリットは?

太陽光発電が環境破壊だと叫ばれるようになったきっかけはいくつかありますが、その一つは、毎日新聞が掲載した記事です。「太陽光発電が『公害』 自然破壊・景観の悪化 37府県でトラブル」と題し、3面にわたる特集記事を載せたのです。
岡山県で、面積82ヘクタールにソーラーパネル32万枚が設置されましたが、山の斜面で土砂崩れが発生。地元の水田が土砂で埋まる被害が起きました。また、奈良県では森林伐採により土砂災害の危険があるとして、地元住民が事業差し止めの集団訴訟を起こしたのです。同記事では、太陽光発電におけるトラブルのうち、「土砂災害」が29府県で最多、次いで「景観の悪化」「自然破壊」と綴っています。

産業用太陽光発電でも特にメガソーラーといわれる大規模発電システムを設置するためには、広大な土地が必要となります。面積が広ければどこでもいいわけではなく、周辺に日陰の原因となるものが少ない、日射量が多い場所が適切とされています。そうなると、日当たりが良い山の斜面を、森林を伐採して裸にした状態でソーラーパネルを設置するのが最適だという話になるわけです。
自然災害から土地を守るだけでなく、二酸化炭素を吸収する役割もある森林を大量に伐採するのは、確かに疑問が湧くところです。ただし、裁判沙汰になるケースは、設置業者が地域住民からの同意を得ずに工事を始めてしまったという状況が多いようです。地滑りや土砂崩れを起こしやすい場所にわざわざ太陽光発電システムを設置する理由として、地代が安いという点があります。大規模なメガソーラーの場合、初期投資として土地代がかさむのですが、負担を抑えるためにそういった場所を選び、安全性の確認を怠って運用を強行してしまうのです。

ソーラーパネルのリサイクル・廃棄などの処分問題も、太陽光発電が批判を浴びる原因に挙げられます。パネルの種類によっては、鉛やカドミウムといった有害物質を含むものも存在します。処分にあたっては、ガイドラインに沿って適切に対処しなければいけません。メガソーラーだと特に費用がかかるので、一部の悪徳業者が故障したパネルの放置や不法投棄を犯した事例もあります。法令に従って適切にリサイクル・廃棄すれば、現時点でさほど大きな問題にはなりません。

結論、太陽光発電はエコじゃない?

これまで説明してきた通り、目先の利益だけを追った一部の投資家や業者の悪態が、太陽光発電のイメージを悪化させているのは間違いありません。本来、地球環境を保全するために考案された太陽光発電なのですから、正しく活用すれば環境へポジティブな影響の方が大きいはずです。
とはいえ、経済産業省の資源エネルギー庁が、「2040年、太陽光パネルのゴミが大量に出てくる?再エネの廃棄物問題」と題した特集ページを設けていることから、パネルの廃棄については今後まだまだ議論がなされるかもしれません。同庁は、懸念される問題点として、以下の項目を掲げています。

●ソーラーパネルの放置及び不法投棄
●有害物質の流出
●処分場が逼迫する恐れ

確かに、見過ごすことはできない深刻な問題でありますが、リサイクルや廃棄されるソーラーパネルの適正処理を進めるために、次のような取り組みを行うと同庁は記載しています。

●FITの認定を受けた事業者に、廃棄などの費用に関する積立計画、進捗状況の報告を義務化する
●情報不足を解消して有害物質を適正に処理する
●将来出てくると想定される廃棄物の量や費用、リサイクルされた材料の需要動向などを把握する

私たちが住宅用太陽光発電を設置するうえで問題になるのは、主に処理についてだと思われます。森林伐採や景観の悪化が問題視されるのは、大規模なメガソーラーを設置する事業者でしょう。ほんの20~30年前まで日本国内にほとんど存在しなかった太陽光発電システムを、急速に普及させているわけですから、何かしら問題が生じるのは仕方ありません。
やみくもに森林を伐採したり、いかにも危険そうな場所に設置しては、「太陽光発電はエコじゃない!環境破壊だ!」という声が噴出する恐れはあります。本当にエコと呼べるのか否かは、私たち一人一人の意識にかかっているのではないでしょうか。

まとめ

住宅用太陽光発電を設置する人は、定期的にメンテナンスをしながら、長期間ソーラーパネルを使い続けることがエコの一環だと考えます。また、住居自体の断熱性能、気密性能、換気性能を高めて、省エネ効果を向上させると、太陽光発電の不安定な電力供給を補ってくれます。火力発電によって作られた電気を電力会社から購入する量を削減できれば、それも一つの環境保全活動です。
土砂災害や自然破壊を防止するためには、地域住民の方々の理解をしっかり得たうえで事業を開始することが肝要でしょう。長年親しんできた景観を突然変えられることに反対する人も当然いるはずですが、太陽光発電システムを設置することでどのぐらいの発電量が見込めて、いかに温室効果ガス削減に役立つのか、きちんと説明すれば、受け入れてくれる人も増えるはずです。
パリ協定を締結した以上、日本含む世界各国はもう後戻りできません。再生可能エネルギーと自然の共存を目指し、クリーンエネルギーに満ちた世界を作り上げていきたいものです。


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