太陽光発電に取り組む意外な企業

太陽光発電の屋根貸しってどんなもの?メリット、デメリットを中心に解説

太陽光発電システムを無料で設置できる選択肢として、太陽光リースやPPAモデルといったものがありますが、もう一つ知ってもらいたいのが「屋根貸し」です。SDGsやESGの観点から、個人だけでなく企業・法人も地球環境対策や脱炭素社会に高い関心を持っています。しかし、特に中小企業の場合、太陽光発電を設置する費用を掛けたくないケースもあるでしょう。
そこで、自社ビルなど建物の屋根を太陽光発電事業者に賃貸して、収益を得るやり方が注目を浴びるわけです。普段使わない場所が一定の収入源に変わり、環境保全に積極的な企業として社会的評価も高まります。
今回の記事では、いわゆる”0円ソーラー”の一種である「屋根貸し」の仕組みや、メリット・デメリットなどを説明していきます。

太陽光発電の屋根貸しとは?

太陽光発電における「屋根貸し」とは、工場やビル・住居などを所有する契約者が、太陽光発電事業者に屋根や屋上のスペースを貸し出すものです。設置作業などは事業者が行い、そこで発電した電気を、電力会社に売電します。売電収入の一部を契約者に賃借料として支払います。大事なポイントは、契約者、つまり賃貸物所有者は基本的に何もする必要がないという点です。設置、メンテナンス、売電手続きといった一連の作業はすべて事業者の負担となるので、ただ場所を貸すだけでいいのです。屋根や屋上を貸し出している期間は、一定の収入を手にすることができるため、何もせず放置するぐらいなら太陽光発電の屋根貸しをした方がいいと考える企業が増えています。広大な敷地面積を誇る工場などを所有する企業は、屋上が広いほど賃借料も上がるので、メリットが大きいといえます。

屋根貸しのメリット

①初期費用・管理費用はすべて事業者が負担
②未利用スペースを有効活用して収入が得られる
③非常用電源として使える場合もある

太陽光リースやPPAモデルも契約者はさほど手間がかかりませんが、0円ソーラーのうち最も手間がかからず安心なのが屋根貸しでしょう。「太陽光発電には興味あるけど、自分でやるのは面倒くさい」といった方にはピッタリです。もちろん初期費用は一切かかりませんから、ローンを組む必要もありません。マンション経営と比較しても、空室リスクや住人とのトラブルが無い分、やはりラクチンではないでしょうか。
事業者によっては停電時や災害時など緊急の時のみ非常用電源として、電気使用が許可される契約プランを提示してくれます。通常、屋根貸しにおいては発電による電気の所有者は太陽光発電事業者です。そのため、契約の際、そのようなプランの有無についてしっかり確認してください。
気になる賃料ですが、賃貸する場所の面積に応じて料金を設定する場合、1㎡当たり年間100~300円が相場といわれています。売電収入に応じて料金を設定する場合は、収入の5%から10%程度が目安となりますが、面積基準で設定した方が賃料は多くなる確率が高いです。年間収入が何十万円単位になるケースはほとんど無く、数万円程度が大半ですが、手間を掛けずに固定収入が得られるなら悪い話ではないでしょう。

屋根貸しのデメリットやリスク

①自家消費や売電ができない
②契約期間が15~20年と長い
③設置物件に条件が多い

前述の通り、発電した電気の所有権は太陽光発電事業者にあります。いくら屋根を貸しているからといって、契約者は自家消費したり売電する権限を持っていません。PPAモデルは自家消費できますし、太陽光リースは自家消費も売電も可能です。その点は大きく異なります。
非常用電源として緊急時の使用が許可されていても、蓄電池の設置は認められていません。太陽光発電の電気を夜間に使うことはできないです。あくまでも契約者は屋根を貸しているだけに留まります。電気は従来どおり、電力会社から購入する生活となります。また、太陽光発電事業者は少なくとも10年以上かけて設置費用などを回収する方針のため、途中解約は基本的に認められません。契約者の都合、たとえば引っ越しなどで解約したい場合、違約金を支払うことになるでしょう。特定の事業者と契約後、もっと良い条件を提示してくれる別の業者が見つかっても、変更することは難しいです。
事業者は、費用回収および売電収入が見込める場所でないと、わざわざ資金を投じて設置する意味がありません。屋根面積が小さい住居や、大規模工事を予定している工場、築年数が古い建物など、契約を断られるケースも存在します。
最後に、契約を結ぶ際、絶対にチェックすべきなのが、損害賠償責任の対象と範囲です。設置した太陽光発電によって、周辺に被害が及んだ場合、事業者と契約者、どちらが責任を取るのか、あらかじめ確認しておきましょう。おそらく契約書の一部に小さく書いてあり、見落としてしまう方もいますが、不明な点がないか必ず目を通してください。

まとめ

太陽光発電の屋根貸しを一言で表現するなら、「低リスク低リターン」といったところでしょうか。導入手段として、契約者の手間が最も少なく、発電量やメンテナンスを日々気にする必要がない一方、年間収益は自費で設置するよりも少なくなります。一定のリスクや作業を伴う投資より、金額が少なくてもいいから安定収入が欲しいという方にお勧めです。とはいえデメリットもあり、安易に契約すると後々厄介なことにもなりますから、契約する際には慎重に検討してから判断すると良いでしょう。


関連記事


おすすめランキング


ピックアップ記事

  1. テスラのサイバートラック

    2024.04.03

    テスラ社が発売したサイバートラックってどんな乗り物?徹底解説

    2022年に発表されたテスラ社の新たな電気自動車、サイバートラック。個性的なデザインと性能の高さか…
  2. 新エネルギーとは

    2024.04.02

    年々注目が集まる新エネルギー。そもそも新エネルギーとはどんなもの?

    これまで世界各国でエネルギー資源として消費されてきた化石燃料から脱炭素社会に移行すべく、新エネルギー…
  3. 太陽光発電に取り組む意外な企業

    2024.03.28

    大手企業の最新の太陽光発電に関する取り組みを徹底紹介

    日本政府が目標とする、2050年のカーボンニュートラル社会の実現には、国だけでなく民間企業の取り組み…

カレンダー

2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930